夏中の店番

テーマ:油甚本店
昨日は夏中さんと日曜日が重なり、最近閑散としているわが商店街もそこそこの人出となりました。店番をしていると、よくお見かけするお顔の方が表に、と思いましたら市長さん。

目が会いましたので会釈をしますと、「やあ油甚さん、こんにちわ」とあいさつして下さいますので、もう一度最敬礼して表に出ます。

「今日は何かあったんですか?」と尋ねますと、「いや、夏中さんだからということで大通寺にお参りしようと思いましてね」と。傍らにいらっしゃる観光協会長さんの方を見て「夏中にお参りしたことあるか、と聞いたら、無いとおっしゃるんで」

「ほんまもん、お参りしませんわな~、普通」と観光協会長さん。確かに私もわざわざしませんな。「しかしこれ、露店が並んで地元の店はどう思ってやあるんですいな?」と市長さんがおっしゃるので、「賛否両論みたいですけど、商売の邪魔になる、という人もいるようですね」

「そやろな~。やめるわけにはいかんのかいな」。「いや、それはあきませんわ。夏中さんは最もたくさんの地元客が商店街に来られる行事ですし、楽しみにしている人いっぱいいますもん」。「ほうか、何が楽しいんやろね?」。「あの雰囲気だと思いますよぉ。木之本地蔵の縁日なんかでも同じでしょ」としばし夏中さん談義。

いずれにせよ、「ご殊勝なお心がけで」とお参りに行かれるお二人を見送ります。それからしばらくして、今度は数人の中年の男女の方々が夏中さんのポスターを見て、「あの、『なつなか』って書いて何と読むんですか?」と尋ねられます。

「あ、あれは『げちゅう』と読みまして、大通寺でこの期間行われる法要のことなんです」。「何か3日から6日までってアーケードで見たけど」「あ、それは、露店が並ぶ方の『夏中さん』で、お寺の夏中法要はもっと長いんですよ」

で、その後、大通寺が東本願寺の別院であることやら何やら説明して、「とにかく夏中ってのは、この梅雨時にお勉強をしましょ、ということらしいです」と申し上げますと、その中の一人の方が「じゃ、夏安居(げあんご)みたいなもんね」

「あ、それそれ、それが由来ですわ」と言いますと、舌をペロッと出して「私もちょこっと勉強しましたんで」と。頭がスキンヘッドなので「ひょっとして本職ちゃいますんかいな」と言うと、同行の女性が「そうそう、天台のお坊さんですわ」。何や、釈迦に説法かよ。

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