トヨタとパナソニック

テーマ:よもやま話
トヨタのプリウスリコールとパナソニックの3Dテレビ発売のニュースで新聞やTVが賑わっている。トヨタとパナソニック、日本を代表するトップカンパニーであることは言うまでもないが、共に豊田家と松下家という創業者の経営理念が息づく会社である。

さて、トヨタは昨年6月に「大政奉還」、豊田本家の御曹司章男氏が社長に就任し、世界同時不況による赤字転落から一気にV字回復を目論んでいたところに、今回のリコール問題が噴出。一方、パナソニックは一昨年「松下」の名前を捨てて社名変更し、中村前社長が築きあげた改革路線が順調に回り始めている。

昨年の正月に行なわれた高校の同窓会で、トヨタとパナソニックに勤務しているやつ(共に技術系)にそのあたりについて問うてみる機会があった。

まず、トヨタの大政奉還について同級生は、彼自身は抵抗ないが、役員クラスにはやはり不満を持つものが少なくなさそうだ、と語っていた。奥田元会長の影響力が強いのかと思っていたら、そうでもなく、むしろ現場主義の張(元会長)氏の方が社内的には信望者が多いと彼は言っていた。

一方、パナソニックの同級生には「松下の名前を捨てるのに抵抗は無かったのか?」と尋ねると「全く無い」という返事。前社長の中村氏が既に脱松下路線を完成させており、「パナソニック」への社名変更は「スタート」ではなく、ある意味体制変更の「フィニッシュ」だったのだと。松下に執着した連中はすでに斬られているらしい。

以前に「豊田家と松下家」(水島愛一朗/グラフ社)という本を読んだ。トヨタの奥田碩氏が「豊田家というのはトヨタの求心力であり旗である」と言うのに対し、松下の中村邦夫氏が「幸之助の経営理念はそのままに経営戦略を破壊し再構築する」と語っていたのが印象的だった。

三代続けて創業家から社長を出せなければ創業家の求心力は終わる。そして、企業経営が危機に瀕した時、創業期への原点回帰と経営トップの求心力が何より大切、とも書かれていた。満を持して登場したトヨタの章男社長はいきなり正念場を迎えていると言えそうだ。

また「創業家による、信用力と求心力を失った経営を続けることが最悪」とも同書には書かれていた。社長自ら「全能ではなく間違いも起こす」と宣言したトヨタ。改めるだけでは済まない過ちを犯さないように願うばかりだ。もはやトヨタの問題は日本の問題になってしまっていることを忘れないでほしい。

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