油照り

テーマ:言葉・漢字
今日は暦の上では「大暑」。それにしても今年の、というか最近の暑さは格別でごわすなあ。暑いとつい西郷どん口調になってしまうのはなんでだろう?まあ、それはおいといて、暑さを表す表現は色々ございますね。

まず「猛暑(もうしょ)」。辞書で調べますと「激しい暑さ。酷暑」とあります。猛り狂うような暑さ、猛獣のように襲ってくる暑さ、という感じでしょうか。でも猛獣の毛がねっちょり絡みつく感じも暑さとしてはイヤですね。その前に猛獣が近くに居ては逆に肝が冷えてしまうか。

では「猛暑」と同義と規定された「酷暑(こくしょ)」はどうだ。辞書には「ひどく暑いこと。真夏の厳しい暑さ」と書いてあります。ちなみに「酷い」と書いて「ひどい」あるいは「むごい」と読みますが、「ひどい暑さ」よりも「むごい暑さ」の方が「酷い」ような気がいたします。

さらには「極暑(ごくしょ)」という表現もあるようです。「きわめて暑いこと。真夏の厳しい暑さ」と定義されております。まあそのまま読めば「極めて暑い」んでしょうけど、「極」っていう字は「北極」や「南極」のように寒いところを連想しますので「極寒(ごっかん)」の方がなじみますな。

さて「炎天下」などという言い方をいたしますが、「炎天(えんてん)」とは「夏の焼けつくような空・空気」のことで、まさに「仰ぎ見ることもかなわない」ギンギンギラギラ太陽が照りつける状態ですよね。この「炎」がついて「炎暑(えんしょ)」という表現もあり、「真夏のはなはだしい暑さ。酷暑。炎熱」がその意味。

さらに変わったところでは、風がない時の暑さの表現に「風死す」というのがあるようです。夏の盛りにまったく風がやんで、耐えられないほど暑さを覚える状態を表すようですが、これなど不快な状態を表すとはいいながらも、実に詩的な表現ですね。

一方、いやな暑さを実にいやっぽく表現する言葉もございました。「油照り」そう「あぶらでり」だよ~。「油照り」とは「風がなく、薄日がじりじりと照りつけて、じっとしていても汗のにじみでるような天気」を言うんです。

何か、お日様ギラギラならあきらめもつくのに、薄曇りなのにこの暑さはちょっと許せんではないか、しかも風もね~しよと、不快感ここに極まれり、という表現が「油照り」ではないでしょうか。

それにしても、「アブラゼミ」といい「油照り」といい、夏場における油の評判たるや最悪ですな。暑い時にこんな暑苦しいこと書いていては「油ブロ」と言われて嫌われそうですので、この辺で失礼いたします。

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