引窓再見

テーマ:曳山・歌舞伎
一昨日、昨日と曳山祭の若衆後宴で大阪に行って参りました。若衆後宴というのは、ほとんどの山組で行なわれていると思いますが、祭、特に子ども歌舞伎を担当する若衆組織のお疲れさん会と言ってよいでしょう。

祭の会計も整理がついて、役員の引継ぎが終わったところで行なわれることが多いため、6月頃に行なわれることが多いでしょうか。昔は北陸の温泉でどんちゃん騒ぎして一泊というパターンがほとんどだったようですが、昨今は各山組とも色々行き先を変えて楽しんでいるようです。

わが翁山は、ここ4回ほどは必ず大歌舞伎の鑑賞を若衆後宴とセットにしております。今回の目的地は大阪。折りしも松竹座の七月大歌舞伎の初日。出し物は今年翁山が演じた「双蝶々曲輪日記」がかかっております。
 
この作品、元々は全九段の人形浄瑠璃だったわけですが、歌舞伎では最も人気のある「引窓の場」のみが演じられることが多く、今年翁山が演じたのもその「引窓の場」でありました。しかし、今回の松竹座ではその前段である「井筒屋」「米屋」「難波裏」も続けて演じられ、登場人物や物語の背景を改めて確認する事ができました。

歌舞伎は、他の演劇や映画と異なり、同じ芝居、よく知ってる芸題を何回も見るのも楽しいものです。同じ役でも役者が異なるとどうなるか、太夫の語り口はどうか、と比較したり、タイミングも大体わかるので大向こうをかけてみたりと。

同行者の中には「やっぱりプロはうまいわ~、同じ芝居とは思えん」と当たり前の感想を漏らすものもおりましたが、本物の大歌舞伎に接することも曳山祭の子ども歌舞伎を伝承していく上で、大きな力になることは疑いないと思います。

今回は初日だったということで、役者さんにまだセリフが入っておらずプロンプターのお世話になったり、幕間の舞台転換に時間がかかったりと、曳山まつりで言うと役者が初めて曳山の上で芸をする「13日番」のような感じで少しバタバタするところもありましたが、それはそれで納得しながら見ると楽しいものです。

それにしても、この「双蝶々曲輪日記」という芝居はお相撲さんが二人登場し、自分の贔屓筋のために彼らのムリを聞いて挙句の果てに人殺しまで行なってしまうわけですが、当時の相撲取りは今のように「部屋」に属して安定した給金をもらっているわけではなく、必要なお金の大半を、それぞれの関取を「ひいき」にする「旦那」がまかなっていたようです。

そうした義理人情の世界からドラマが生まれたわけですが、野球賭博でどん底の闇の中にある大相撲界。彼らに一条の光をもたらす現代の引窓は果たしてあるのでしょうか?

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