油買うもよし、売るもよし。楽しく老いるためのオイル日記

敦賀の現状?

テーマ:よもやま話
敦賀市は原子力と「共存共栄」してきた街です。原発には確かにリスクがある。けど、我々は一定のリスクを背負った分、経済的なメリットを受けるという選択をしています。

市内には、日本原子力発電の敦賀1,2号機と、日本原子力研究開発機構の「もんじゅ」、解体中の「ふげん」があります。さらに北陸電力の敦賀火力発電所1,2号機もある。「原発銀座」といわれるゆえんです。

敦賀市の2010年度の決算の全歳入は約564億円です。うち原子力、火力の発電所があることで国から支払われる「電源三法交付金」の額は36億円。固定資産税の額は40億円です。さらに県から核燃料税交付金3億9千万円が来ます。全歳入のおよそ14%が電力関係でまかなわれています。

特に市民に喜ばれているのは、電源三法のお金を使ったサービスです。今年の予算では、紙おむつなどを支給する「子育て応援品支給事業」に約600万円、お年寄りにコミュニティバスや市民温泉で使える金券を渡す「高齢者外出支援事業」に約800万円を充てました。

原発が地域の雇用の柱であることは言うまでもありません、市の人口約6万9千人のうち、原発の直接雇用だけで5千人。さらに原発があることで商売ができている商品や飲食店の従業員が5千人います。

ここは漁業も盛んです。コンテナ貨物の取扱高を増やそうと港湾整備にも力を入れてきました。けど、1万人の生活を支えられる産業は原発以外にありません。脱原発を言っている人たちは、こうした立地地域の事情を分かっているのでしょうか。

敦賀市では敦賀3,4号機の増設も求めています。「原発マネー」への依存体質になっているって?私はそうは思いません。他の都市でも工場がなくなったら、別の工場を誘致してくるでしょう。私たちは原発という「地域産業」を誘致しているのです。そして、その成果として、交付金145億円をありがたく受け取るのです。

私は全国原子力発電所所在市町村協議会(全原協)の会長をしています。東京電力福島第一原発の事故のため、これまでのように会員自治体が原発推進で一致できないでしょう。福島の自治体は、すでに脱原発の主張に変わりました。

それでも、敦賀市長としては原発は敦賀に必要だと言い続けます。福島の事故後、市民から「原発をより安全なものにして下さいね」という声は聞きます。けど、「原発要らないよ」「3,4号機なんて必要ない」との声は聞いていません。これが敦賀の現状なんです。


-10月26日 朝日新聞 耕論「原発と自治体とカネ」 
         河瀬一治敦賀市長   より転記

コメント

  1. 2011/10/28 11:31
    誰だって福島にあのような事故が起きるなんて考えもしなかつたでしょう
    だから事故の時の対処のマニュアルさえなかったんですから、ひどい話ですよね

    でもこんなことがあってから敦賀に近い私たちは不安になっても仕方ないしその危険性があるから又保証金もあるわけで・・・
    複雑だけど今後何もないという保証もない中一番近いところに住んでいる私たちにとっては、騒いでみてもどうしょうもないということ
    それだけは、はっきりしています
  2. よこちん
    2011/10/28 14:00
    例えば敦賀市は交付金という制度がなければ原発と言う地域産業を誘致しなかったのでしょうか?人は与えられることに慣れてしまうとなかなかそこから脱しえないものです。福島原発の周辺町でも交付金で造った立派な建物の維持管理費に汲々としていると聞きます。次の原発建設という特需に期待しないとその埋め合わせはできないという構図。
    福島原発建設の時も千年に一度のマグニチュード9を超す大地震に備えて防波堤の高さを決めるべきとの案や、万が一の航空機事故を想定せよとの設計士の具申があったそうですが、千年に一度の地震なんて想定して何になると上司から失笑されたと聞きます。防げた事故だったのです。
    交付金もそのような危機管理費に重きを置いて使うことがこれからは必要なのかもしれません。長々とすみません、素人考えですが。
  3. 2011/10/28 15:10
    >けろっぴさんへ
    漸減協の会長の甚です(笑)。車の事故は損失額が計算可能で保険というシステムで対応するという合意ができています。原発事故は損害の絶対額が確定しないことに加えて、直接被害だけでなく風評による間接被害もこれに加わります。使用済み燃料棒の処理法も決まっておらず、これに頼り続けるのはやはり取るべき道ではないでしょう。現実的に即時撤廃は無理としても、増設を訴える敦賀市長の感覚は理解できません。

    >minoriさんへ
    原発事故で損害を被るのは保証金をもらってる人たちだけではないことが今回はっきりしたと思います。敦賀だけで済むことではないですよね。minoriさん、騒いで下さいよ(笑)


    >よこちんへ
    いわゆる原発麻薬ですよね。核兵器と原発、日本では言葉使い分けてるけどどちらもnuclear。だからこそ、石場さんも原発が核兵器の代わりに抑止力になると言っている。核兵器の撤廃を目指すなら原発の撤廃も目指すべき方向と違いますやろか?
  4. ジャミラ
    2011/10/28 19:40
    時間軸で考えると漸減が現実的ですかね。
    敦賀市長の論理は、家屋が密集している油甚さんの隣家が今の商売より儲かりそうな花火製造をやりはじめ、油甚さんが「危ないがな。他所でやってな。」と言うと、隣家は「気をつけてるし。家の生活がかかっとるんや。」といったところでしょうか。普通は、花火屋さんの作業場や保管倉庫は人家から一定の離れたところにあり、近所に被害が及ばないように配慮されます。原発の避難区域が30キロ圏になった今、敦賀1市の都合では済まない問題になったと思います。敦賀市民だけの被爆で収まるなら「覚悟ができているんですね。」で済みますが、原発によっては人口100万を超える住民が避難を強いられることになり、ふるさとを失うかもしれないこのような規模のリスクは許容の範囲を超えていると感じるのはおかしいでしょうか。特に滋賀県は琵琶湖を抱えており、水源が汚染されれば京阪神も影響を受け、被害は福島より甚大になるかも、いや日本が終わる日になるかもしれないです。
  5. 2011/10/28 20:21
    >ジャミラさんへ
    申し上げたかったことを、的確にわかりやすく表現していただきました。ありがとうございます。その通り!
  6. 2011/10/28 21:31
     完全とは言えないまでも、十分に安全な原発であれば増やせば良いと思います。
    想定された事故に対して準備された対策が機能することですが、今回は違った。
    その時点でM9は想定外だったかも知れませんが、今回はそれ以前の問題です。
    国と電力会社(少なくとも東京電力と九州電力)は危険を管理していなかった(する能力がなかった)…つまり安全ではなかった。
    これは技術的な問題では無くて管理の問題なので、原発自体が悪い訳ではありません…国と電力会社の体質の改善が必要。
    尤も核分裂炉は故障モードが暴走側なので、常に危険を孕んではいるのですが。。。
    でもこれからの需要増も考えると現状維持ではないかと思います…増加分は当面自然エネルギー(と汽力発電)の増加と省エネ推進で賄う。
    それと、原発が不要になるような技術開発を進めるべきですね。
    それが無い限り、失くせというのは掛け声倒れですし、世界中では増え続けます。
    2度目(の事故)は環境被害もさることながら、対策費用などで日本経済を大きく傾けるでしょうから。
    不当に安く見積もったコストでバラ撒かれた補助金に頼るという、悪循環の繰り返しという悪政だけは止めて欲しいなぁ。。。
  7. 2011/10/29 09:12
    >CLAYさんへ
    科学の力と可能性を信じるお立場はよく理解できます。でも電力需要は増加するのでしょうか?これまでも電力会社の都合と戦略で増えてきただけなのでは?十分に安全な原発ができる前に二度目の大事故が起きないことを祈ります。

アーカイブ

最近の記事一覧

カレンダー

<<      2015/05      >>
26 27 28 29 30 1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31 1 2 3 4 5 6

ブログランキング

総合ランキング
2位 / 1569人中 keep
ジャンルランキング
2位 / 816人中 keep
日記/一般

フリースペース

HTMLページへのリンク

プロフィール

このブログの読者

お気に入りブログ

参加コミュニティ一覧