油と脂

テーマ:油甚本店
「油脂」などと申しますが、「あぶら」には「油」と「脂」がございます。一般的には、常温で液体のものを「油」、固体のものを「脂」と称するようでありますが、まあサラダ油等の植物油が「油」で、ラード等の動物性脂肪が「脂」というわけです。

じゃあ、植物性の「マーガリン」はどうなんでしょうね。植物油だが常温で固体。へそまーがりんな油脂ということにしておきましょう。余談ですが英語のmargarine、「マーガリン」ではなく「マージェリン」と発音いたします。

さて「油」という漢字は、「水+由」の会意兼形声文字で、「由」はしょうゆさしのように細くびれた壷を描いた象形文字なので、「油」は「その壷の口から液体が抜け出てくるさま」を表し、ここから「とろとろと出てくるあぶら」の意になったようです。

一方の「脂」は「月+旨」ですが、まず「月」はお月さまの「つきへん」ではなく、「肉」を意味する「にくづき」という部首であります。「旨」は「人+口(または甘)」の会意文字で、「人の口にうまい、こってりした味」のこと。ですから「脂」は「肉+旨」の会意兼形声文字で、「こってりときめ細やかに充実したあぶら肉」のこととなるわけです。

ちなみに「炙る(あぶる)」という字などは「肉」の下に「火」ですから、まさに見たままでおいしそうな字です。「あぶる」は火によって肉から「あぶら」が滴り落ちるところから生まれた言葉だとか。

肉の旨いところはやはり「あぶら」の部分ということなのですが、体にはあまりよくありません。英語で「脂」は「fat」というように、食べ過ぎますと文字通り「太る」ということになりますのでご注意ください。

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