四の切

テーマ:曳山・歌舞伎
「今年のゆう歌舞伎は何しゃんすんやいなあ?」
ということで、ゆう歌舞伎の季節がやって参りました。

今年は、「義経千本桜 河連法眼館の場」
ということで、
こんな風に
きつねさんも出て参ります。この演目は俗に「四の切」と称されております。すなわち「義経千本桜」という物語の「四段目」の「切場」つまり最終場面という意味でございます。

では、他の芝居でも四段目の切の有名なものは幾らでもある(例えば「菅原伝授手習鑑」の「寺子屋」等)のに、どうしてこの「河連法眼館の場」だけが「四の切」という称号を我が物としているのか?(歌舞伎に興味のない方はごめんなさいね)

先日、国立劇場上演資料集を読んでおりましたら、加賀山直三という方が次のように解説されておりました。すなわち、

・義経千本桜の芝居は、外題にこそ義経の名が謳われているが、義経は副人物であり、中心になって活躍するのは、平知盛、いがみの権太、そして佐藤忠信(狐忠信)である。

・この3人の中で最も活躍し、全段中の多くの場に亘って登場して、人気を呼んでいるいるのが忠信(狐忠信)である。

・従って、二段目の忠信、道行の忠信、四の切の忠信、五段目の忠信と部類分けして呼んでいるうち、いつしか「四の切」といえば、「河連法眼館の場」の事を指すようになった

のではないかということであります。つまり、「四の切」の代表みたいになれるほど、忠信(狐忠信)というのは特異で人気のある役柄であるということができるというわけですね。

ちなみに、通常我々は「四の切」を「しのきり」と読みますが、正式には「よんのきり」と読まねばならないということを、振付さんから教わりました。「四段目」を「しだんめ」とは言わないでしょう、とのことであります。

さて、今年は全体的に仕上がりが遅れておりまして、まだ七百本桜くらいでしょうか。本番には満開になるように頑張りましょう。



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