大根役者+

テーマ:よもやま話
昨晩、店を閉めた後TVをつけたら4チャンネルでやっていた「夢の扉+」という番組に遭遇。旭川の町工場の佐々木さんという人が開発した大根洗浄機のお話。

私にはそもそも大根を機械で洗うという概念がなかった。理由その1、大根は既に洗われたものをスーパーなり八百屋で買う、あるいは買ったものを見慣れている。理由その2、土のついた大根はもちろん知っているけど、洗っても1本や2本のレベル。

しか~し、大根農家にとってみれば、大根を傷つけずに大量に洗えるかどうかということは死活問題だったんですね。鹿児島の若い大根農家が佐々木さんの洗浄機のことを知って、「ぜひあなたの機械を譲ってほしい。でもお金がないんです」と電話。

以前事業に失敗し2億円の借金を抱えていたので、機械を買う余裕はない。しかし、この洗浄機さえあれば、間違いなく日本一の大根農家になれる!と。結局その言葉通り、現在では関西圏の生食大根の3割のシェアを獲得し、「サラダイコン」というブランドも確立。

大根を傷つけずに大量に洗う、このことを可能としたのは佐々木さんの子供時代のスキー板に貼られていたアザラシの皮の記憶。これを応用し、ブラシを斜めに並べて回転させることを思いついたそうです。

ブラシの先に水滴がつき、ブラシと大根が直に接触することがないため、大根はもちろんのことブラシの摩耗もなく、10年経っても交換の必要がなく、回転装置のメンテナンスも楽にできるような構造になっているのだとか。

「こわれないような機械を作ってどうするんだ?」とひやかされるそうですが、「使う人に喜んでもらえることが、ものづくりの最大の幸せ」という佐々木さん。以前、大メーカーの工場で働く人が「保証期間内は故障せずに、それが終わった途端に壊れるものを作るのが我が社の究極の目標」と冗談交じりに言っていたのを思い出す。

適当に壊れてまた新品を買うというサイクルが資本主義の生命線。しかし、修理代より新品を買った方が安いという現象に私はいつも首をかしげてしまいます。「機械が産地を生み出す」そんな気概にあふれながら、使い手の幸せというものづくりの原点を追求する「大根役者+」の話に感動した次第です。

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