油買うもよし、売るもよし。楽しく老いるためのオイル日記
浄瑠璃作者の意図
テーマ:曳山・歌舞伎
2013/09/28 09:19
明日、岐阜県中津川の恵那神社の祭礼で奉納文楽が行なわれるのですが、何と三役修業塾に大夫と三味線の出演依頼が参りまして、米原の曳山祭出場との兼ね合いもあり、スケジュールの空いている私が大夫として出場させていただくことになりました。
素浄瑠璃は発表会等で行なっておりますが、実際に人形が伴う文楽の大夫を務めるのは初めての経験。演目は「鎌倉三代記 高綱物語の段」。フルコースでやると1時間くらいかかるようですが、上演時間の制約で前後を省いて20分程度で行ないます。
時は鎌倉時代。源頼朝亡き後の北条時政は、頼朝の遺児源頼家をないがしろにして幕府の実権を握ろうとし、佐々木高綱や和田義盛、三浦義村ら有力御家人との抗争を繰り広げ、ついには戦となっていた。
というのが、芝居の時代背景なのですが、実はこれ大坂の陣を、鎌倉時代の北条氏と御家人の抗争に置き換えたもので、徳川家康を北条時政、千姫を時姫、真田幸村を佐々木高綱、木村重成を三浦之助、豊臣秀頼を源頼家にそれぞれ当てはめているんですね。
江戸時代に徳川政権を直接批判するような芝居はご法度ですから、このように時代背景を変えていわゆる風刺劇をつくるわけですが、観衆は当然わかっているわけで、お上も民衆のガス抜きのために見て見ぬ振りをしていたのではないでしょうか。
さて私たちが演じる部分は、別人に成りすましていた佐々木高綱が正体を現し、時政を討つ計略を打ち明ける場面なのですが、最後「♪名にし負う坂本の総大将とたぐいなき」という句で段切りとなります。
でね、プロのテープとか聞いてますと、「名にし負う」「坂本」と切れるのではなくて、「名にし」でいったん切れて「負う坂本の」と言っているように聞こえます。何べん聞いても、あるいは違う大夫さんのを聞いてもそうなっています。
まあ、そんなものなのかと思っていたのですが、どうやらこれわざとそう仕組んでいるみたいなんです。つまり「負う坂」=「大坂」ということで、これが実は大坂の陣のパロディであることを暗示しているようなんです。ですので、私もこの部分は作者の意図に忠実に、気をつけて語ろうと思っているところです。
素浄瑠璃は発表会等で行なっておりますが、実際に人形が伴う文楽の大夫を務めるのは初めての経験。演目は「鎌倉三代記 高綱物語の段」。フルコースでやると1時間くらいかかるようですが、上演時間の制約で前後を省いて20分程度で行ないます。
時は鎌倉時代。源頼朝亡き後の北条時政は、頼朝の遺児源頼家をないがしろにして幕府の実権を握ろうとし、佐々木高綱や和田義盛、三浦義村ら有力御家人との抗争を繰り広げ、ついには戦となっていた。
というのが、芝居の時代背景なのですが、実はこれ大坂の陣を、鎌倉時代の北条氏と御家人の抗争に置き換えたもので、徳川家康を北条時政、千姫を時姫、真田幸村を佐々木高綱、木村重成を三浦之助、豊臣秀頼を源頼家にそれぞれ当てはめているんですね。
江戸時代に徳川政権を直接批判するような芝居はご法度ですから、このように時代背景を変えていわゆる風刺劇をつくるわけですが、観衆は当然わかっているわけで、お上も民衆のガス抜きのために見て見ぬ振りをしていたのではないでしょうか。
さて私たちが演じる部分は、別人に成りすましていた佐々木高綱が正体を現し、時政を討つ計略を打ち明ける場面なのですが、最後「♪名にし負う坂本の総大将とたぐいなき」という句で段切りとなります。
でね、プロのテープとか聞いてますと、「名にし負う」「坂本」と切れるのではなくて、「名にし」でいったん切れて「負う坂本の」と言っているように聞こえます。何べん聞いても、あるいは違う大夫さんのを聞いてもそうなっています。
まあ、そんなものなのかと思っていたのですが、どうやらこれわざとそう仕組んでいるみたいなんです。つまり「負う坂」=「大坂」ということで、これが実は大坂の陣のパロディであることを暗示しているようなんです。ですので、私もこの部分は作者の意図に忠実に、気をつけて語ろうと思っているところです。
コメント
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は〜2013/09/28 10:18油甚さん、いいなあ。
この時期は、中津川はくりきんとんのシーズンですね。早生は熊本産の栗でしたが、今頃は地元産でしょう。
す屋のくりきんとんが最高です。
最近川上屋も大々的に売り出していますけど。 -
にーに2013/09/28 11:15おきばりやす〜。近松もんを古典でお勉強すると、掛け言葉的な部分ありますもんねぇ。私の卒論「家持の到達点」て題でしたが、ゼミの先生からは「やかまちい(やかましい)の倒(到じゃないよ)達点」と遊ばれてました。
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2013/09/28 17:18甚さん凄い
私も初めて聞かせていただいて感動しました -
2013/09/28 21:52しんどいでしょうけど、遣り甲斐もあり、実力もアップするでしょうね・・・
ご健闘を祈ります・・・(本業に加えてのご活躍ですもんね)
下駄やのおじさん
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2013/09/28 22:39今年の長浜曳山祭でのご活躍を拝見いや拝聴し、「あぶらが乗ってきたな~」と思っていたところです。同じ曳山祭を愛する者としては、益々のご活躍を願うばかりです。それと、今のうちにサインを頂けませんか?
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2013/09/29 17:45江戸時代は、実に粋ですな。
このユーモアと隠れた風刺は一流ですね。
中津川でおきばりやす
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2013/09/29 21:33>は~さんへ
おっしゃるとおり。商売っ気の無さそうな「すや」さんの方で最高の栗きんとんをお土産に買って参りましたわ。今回の目的の一つでもありました(笑)
>にーにさんへ
浄瑠璃は掛詞満載で本当に楽しめます。大伴家持が卒論ですかぁ。哄笑、いや高尚ですねえ(笑)
>minoriさんへ
その節はありがとうございました。11月に今回と同じ演目を素義会でやりますので、よろしければ是非(笑)
>ゲッティさんへ
格式の高い神社の祭礼に参加できたことは大変な光栄でした。しかし、この上ない天気と環境でした。山の空気は澄み切っており生き返った心地がいたしました。
>藤本屋さんへ
いやいや、この世界は一向にゴールが見えず、次々と課題が出てまいります。だから、やりがいもあるのですが。今回はいい経験をさせていただきました。
>まーぼうさんへ
そうそう、ユーモアと隠れた風刺を知って「なろほどね~」と思うのも、この道の楽しみの一つでもあります。英語もいいけど古典も面白いですね。昔はそんなこと全く思いませんでしたけど(笑) -
2013/09/29 23:07なにしおう~
曳山で太夫さんが最初に唸るやつちゃいますん?
なんか耳にこびりついてます -
2013/09/30 09:10>くんさんへ
それを言うなら「はうめにい~」でしょ。あ、もとい!「めでたけれ~」やろ(笑)