フロンティア

テーマ:石油
かつては世の中の物の流れは、メーカー→問屋→小売店→消費者となっておりました。昨今では流通の合理化と称して問屋が激減し、電器業界などではヤマダ電機などの超大型店が大量仕入れ、安値販売で価格決定力を握り、メーカーを牛耳っております。

さて我が石油業界ですが、かつて全国に6万ヶ所あると言われておりましたガソリンスタンドは競争の激化により急激に減少し、今や4万ヶ所程度、うち2割が急増するセルフ給油所であります。さらに今後、小型給油所を中心に減少していき、2万ヶ所程度になると予想されております。

ガソリンの場合、流通形態は、元売(メーカー)→特約店→(販売店)→消費者となるわけですが、特約店は販売店への卸のみならず、自らも小売を行ないます。販売店というのは私どもも含めて、ガソリンスタンドを1~2ヶ所しか持たない零細業者で、当然のことながら競争力も弱く、年々廃業する店が後を絶ちません。

さて特約店は一般的には、給油所を相当数所有し県内全域に展開する会社が多く、あるいは複数県にまたがるスーパーディーラーもあります。ところが最近こうした大規模特約店ですら経営危機に陥り、メーカーの救済を仰ぐという形が増えてまいりました。

私どものENEOSグループで申しますと、「ENEOSフロンティア」というメーカーの完全子会社が存在し、上述の経営危機に陥った特約店を併合しながら、年々勢力を増しつつあります。倒れた会社を救い自ブランドの販売量を維持するという大義名分はあるものの、穿って見るとメーカーの小売への参入以外の何ものでもありません。

「フロンティア」は「最前線」「新天地」という意味なので、自ら販売の最前線に立つという気概を現した社名なのでしょう。しかし「フロンティア」とは実際には「アメリカ先住民の掃討の最前線」という意味で使用されていた用語であります。

この社名は、既存の特約店や販売店という「インディアン」を追い詰める表現としか私には思えないのです。「フロンティア」という名前の会社のゴールは、逆説的ながら「フロンティアの消滅」なのかもしれません。



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