玉切る泣き声

テーマ:曳山・歌舞伎
歌舞伎や文楽の浄瑠璃には、女性が泣く場面が頻繁に現れます。「わ~っとばかりに泣き叫ぶ」あるいは「泣き沈む」「泣き至る」。はたまた「前後不覚に」泣いたかと思えば、「かっぱと伏して」泣いたりもする。

その中で、これは一体何なんだろう?と思うのが「わっと玉切る女の泣き声」。これねぇ、「絵本太功記十段目」という芝居で武智光秀(明智光秀)が、真柴久吉(羽柴秀吉)だと思って襖越しに槍で突いたら、それは自分のお母さんだったという場面で出てくるんですよ。

それから、「神霊矢口渡」という芝居で、頓兵衛という悪玉親父が、懸賞のかかった新田義峯が自分ところの宿に泊まっているのを察して、二階の床板に刀を突っ込んだら、それは自分の娘のお舟であった、という場面でも「上にはわっと玉切る声」という浄瑠璃が出てまいります。

いずれにしても、女性が思いがけない怖ろしいことに遭遇して上げる悲鳴のことなんでしょうね。しかし「玉切る声」とは何ぞや?ネットで「玉切る」を調べると「長いままの原木を横に切断すること」とある。「玉を切る」の「玉」って木か?木というよりむしろ金属系のイメージなんだけど。キーンという金切り声みたいな感じ。

ほんじゃ、大辞林ではどうじゃ?と見てみると、「たまぎる」→「魂消る」とあって、「たまげる」に同じ、と書いてあるではないか。なるほどね、「魂が消えるほどびっくりする」ってことね。でも、「わっと、たまげた女の泣き声」になっちゃうと、刺された槍や刀がおもちゃに思えてくるから不思議です。

「おったまたげたなぁ、もう~」じゃ芝居になりません。やっぱり、ここは当て字でも「玉切る」でないとあきませんね。し、しかし「玉切る」なんて、想像しただけでも魂消えますわ、ほんま。

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