輿論と世論

テーマ:政治
いよいよ本日、民主党代表選の投開票ですね。それにしても選挙期間が長く、民主党の議員もメディアに露出する機会が多く与えられて、格好の宣伝期間となったのではないでしょうか。

そして今回の選挙もそうですが、最近はやたら「世論調査」の結果に注目が集まるようになり、政治家もこの数字にかなり敏感になっている傾向があるように思います。「理念」より「世論」ですね。

ところで皆さんは「世論」を何とお読みになります?「よろん」?それとも「せろん」もしくは「せいろん」?元々「よろん」と「せろん」は別のものだったんだそうです。「よろん」は「輿論」という字を書いたわけです。「與」は「神輿」の「輿」、そこから、「みんなの」という意味が生じたそうです。

しかし、「輿」は、1946年公布の当用漢字表に含まれず、その時期にほぼ同義で使用されていた「世論」(せいろん、せろん)で代替されるようになり、さらには、「世論」が「よろん」と読まれることも増えるかたちで、現在にいたっている、というわけです。

「輿論」と「世論」は大正期までかなり明確に区別されて使用されており、「輿論」はヨロンと読み、意味はパブリックオピニオン、理性的な討議による合意、公的な意見、であるのに対し、「世論」はセロン、セイロンと読み、ポピュラーセンチメンツ、情緒的な共感、という意味。要は大衆的な「気分」なわけです。

さて、現在の日本でいうところの「世論調査」には「輿論」は含まれず、もっぱら「世論」、つまり「意見」というよりも「気分」をくみ取る調査結果に終わってはいないでしょうか?そんなものを基準に政権が右往左往するのは国民にとって実に不幸なことです。

政権が変わるたびに支持率が急上昇したかと思いきや、短期間のうちに急落。人気者が選ばれて期待してはまた失望を繰り返す日本国民の姿。やがて扇情的な強力なリーダーが現われ、一気に国民感情が昂揚過熱する。日本人がこのパターンに嵌る時、とても危険です。


(参考)wikipedeia「輿論」
    「国家論」(中公新書ラクレ)
   

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