ハリーポッターの秘密

テーマ:よもやま話
本日、7月15日から映画「ハリーポッターと謎のプリンス」が日米同時公開だそうです。次の第7作「ハリーポッターと死の秘法」が最終作で、この本の日本語版は昨年7月に発売されました。私も子どもを連れて何回か映画を見に行ったり、第3作までは原書講読に挑戦してみたりしました。

さて先日テレビ放映がありましたが、第1作は「ハリーポッターと賢者の石」という題名でありました。原作名は「Harry Potter and
Philosopher's Stone」でしたね。そもそもPhilosopherというのは我々日本人の頭の中では「哲学者」なんですが、それが「賢者」と訳され、その「賢者の石」とは一体何じゃいな?と、密かな疑問を抱いておりました。

「Philosopher」という用語はイギリスでは「魔法使い(錬金術師)」というニュアンスも持ち、それが読者に伝わるようですが、アメリカでは日本と同じように、その単語からは「哲学者」を連想し「魔法使い」につながることがほとんどないという理由で、米国版のタイトルは「Harry Potter and Sorcerer's Stone」、つまり「魔法使いの石」と置き換えられているのだそうです。

イギリス英語とアメリカ英語の違いを指摘する一例だったのですが、日本語訳の「賢者」というのは、哲学者ではないんだけど、「魔法使い」という直接的表現も避けたいという訳者の苦労の跡が見られますが、でも魔法使い(錬金術師)のイメージはやはり湧いてきませんね。ちなみに米国版のSorcererもただの魔法使いではなく、悪霊の力を借りた魔術師という感じだそうです。歴史や宗教の異なる日本人にはなかなか理解が及びませんね。

さらに原作では主な登場人物が白人なので、多民族国家では支持が得られないという批判もあるようですが、何と米国版ではそうした配慮からか、ホグワーツ校の新入生たちが寮へ振り分けられる場面で、英国版には出てこない黒人少年を付け加えて登場させているんだそうです。

こうしたハリーポッターの「アメリカ化」については異論もあって、「ニューヨークタイムズ」などは「アメリカ版では原作の趣き(flavour)が失われてしまった」という意味の「Harry Potter, Minus a
Certain Flavour」という批判記事も書いているそうです。

米語では「flavor」と「u」は入らないのですが、敢て英国式の
「flavour」という綴りにすることによって、文字通り英国の原作の趣きという意味が込められていうんだそうです。一口に「英語」と言ってもなかなか奥深いものがありますね。


(参考)「英語の歴史(寺澤盾/中公新書)」

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