俳優と役者

テーマ:言葉・漢字
2/15のNHKあさいち・プレミアムトークのゲストとして出場していた西田敏行さんが、自分は「俳優」というイメージか「役者」というイメージか、どちらが合うのでしょう?と視聴者のみなさんに聞いてみたい、とおっしゃっていました。

ご本人は、改まって職業欄に書くときは「俳優」と書くが、普段は「役者です」と自己紹介をするんですけど、ということでしたけど、「俳優」と「役者」って明確な使い分けって難しいですよね。

個人的には、「俳優」の方がやっぱりかしこまった感じでプロにしか適用できない、一方「役者」の方はもっと一般的で、それこそ子ども歌舞伎を演ずる子にも「役者」と言ったりして、適用範囲も広いように思います。

こういう時に便利な「ことばの語感辞典」を紐解いてみますと、「正式な職業としては『俳優』と名乗ることが多く、事実、『歌舞伎俳優』とも言うように『役者』という語には古風な演劇の連想が強く、昔なつかしさを感じさせるぬくもりがまとわりついている」と書かれていました。

人によっては「俳優」の「俳」は「人に非ず」と書くので、それを避けて「役者」と言うようになった、と考えている人がいるみたいですが、実際のところ「俳」ってどういう意味なんでしょうね?

例によって漢和大字典で調べてみますと、「俳」は「人+非」。「非」は「羽が右と左に逆に開いたさま」を表すので、「俳」は「右と左にわかれてかけあいの芸を演じる人」。つまりおもしろい姿をしてみせる道化役、という意味なんだそうですよ。漫才師みたいな感じでしょうか。

一方の「優」はというと、「人+憂」ですから、こちらは「しなやかにゆるゆるとふるまう俳優の姿」を指すようですから、「俳」と「優」が組み合わさると、くだけた役もシリアスな役も両方できるってことになりますね。

冒頭の西田敏行さんはまさにこの「俳優」の名にふさわしい役者であり、釣りバカ日誌では「俳」の浜ちゃんを演じ、今年の大河ドラマ「八重の桜」では西郷頼母を「優」に演じていると言っていいのではないでしょうか。

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