味覚とグルメ

テーマ:よもやま話
先日、選択という雑誌の「続・不養生のすすめ」という連載を読んでおりましたら、「二十歳のグルメはいない」という題で柴田博という医学博士が興味深いことを書かれていました。

人間の味覚には、甘味、塩味、苦味、酸味、旨味の5つがありますが、このうち赤ん坊にも下等動物にも好まれるのは甘味だけなんだそうです。赤ん坊がアルコール飲料を飲んで死亡する事故が相次いだ時も、原因となったのはすべて日本酒で、不思議とビールやワインで死亡した例は無く、日本酒の甘さが災いしたんだろうと。

さて、上記のいずれの味覚に関しても、若者の方が中高年より敏感だそうで、総合的に言っても人間の味覚は加齢によって低下していくようです。このことは一見もっともなことだと感じるわけですが、では何故世のグルメはみな中高年で、味覚にもっとも敏感なはずの若者にグルメは少ないのか、という矛盾が生じますよね。

どうも、五味に対する感応と食べ物や酒を味わう能力は別物で、甘味や旨味以外の味に対する感能は経験と学習によって会得していくもののようです。

考えてみると、甘味や旨味以外の味は自然界にあって有害なもののサインですよね。酸味はものが腐った時の味で苦味は毒の味。命を守るために、子どもがこういう味を避けるのは当たり前。

ですから、子どもがピーマンなどを嫌うのはある意味当然のことで、栄養があるからと無理に食べさせるのも考えものかもしれませんね。味覚が後退してくれば自然に食するものを、幼児期のネガティブな記憶から全く受け付けなくなることもあるでしょうから。

子どもの時においしいと感じなかった苦味や酸味が歳をとるにつれ、だんだん味わい深いものになっていく。これって、味覚が鈍感になっていくからこそ感じることができるわけで、老化にむしろ感謝することだって世の中にはあるわけですね。



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