寅さんとイエス

テーマ:よもやま話
「寅さんとイエス(米田彰男/筑摩書房)」。おぉ、そりゃあ、およそこの世で対局にある人物ですやん、と思いましたら、実はこの二人は似ている....、というのがこの本の主張。複数の新聞の書評欄に取り上げられていて興味を持ったので図書館で借りて読んでみました。

風天の寅さんと神の子イエスという全く異次元の人物が実は意外にも共通性を持っている、という斬新な切り口。聖書の中では決して笑わないイエス。しかし、イエスは自分自身では文章を残してはいない。実際はユーモアあふれる人物だったのではないか、と。

寅さんは、自分はフーテンであり、やくざであり、、あぶくであり、社会の屑だと自覚して生きてきた。しかし「ごめんなあ」と心の底から自覚している者こそ、不測の出来事に遭遇した時、自分を捨てて他人のために生きることができるという人生のパラドックス。

「色気」「フーテン」「つらさ」「ユーモア」で人間性の回復に生涯をかけた二人。「暇を埋めることこそ一日を丁寧に生きること」と現代人は思っているけれど、「暇こそ一日を丁寧に生きることである」ことを自らの生き方で証明してみせた寅さん。そして、誤った価値観、歪んだ人間性にユーモア混じりで喝を入れ気づかせたイエス。

「♪千の風に~、千の風になって~」の歌を聞くとイエスを思い浮かべるという著者。イエスは天の風、すなわち風天のイエスじゃないかと。「神は在るか無いか」。それを信じるか信じないか。私はクリスチャンではないし、他の宗教を強く信じる者でもありません。

しかし、この本に書かれていた「神は在ると信じて仮に無かったとしても、それは有限の失望でしかない。無限の前には無に等しい有限に賭けるより、無限の幸福の可能性を秘める神在りに賭けよ」というパスカルの言葉には少し打たれるものがありました。

昨日はクリスマス。ちなみに「イエス・キリスト」の「キリスト」とは姓ではなく、「メシア=救主」という意味。キリストがギリシャ語でメシアがヘブライ語。さらに語源をたどると、何と「油塗る」という言葉から作られた言葉でもともとは「油塗られたもの」という意味だとか。

寅さんの本名は「車寅次郎」。車は油がないと走りませんものね。やっぱり似ているのか、寅さんとイエス。

アーカイブ

最近の記事一覧

カレンダー

<<      2012/12      >>
25 26 27 28 29 30 1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31 1 2 3 4 5

ブログランキング

総合ランキング
2位 / 1569人中 keep
ジャンルランキング
2位 / 816人中 keep
日記/一般

フリースペース

HTMLページへのリンク

プロフィール

このブログの読者

お気に入りブログ

参加コミュニティ一覧