おびただしい

テーマ:言葉・漢字
お中元の季節がやって参りましたが、それに限らず、親戚、知人、あるいはご近所さんから頂き物をすることがございます。うちの家内などは、そうした時に適切なお礼の言葉が浮かばず、戸惑ってしまうと申します。そこで

妻: お母さん、そういう時はどうやって言ったらいいんですか?

母: そうやなぁ、別に「結構なものを頂戴してありがとうございます」でええんちゃうか。

私: そう言えば、「お珍しいものを」とか言わ~る人あるなあ。あれも褒め言葉やろ。

母: あとな、昔おばあちゃん(私の祖母)らはな、おみやげをぎょうさんもろた時は「おびただしく頂戴しまして」て必ず言うてやったな。隣のおばあさんも、向いのおばあさんも競いあうように言うてやったわ。

妻: ほんなら、いつもおみやげたくさん買うてこんと恥ずかしかったでしょうね。

母: まあな、今はほんながんばらんでもええで


さて、この「おびただしい」、漢字で書くと「夥しい」と、果実がたくさん生ったようなありがたい字を書きますが、「語感の辞典」には次のように書かれております。

『数量や程度が甚だしい意で、やや改まった会話や文章に用いられる、いくぶん古風な和語』

なるほど、やっぱり古風なんですね。しかも改まった会話。みやげのお礼言葉に最適、みたいな。ところが、用例を見ますと、<おびただしいおみやげを頂く>なんてのはありませんで、

<おびただしい人の群れ><一日中おびただしい車が行き交う>
<情けないことおびただしい><わからないことおびただしい>

と列記されたうえで、こともあろうに『多く好ましくないことに用いる』などと書かれているではありませんか。

あぁ、そう言えば「もうこんなご丁寧さんなこと、ごみょう(ご無用)さんにしとくんないな」なんておばあちゃん言ってたの思い出した。おびただしいとか、ごみょうさんとか、結局のところ、物もらって嬉しかったんかい?嬉しなかったんかい?

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