濡れ衣
テーマ:曳山・歌舞伎
2010/11/09 09:19
「濡れ衣」とはご承知の通り「無実の罪。根も葉もない噂」という意味ですが、先日地芝居サミットで米原の壽山組さんが演じられた「本朝廿四孝」という芝居に「濡衣(ぬれぎぬ)」という役名の女性が登場いたします。
この芝居を見ていた孔雀山のけろっぴさんが、「濡れ衣という言葉はこの濡衣という役から来てるんですか?」と質問されました。実はこの芝居、とても筋がわかりづらいんですが、見ている限りでは濡衣さんが、それこそ濡れ衣を着せられている場面はないように思われます。
帰りまして、語源由来辞典で「濡れ衣」を調べてみますと、元々は「雨水や海水に濡れた衣服」という文字通りの意味だったのが、平安時代頃から現代のような意味で使われ始めたようです。
語源は「継母が先妻の娘の美しさを妬み、漁師の濡れた衣を寝ている娘の枕元に置いたため、漁師との関係を誤解した父親が娘を殺してしまったという昔話説」が諸説ある中で最も有力とされているようですが、私的には次のような駄洒落説が気に入りました。
つまり、「無実」という語は「実が無い」と書くことから「みのない」が「蓑無い」となり、雨具として使われる蓑が無いと衣が濡れるため、「無実」を「濡れ衣」と呼ぶようになった、というものです。
そう言えば、先の「本朝廿四孝」には「蓑作(実は武田勝頼)」という役も登場いたします。「濡衣」という役名を登場させることによって、暗に「蓑作」は実は「蓑無い」つまり「蓑作にあらず勝頼」であることを暗示しているのでしょうか。
主役の八重垣姫は、最後には父謙信が家臣に殺せと命じたこの勝頼を助けるために、家の宝蔵から霊狐の守護する諏訪法性の兜を盗み出すわけで、題名の「本朝廿四孝」とは裏腹な親不孝を働くわけですが、元々勝頼を自分の許婚(いいなずけ)に決めたのは父謙信。
「お父さんが許婚と決めた男に尽くして何が悪い。これこそ孝行。とんだ濡れ衣だわ!」と八重垣姫は叫んでいるのかもしれませんね。
この芝居を見ていた孔雀山のけろっぴさんが、「濡れ衣という言葉はこの濡衣という役から来てるんですか?」と質問されました。実はこの芝居、とても筋がわかりづらいんですが、見ている限りでは濡衣さんが、それこそ濡れ衣を着せられている場面はないように思われます。
帰りまして、語源由来辞典で「濡れ衣」を調べてみますと、元々は「雨水や海水に濡れた衣服」という文字通りの意味だったのが、平安時代頃から現代のような意味で使われ始めたようです。
語源は「継母が先妻の娘の美しさを妬み、漁師の濡れた衣を寝ている娘の枕元に置いたため、漁師との関係を誤解した父親が娘を殺してしまったという昔話説」が諸説ある中で最も有力とされているようですが、私的には次のような駄洒落説が気に入りました。
つまり、「無実」という語は「実が無い」と書くことから「みのない」が「蓑無い」となり、雨具として使われる蓑が無いと衣が濡れるため、「無実」を「濡れ衣」と呼ぶようになった、というものです。
そう言えば、先の「本朝廿四孝」には「蓑作(実は武田勝頼)」という役も登場いたします。「濡衣」という役名を登場させることによって、暗に「蓑作」は実は「蓑無い」つまり「蓑作にあらず勝頼」であることを暗示しているのでしょうか。
主役の八重垣姫は、最後には父謙信が家臣に殺せと命じたこの勝頼を助けるために、家の宝蔵から霊狐の守護する諏訪法性の兜を盗み出すわけで、題名の「本朝廿四孝」とは裏腹な親不孝を働くわけですが、元々勝頼を自分の許婚(いいなずけ)に決めたのは父謙信。
「お父さんが許婚と決めた男に尽くして何が悪い。これこそ孝行。とんだ濡れ衣だわ!」と八重垣姫は叫んでいるのかもしれませんね。