多福招来

テーマ:曳山・歌舞伎
今年、曳山祭に太夫として初上がりいたしました関係で、有難くも何人かの方から御祝酒を頂戴いたしまして、いい加減お返しの内祝品を配らねばならない時期となりました。何をお返ししようかなと思案する中で、候補の一つとして「手ぬぐい」を思いつきました。

今、店頭のウィンドウに飾っている「鯉のぼり」の手ぬぐいは永楽屋という専門店で購入したのですが、何か適当なものはないかな?と同社のサイトを開いて調べてみました。

するとぉ~、「お~こんなんあるやーん」と見つけましたのが、
これこの手ぬぐい
何や、お多福やん、とおっしゃるなかれ。これは我が翁山のシンボルマークでありまして、扇のデザインも、
ほれこの通りでございます。

翁山にお多福とはこれ如何に?と尋ねないで下さいね。わからないんですよぉ。まあ、♪いいじゃないか~、幸せならば~。それより、何でこの醜い、いや決して美しくない女性の顔が「お多福」つまり「幸福」なのでありましょうか?

平成16年の翁山のパンフレットにも書いたのですが、陶智子氏著の「不美人論」の中の一節によりますと、これは「心の有るべき様」を表したものとのこと。つまり、

・「額が出て目がへこんでいる」のは「上を見るな」即ち「奢りへの戒め」
・「両頬が高い」のは「目の両脇を高くして横見せぬように」即ち「気移りへの戒め」
・「鼻が低い」のは「心の鼻が高いこと」を表現したもので「高慢への戒め」

ということだそうです。人間のあらゆる邪心を戒めた顔が実は「お多福」だったというわけ。「そのように考えると見慣れたものが異なって見えてくる。神々しくも見えるし、有り難くも思える。顔の不思議さが増す」と著者が述べておりますが、その通りですね。

でも、最近うちの町の扇子のお多福、ちょっと化粧がきつくなって来まして、本来のお多福の精神を忘れかけているようですね。(上記の写真は私の扇子、下の写真は息子の扇子)

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