めでたい愛甚

テーマ:よもやま話
今年も商店街連盟の歳末売り出しのイベントは「エコエコ大作戦」。抽選でテレビ等の商品が当たるようです。

このように人々に景品を分配する籤は「福引」と呼ばれますが、これって「福を引く」から福引きだとずっと思っていたら、元々「ふく」は「お餅」のことで、餅を引き合うところから「フク引き」という言葉が生まれたそうです。

平安時代、年の初めには二人で餅を引き合って、取り分の多少で一年の吉凶を占ったのだとか。千切れた端がびよ~んと伸びた餅を持って「私の方が大きい」とかはしゃぎ合ったんでしょうな。当時、餅は「ふくれるもの」という意味から「フク・フクダ・フクデ」と呼ばれていたようです。

中世になると、縁起のいい「福引き」の字が当てられ、その後綱などの先にいろいろな景品を付けて引き合う正月の遊びとなり、近代になると商店の売り出しや宴会の余興などに使われる現在の福引きになったという流れのようです。

福引きの籤に当たりますと、「おめでとうございます~ぅ」などと言われますが、この「おめでとう」のメデタイは「祝うべきである」という意味で、もとは贈り物をいただいた時にそれを額に押し当てて、「メデタイ」とか「メデトーゴザル」と言ったんだそうです。

従って、籤に当たった本人こそが「メデトーゴザル」と言わなあかんわけですわな、本来。

さてこの「めでたい」は、最近では「目出度い」あるいは「芽出度い」などという当て字で書かれることがありますが、元々「美しいもの、可愛らしいものに心が引き付けられる」という「愛でる(めでる)」から来ているそうです。

そして「メデタイ」=「メデ:メヅ(愛づ)の連用形」+「イタシ(はなはだしい)」 → 「メデイタシ」が「メデタシ」となったそうです。ものすごく心が引き付けられちゃったわけですな。ちなみに「イタシ」は漢字で「甚し」。つまり「めでたし」は「愛甚」なのよ。


-参考文献  「ことばの由来」 (堀井令以知/岩波新書)

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