<<最初    <前    2  |  3  |  4  |  5  |  6    次>    最後>>

矢口流恋の表現

テーマ:曳山・歌舞伎
先般垂井祭で語りました芸題は「神霊矢口渡頓兵衛住家の場」。この物語、エレキテルや土用の丑の日を考案したといわれる江戸時代の学者・平賀源内が「福内鬼外」のペンネームで著したもの。

新田義貞の子義興が武蔵国矢口渡で謀殺された後、その弟義峯が恋人うてなとともに同地へ落ち延び、渡守頓兵衛の家に一夜の宿を求めます。そこの娘お舟が義峯とは知らずに、彼に一目惚れし激しく言い寄るわけです。

連れの女(うてな)は女房か妹かと問われて、「妹」と嘘をつく義峯も相当のプレーボーイ。で、あまりの激しいアタックについに義峯さんも据え膳喰わぬは、ということになるわけですが、ここの一連のやり取りの浄瑠璃が一風変わっています。

「♪右よ左と付け廻す、琥珀の塵や磁石の針、粋も不粋も一様に、迷うが上の迷いなり。」とにかく、義峯にしつこくまとわりついたんでしょうね。この後あまりの熱心さに呆れたのか、「♪義峯公も気の毒顔」となります。

そして、もう行こうとする義峯の袂を押さえて「♪惚れられたが不詳と思ふて下さんせ。日陰の木々も花咲けば、岩のはざまの溜り水、澄めばすむ世の思い出に」。惚れられた方が不肖と思えというのはあんまりだと思うんですけど、「♪義峯公も稲舟の、いなにもあらず」と続きます。

稲舟(いなぶね)は「刈り取った稲を運ぶ舟」で、「稲舟の」は軽少な稲舟の意から「軽(かる)」また同音の「いな」を引き出す序詞、と辞書にあります。浄瑠璃を語っていて何で稲舟が出てくるのか疑問だったのですが、義峯公が「否にもあらず」、つまりお舟に迫られて「まあ、しょうがねえか」と軽く受けた気持ちを引き出す言葉だったんですね。

そして、この後互いの気持ちが通じたことを確認し、「♪じっと見つめた目の内は、恋の錠前情けの要、互いに心月草の、(うつろいやすき色糸や)、離れがたなき風情なり」と盛り上がっていき、二人は結ばれます。

さて、「互いに心月草の」部分は「心付き」つまり「心にかなうこと」と「月草(ツユクサの別名)」の掛言葉。「月草の」はツユクサの花で染めたものは色があせやすいところから「うつる」「仮」「消ぬ」にかかる枕詞だそうです。今回、上記(  )内の文言は省略されていましたが、「うつろいやすい」色情に掛かっているんですね。

いや~、私自身もこんな意味がこめられているとはつゆ知らず語っていたわけですから、演じる子どもたちは無論のことご見物の方もちんぷんかんぷんだったんでしょうね。以前「色模様」というタイトルでも書きましたけど、ややもすると下品になりがちな場面を婉曲的に表現する平賀源内さん、そして何より日本語の力に拍手。

コンプガチャ

テーマ:よもやま話
新聞をながめておりましたら、携帯電話やネットのオンラインゲームの「コンプガチャ」なる商法が景表法違反に当たるとして、消費者庁が規制を考えてる、といった報道が目に入って参りました。

私はオンラインゲームとは全く無縁なのですが、「コンプガチャ」なる用語に興味がわきまして調べてみますと、これって「コンプリート(完全な)」と「ガチャ」が合わさった言葉なんですね。「ガチャ」ってのは、おもちゃなどが入ったカプセルが出てくる例の「ガチャガチャ」が語源らしい。

要するに、様々な種類のアイテム(カード等)を揃えることで、さらに稀少なアイテムを獲得することができるのだけれど、様々な種類を獲得するまでには何度も「ガチャ」をする必要があり、その都度課金されるので、それが累積するとかなりの額になることが問題視されているわけですね。

誰かが、「じゃあ、チョコボールの金銀のエンゼルもコンプリートガチャじゃないか?」と書いておりましたが、このようにアイテムを揃えると景品が当たるという方法で、消費者の購買意欲を高めるという商法は広く存在しているように思えます。

いくつかのアイテムが均等に含まれていれば、比較的容易に全部揃えることができますが、一つだけ極端に少なくしておくだけで、揃う確率はうんと低くなります。

例えば、単純に「ある商品に2種類のカードが含まれており、両方揃えたらプレゼント贈呈」という場合、何となく2回買ったら揃いそうなイメージが湧きますが、これは勝手に2種類のカードが均等、つまり1:1の比率で入っていると勝手に想定してしまうからですね。

もし「2種類を9:1で入れると、商品を2つ買って景品が当たる確率は20%以下、6,7個買ってようやく五分五分にしかならない」、ということが「確率の人生学(田中義厚/青春出版社)」という本に書かれておりましたが、これが2種類ではなく、種類がもっと増えれば話はより複雑になってきそうですね。

あまり簡単に揃ってしまうようでは興味も薄れますが、いずれにせよ、このようなゲーム的な商法は、提供する側に良心があれば双方ともに楽しむことができますが、確率の知識を持ったものが悪用すれば、それを知らない大方の者は容易に騙されますね。ところで最近、学校で確率教えてるんかな?



(追記)
オンラインゲーム会社、早速自主規制を決めたようですね。やっぱり後ろ暗かったんでしょうな。

週末の食卓(56)

テーマ:週末の食卓
(その1)
ZTVの「ふるさと巡りあい」という番組で当店が登場。事務員さんが対応しているのを見て

母: 何やいな、こんなん出るて知らんかったがな。家のもんが知らんてあかんがな

私: いや、何かZTVの取材があるて、言うてやんたで、◯◯(事務員)さん

母: ほうか、おまんが知ってたんならええわ

(放映の最後カメラがズームアウトすると、そこには母の姿が)

母: あれ?私も居るがな、何やろ?

私: 何やろって何やいな。こっちが聞きたいわ。

(この後、堅ボーロが紹介されるのを見て)

母: あかんあかん、あれは堅い


だから、堅ボーロていいますんや





(その2)
この前の日曜日はちょうど5月の月参りの日。店番していると、ひたすらごえんさんを待つ母が

母: まだ、ごえんさん来ゃ~れんなぁ

私: 1時半から2時の間って言うてやったんやろ。まだ1時45分やん

母: 急に法事が入ったて言うてやったけど、「急に」て都会の人やろか?

私: 知らん。色々と都合があるんやろ。

(しばらくして、ごえんさんがお見えになったが、どうやら待っている間につい居眠りしてしまった母。ふっと目が覚めて、ごえんさんが自分の甥(弟の息子)に見えたらしく)

母: (寝転んだまま) ◯◯◯◯かぁ?うん?◯◯◯◯かいな?

ごえんさん: あ、いや....


何とごえんさんが帰られた後、本当にその従弟が届け物を持ってやって来た。霊感あるのか、この老人?


同級生女子来訪

テーマ:よもやま話
GW最後の日曜日の一昨日、垂井祭の疲れを癒す暇もなく店番。まあ、息子が帰省して手伝ってくれましたので、私はお客様の相手よりパソコン相手に経理関係の残務処理に専念しておりました。

ふと顔を上げると、見たことのある女性とその隣に見たことのない若い女性、そして少し離れてもう一人見たことのある女性が。とりあえず柄にもなく愛想笑いしたんですけど、彼女らは高校3年生の時同じクラスだった同級生女子(と言っても歳は〇〇歳やけど)のA&Bの2人。若い女性はAさんの娘さんであることが判明。

そのA子さんの娘さんが長浜で就職することになったそうなのですが、大津から通うのは困難なので長浜に住む親友のB美さんを頼ってアパート探しに来たとのこと。で、「どっかええとこないやろかぁ?」と。「何で俺がそんなもんわかるん?」「油甚さんは顔広いかと思って」「いや、不動産屋ちゃうし」

若くて可愛らしい娘さんですからね、親としては心配なんでしょう。「やっぱり飲み屋街の近くはやばいよね。」とか「駅前通りの南側より北側の方が治安はええよね」。(うん、南側はくんさんも住んでるしな)と思ってても口にするわけにもいかず、「いや、長浜はそんなに心配せんでもええんちゃう?」と適当なあしらい。

うちの近くに住む別の同級生女子お勧めの物件もあるみたいだけど、そこは値段が高いらしい。で、結局ああでもない、こうでもないと喋りながら、「ほんじゃ、どうもありがとう」と帰ろうとする3人。そこで事務室に座っていた息子を指して「なぁなぁ、ひょっとして息子さん?」「そうや」「か~わいいなあ」と52歳の二人。

その後、二人から次々に、「高いと諦めていた物件に安い部屋があることがわかってそこに決めた」というメールが。おざなりなお礼の言葉とともに書かれていたのは、「息子さんめっちゃええ感じ。悪いけど油甚君の若い頃よりはるかによろしおす。奥さん似やろ」だの「私が30歳若かったら(息子を)追いかけてた」だの。

君たち、いったい何をしに来たのかね?いっそ、うちの晩熟息子に彼女を紹介したってくれんか。

うな偽

テーマ:よもやま話
垂井祭の際、我々の休憩場所としてお世話になります料理旅館の八千九(やちく)さん。本楽の日の夕食として毎年ここで「うなぎ丼」をご馳走になるのが楽しみ。しかし今年は稚魚が極端な不漁ということでうなぎが高騰。振付さんと「今年はどうなんでしょうね?」と話しておりました。

さて、当日夕食をいただきに参りますと、卓の上に置かれた塗りのお重。「お~っ、ことしはうな重かぁ。さすが八千九さん!」。しかし、その割に重に温かみがないやん。ええいと、蓋押し開くれば~っ!現れ出でたるぅ~、う、う、う、何?あれま、今年はちらし寿司....。やっぱりな。

てことで、このうなぎ。長浜でも一時1500円も出せば最高級品が買えたのに、今やそれだと2500円以上でっせ。ちょっと二の足を踏む値段です。うなぎは他の魚のように完全養殖の段階には至ってないようですね。

子どもの頃、ハレのお出かけの時はうなぎを食べさせてもらえましたが、家では父にナスの油焼きを「これは畑のうなぎやぞ」と騙されまして、以降それも大好物となったわけですが、今でも普段そうそう口に入る代物ではありませんよね。

そう言えば、そんな高級品の代替物として全国的、いや全世界的な人気商品となった「カニかま」。あれはホント画期的ですね。もちろん本物にはかないませんが、偽物でもあの値段なら十分に許せます。

うなぎについても、そろそろカニかまに匹敵するような代替物が求められる時代かもしれません。さすがにナスの油焼きではその役割は果たせそうにありませんが、だれか「うな偽」とか「うな似」とか開発してくれんかな?

(追記)
と思ったら、「うなぎもどき」なるものが既にいくつか存在するようですね。豆腐と山芋の組合せが多いようですが、これなんか、ホント美味そう。(皮の部分は海苔らしい)

<<最初    <前    2  |  3  |  4  |  5  |  6    次>    最後>>

アーカイブ

最近の記事一覧

カレンダー

<<      2012/05      >>
29 30 1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31 1 2

ブログランキング

総合ランキング
2位 / 1569人中 keep
ジャンルランキング
2位 / 816人中 keep
日記/一般

フリースペース

HTMLページへのリンク

プロフィール

このブログの読者

お気に入りブログ

参加コミュニティ一覧