とうの立った風景

テーマ:まちづくり
昨日も申し上げましたが、私も「初老」以上ですからね。すっかり「とうが立った」年齢になっているわけですが、今日は「とう」は「とう」でも「薹」ではなくて「塔」の話でございます。

「続・街並みの美学」(芦原佳伸/岩波書店)という本を読んでおりましたら、「世界の景観の分析」という章の中で「エッフェル塔と東京タワー」の比較がなされておりました。行かれたことのない方でも、その姿についてはよくご存知かと思いますが、この二つ、何が最も異なると思います?

高さはエッフェル塔が320mに対して東京タワーは333m、もちろん後に立てられた東京タワーは高さも形もエッフェル塔を意識して立てられているわけですが、景観的には大きく異なるというわけです。

まず、色が異なりますね。エッフェル塔は黒褐色一色に対して東京タワーは赤白。どう見ても景観上は前者が好ましい。日本の場合は「航空法施行規則」によって、高さに対し幅の著しく狭い煙突、鉄塔、柱類は赤白で塗り分けて、航空機が安全に飛べるようにしてるんだそうです。

確かに同著に書かれているように、パリの上空ではだれもエッフェル塔にぶつからないのに、東京上空では赤白に塗り分けてないと危険というのは合点がいきませんよね。他にも鉄塔とかけばけばしいのありますね、日本国中、そう言えば。
長浜にもある!
もう一つの差異。エッフェル塔は地面と第1プラットフォーム、および第1と第2プラットフォームの間に大きな「空隙」がありますね。これによって都市的透過性が与えられ「空気の想像力」を生み出してるんだそうです。

これ、どうやって上るんやいな?って思いません?行った事ある人にとっては常識なんでしょうけど、何とエレベーターは脚柱の中を「斜めに」上昇し、展望台に至るようになっているんだそうです。つまり、いかにこの股間のアーチ型空間を大切に考えたということ。ちょっと間隙いや感激いたします。

一方の東京タワー、こともあろうに5階建ての科学館が四本脚のど真ん中に配置され、なんの苦労もなく垂直エレベーターによって展望台と連絡されているということです。まあねえ、日本は格好よりも機能、予算優先だもんね。筆者は科学館を作る必要があるなら地下にしろ、とのたもうておられます。

日本は内から眺める景観を重視し、外から見る景観に対してはどうしても寛大で無頓着なんだそうです。さて、
我らが長浜タワー
すっかり「とうが立って」おりますけれども、特異な景観を形成し、B級建築として根強い人気がありますね。



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