油切れと下り物
テーマ:油甚本店
2013/03/21 09:18
この間、長信さんに行って待ち時間に中日新聞を読んでおりましたら、中日春秋欄に「しけが続き、関西から油を船で運べなくなり、油の価格が上がる現象は、『油切れ』と呼ばれ、江戸ではしばしば起こった」と書かれておりました。
そう、江戸時代は菜種油などの植物油は、食用というより燈明用として重要であり、今でいうところのまさに電気であったわけです。で、その油のほとんどを大阪を中心とする西日本に依存していたわけです。
京都の老舗、山中油店さんのHPの中の「菜の花の便り(蕓苔子筆)」によれば、江戸の年間燈明油消費量は約6000トンだったそうですが、明暦の大火後は特に大阪からの下り油が減少し、江戸の燈明油は暴騰しがちだったとあります。
そうそう、「下り油」と書いてありましたが、江戸では上方からもたらされた品物を「下り物」「下り荷」と呼んでいたそうですが、そこには高度な技術による本物、高級品という意味が込められていたんですね。
一方、関東各地から来たものは「地廻り物」、または先の「下り物」に対して「下らぬ物」とも呼ばれたようで、「下らぬ物」は加工度の低い一次産品が多かったから、つまらないものを指して「下らない」と言うようになったそうです。(東京油問屋史より)
中日春秋欄には「油切れのたびに騒動が起こり、世情は不穏になったという。燃料の安定供給が重要なのは時代を問わない」と書かれておりました。まさに「油断大敵」というところですが、東京が他地域にエネルギーを依存するのも時代を問いませんな。
先頃、世界で初めてメタンハイドレードから天然ガスを取り出すのに成功したのを受けて、「原発に依存しない未来を創るためにも技術立国の底力をみせて商業化してほしい」、という風にコラムは締めくくられていました。そうそう、TPPもしかり。世界中にどんどん「下り物」を送って稼ぐ「上方ジャパン」を目指しましょうぞ。
そう、江戸時代は菜種油などの植物油は、食用というより燈明用として重要であり、今でいうところのまさに電気であったわけです。で、その油のほとんどを大阪を中心とする西日本に依存していたわけです。
京都の老舗、山中油店さんのHPの中の「菜の花の便り(蕓苔子筆)」によれば、江戸の年間燈明油消費量は約6000トンだったそうですが、明暦の大火後は特に大阪からの下り油が減少し、江戸の燈明油は暴騰しがちだったとあります。
そうそう、「下り油」と書いてありましたが、江戸では上方からもたらされた品物を「下り物」「下り荷」と呼んでいたそうですが、そこには高度な技術による本物、高級品という意味が込められていたんですね。
一方、関東各地から来たものは「地廻り物」、または先の「下り物」に対して「下らぬ物」とも呼ばれたようで、「下らぬ物」は加工度の低い一次産品が多かったから、つまらないものを指して「下らない」と言うようになったそうです。(東京油問屋史より)
中日春秋欄には「油切れのたびに騒動が起こり、世情は不穏になったという。燃料の安定供給が重要なのは時代を問わない」と書かれておりました。まさに「油断大敵」というところですが、東京が他地域にエネルギーを依存するのも時代を問いませんな。
先頃、世界で初めてメタンハイドレードから天然ガスを取り出すのに成功したのを受けて、「原発に依存しない未来を創るためにも技術立国の底力をみせて商業化してほしい」、という風にコラムは締めくくられていました。そうそう、TPPもしかり。世界中にどんどん「下り物」を送って稼ぐ「上方ジャパン」を目指しましょうぞ。
祭モードのウィンドウ
テーマ:油甚本店
2013/03/17 09:44
曳山祭の本日(ほんび)まで、もう1ヶ月を切ってしまいました。てことで、数日前から当店のウィンドウも
祭モードに模様替え
例年は、中央に曳山祭をモチーフにした版画を飾り、台上にわが翁山の扇子と曳山の模型を並べるんですが、今年はちょっと趣向を変えてみました。
まず、祭には欠かせない提灯
この提灯は弓張り提灯と申しまして、若衆用で裸参りや戻り山の際に使用いたします。私は若衆として都合6回の祭を経験いたしました。私のように大人しい者が使うと裸参りの試練にも耐えて壊れずに残りますが、そうでないと直ちに蝋燭の炎で燃えて灰と化します。
そして中央には、わが翁山が誇るベルギー産の毛綴織の見送幕(国指定重要文化財)の写真を飾りました。
まーぼうさんが印刷して下さったもの
観光客がご覧になって「何じゃこれは?」と思われないように、一応解説書きを置きました。
何じゃこりゃ?といえば、一番左側のお多福さん。
これ、いつぞや「多福招来」というタイトルで書いてご紹介した手ぬぐい。保育園の園児達が指さして「わはははは、変なかお~」と笑って通り過ぎていくほどの人気者であります。
ウィンドウの下段には、例年のように今年の芸題と見どころを各山組の絵葉書とセットにして紹介しています。う~ん、こうやって書いていると祭が近づいてくる緊張感が高まってまいりました。
さ、浄瑠璃の稽古せな!
祭モードに模様替え
例年は、中央に曳山祭をモチーフにした版画を飾り、台上にわが翁山の扇子と曳山の模型を並べるんですが、今年はちょっと趣向を変えてみました。
まず、祭には欠かせない提灯
この提灯は弓張り提灯と申しまして、若衆用で裸参りや戻り山の際に使用いたします。私は若衆として都合6回の祭を経験いたしました。私のように大人しい者が使うと裸参りの試練にも耐えて壊れずに残りますが、そうでないと直ちに蝋燭の炎で燃えて灰と化します。
そして中央には、わが翁山が誇るベルギー産の毛綴織の見送幕(国指定重要文化財)の写真を飾りました。
まーぼうさんが印刷して下さったもの
観光客がご覧になって「何じゃこれは?」と思われないように、一応解説書きを置きました。
何じゃこりゃ?といえば、一番左側のお多福さん。
これ、いつぞや「多福招来」というタイトルで書いてご紹介した手ぬぐい。保育園の園児達が指さして「わはははは、変なかお~」と笑って通り過ぎていくほどの人気者であります。
ウィンドウの下段には、例年のように今年の芸題と見どころを各山組の絵葉書とセットにして紹介しています。う~ん、こうやって書いていると祭が近づいてくる緊張感が高まってまいりました。
さ、浄瑠璃の稽古せな!
請求書配りの男(2)
テーマ:油甚本店
2013/02/25 09:01
辛いことの後には楽しいことが待っている。逆もまた真なり、でありまして、2日間東京に行っておりましたので、帰りますと自然せんならんことが溜まっております。
そう、その一つが請求書配り。遠方は郵送するんですが、近いところは自転車で配りまんにゃわ。今日のタイトル、「請求書配りの男(2)」となっておりますが、(1)があったんかて?はいはい、ありましたがな。それはちょうど2年半前の真夏のことでした。
折から昨日は生憎の雪模様。何もこんな天候の悪い時に、自転車で請求書配りせんでもええやん、と思いますでしょ。でもね、2月って28日しかないんですよ。早く配っとかんと月末に集金に行っても、「請求書来るのが遅かったでお金の準備ができてない」とか言われかねない。
それに、明日以降もやることいっぱいあるし。心の中の林修先生が、「いつ配る?」
て言わあるし。てことで、濡れんように請求書の束を
ビニール袋に入れて
愛車にまたがり
道路を東進予備校、いや西進
出で立ちですかぁ?真夏の時とはうって変わりまして、ミッキーマウスの毛糸の帽子をかぶりまして、ジャンパーの下にフリース、その下にラガーシャツ。足元は防寒長靴。そして天下無敵の上下らくだのシャツパッチ。
ヒートテック何するものぞ。あの金属的なチクチクする温感はいけませんな。やっぱりしっとりと体を優しく包み込むような「らくだ」の温感に優るもの、之無し。しかし昼をはさんで正味2時間。あぁ、手がちびたかったぁ。
そう、その一つが請求書配り。遠方は郵送するんですが、近いところは自転車で配りまんにゃわ。今日のタイトル、「請求書配りの男(2)」となっておりますが、(1)があったんかて?はいはい、ありましたがな。それはちょうど2年半前の真夏のことでした。
折から昨日は生憎の雪模様。何もこんな天候の悪い時に、自転車で請求書配りせんでもええやん、と思いますでしょ。でもね、2月って28日しかないんですよ。早く配っとかんと月末に集金に行っても、「請求書来るのが遅かったでお金の準備ができてない」とか言われかねない。
それに、明日以降もやることいっぱいあるし。心の中の林修先生が、「いつ配る?」
て言わあるし。てことで、濡れんように請求書の束を
ビニール袋に入れて
愛車にまたがり
道路を東進予備校、いや西進
出で立ちですかぁ?真夏の時とはうって変わりまして、ミッキーマウスの毛糸の帽子をかぶりまして、ジャンパーの下にフリース、その下にラガーシャツ。足元は防寒長靴。そして天下無敵の上下らくだのシャツパッチ。
ヒートテック何するものぞ。あの金属的なチクチクする温感はいけませんな。やっぱりしっとりと体を優しく包み込むような「らくだ」の温感に優るもの、之無し。しかし昼をはさんで正味2時間。あぁ、手がちびたかったぁ。
歌舞伎絵暦
テーマ:油甚本店
2013/01/03 09:05
昔ほどではありませんが、毎年暮れになると、いろいろな会社やお店から翌年のカレンダーを頂戴いたします。最近は、写真だと世界遺産などが流行りか。あるいは数字のところに字が書き込めるスペースがあるものが人気があるようです。
さて私が毎年最も心待ちにしているのが、
この歌舞伎絵暦
平成16年に翁山若衆の筆頭を務めた時に、衣裳を借りた松竹衣裳さんが、翌年以降毎年送って下さいます。最初はその年だけだろうと思ったのですが、9年目になる昨年末も頂戴いたしました。もちろん、いつも年賀状に御礼の言葉を書き添えて送るのですが、暮れも押し迫っても届かないと「あ~ぁ、去年で終わりかな」と不安に。
和風のカレンダーは当店の雰囲気とぴったりマッチしますので、いつも店の間に飾ります。ちなみに今年の1,2月の図柄は「菅原伝授手習鑑・車引の場」。このように、いろいろな芝居の錦絵がモチーフとなっております。
このカレンダー、年が変わると当然お役御免になるわけですが、そのまま捨てるのはしのびない。かと言って、ずっと残していてもいずれゴミと化すだけでしょう。
他のカレンダーよりはるかに厚い上等な紙質。そこで一案を講じまして、
これこのように店の名刺に
カレンダーの裏に名刺の原稿をコピーし、押切で切り分けます。お客様の中には、裏に模様があるのを「おもしろいねぇ~」とおっしゃって、お好みの柄を選んでお持ち帰りになる方も時々いらっしゃいます。
さて私が毎年最も心待ちにしているのが、
この歌舞伎絵暦
平成16年に翁山若衆の筆頭を務めた時に、衣裳を借りた松竹衣裳さんが、翌年以降毎年送って下さいます。最初はその年だけだろうと思ったのですが、9年目になる昨年末も頂戴いたしました。もちろん、いつも年賀状に御礼の言葉を書き添えて送るのですが、暮れも押し迫っても届かないと「あ~ぁ、去年で終わりかな」と不安に。
和風のカレンダーは当店の雰囲気とぴったりマッチしますので、いつも店の間に飾ります。ちなみに今年の1,2月の図柄は「菅原伝授手習鑑・車引の場」。このように、いろいろな芝居の錦絵がモチーフとなっております。
このカレンダー、年が変わると当然お役御免になるわけですが、そのまま捨てるのはしのびない。かと言って、ずっと残していてもいずれゴミと化すだけでしょう。
他のカレンダーよりはるかに厚い上等な紙質。そこで一案を講じまして、
これこのように店の名刺に
カレンダーの裏に名刺の原稿をコピーし、押切で切り分けます。お客様の中には、裏に模様があるのを「おもしろいねぇ~」とおっしゃって、お好みの柄を選んでお持ち帰りになる方も時々いらっしゃいます。
カッパ指南
テーマ:油甚本店
2012/11/24 09:16
先日、京都の女性の方から突然電話を頂戴いたしました。「この間、お友達からお宅の胡麻油をお土産に頂いたんです」と。こう言われたら、普通次に何を期待します?
「美味しかったので、また送って下さることできますか?」と、こう来るパターンが普通でして、ありがたいことにその類のご注文は何度となく頂戴しております。
ところが、続けて「胡麻油のボトル今も目の前に置いてあります。美味しいに違いないのでしょうが、金の帯をほどけずにおります」と。えっ、まだ食べてないんかい!
なんでも、瓶入の胡麻油のキャップに「惚れて」下さったそうで、「どうやったらこんな風にキャップを被せられるのか教えていただけないか」というお願いの電話だったのです。
てことで、一昨日11/22にこの方、彼女に胡麻油を買って帰られたご友人と二人でお越しになりました。「こと京都」という農業生産法人でねぎ油の製品化を任されているそうで、自社製品のラッピングの参考にしたいと。
持参されたねぎ油の瓶は化粧瓶風で、ある意味当社のより洗練されているように見え、「キャップはむしろいらないんじゃないんですか?」と言いますと、「いや社長の意向で」。
ま、とにかく、キャッピングの実演をして欲しい、ということでカメラの準備とかされるのですが、こういうのってゆっくりやるとかえってうまくできませんね。普段は意識せずに一連の流れの中で行なう作業をぶつ切りにするわけですから。
ゆうこりんさんやままさんも同じような作業をされており、我々3人「カッパ3兄妹」と自称しているのですが、これってなかなか誰にでもできるものではないらしく、うちの店でももっぱら私の専属作業となっております。
「ねぎ油の製品化が完成しましたらお送りします」とのことでした。私の実演が参考になったかどうかわかりませんが、見た目も味も最高の「九条ねぎ油」が届くことを心待ちにしております。できたら、うちで売らせてもらおかしら。
「美味しかったので、また送って下さることできますか?」と、こう来るパターンが普通でして、ありがたいことにその類のご注文は何度となく頂戴しております。
ところが、続けて「胡麻油のボトル今も目の前に置いてあります。美味しいに違いないのでしょうが、金の帯をほどけずにおります」と。えっ、まだ食べてないんかい!
なんでも、瓶入の胡麻油のキャップに「惚れて」下さったそうで、「どうやったらこんな風にキャップを被せられるのか教えていただけないか」というお願いの電話だったのです。
てことで、一昨日11/22にこの方、彼女に胡麻油を買って帰られたご友人と二人でお越しになりました。「こと京都」という農業生産法人でねぎ油の製品化を任されているそうで、自社製品のラッピングの参考にしたいと。
持参されたねぎ油の瓶は化粧瓶風で、ある意味当社のより洗練されているように見え、「キャップはむしろいらないんじゃないんですか?」と言いますと、「いや社長の意向で」。
ま、とにかく、キャッピングの実演をして欲しい、ということでカメラの準備とかされるのですが、こういうのってゆっくりやるとかえってうまくできませんね。普段は意識せずに一連の流れの中で行なう作業をぶつ切りにするわけですから。
ゆうこりんさんやままさんも同じような作業をされており、我々3人「カッパ3兄妹」と自称しているのですが、これってなかなか誰にでもできるものではないらしく、うちの店でももっぱら私の専属作業となっております。
「ねぎ油の製品化が完成しましたらお送りします」とのことでした。私の実演が参考になったかどうかわかりませんが、見た目も味も最高の「九条ねぎ油」が届くことを心待ちにしております。できたら、うちで売らせてもらおかしら。