ギリシャ真話

テーマ:よもやま話
うちの本棚には昔から「世界文学全集」というのが置いてありまして、兄弟4人小中学校の夏休み、読書感想文を書くにあたって多かれ少なかれお世話になったものです。今も感想文は夏休みの宿題の定番なんでしょうね。

私は子どもの頃、それほど読書好きではなかったのですが、それでもこの全集の第1巻くらいはとりあえず取り上げて読んでみようと思うじゃないですか、幼いながらも。その第1巻の一番最初が「ギリシャ神話」。

ゼウスとかアポロンとかバッカスとか出てきましたね。ギリシャは行ったことありませんけどこうした神話のイメージ。そしてソクラテス、プラトン、アリストテレスなどの哲学者。さらにエーゲ海の美しさ。悪いイメージゼロでした。

少なくともこの間のギリシャ経済危機まで。「公務員天国だ」とか「平気で税金逃れをする」という現実のギリシャ人はこれまで私たちが抱いてきたイメージとは全く異なるものでした。

先日「動乱のインテリジェンス」(佐藤優・手嶋龍一/新潮新書)という本を読んでいて謎がとけました。少し難しい話になりますが、ヨーロッパという地域は、(1)ユダヤ・キリスト教の一神教の伝統、(2)ギリシャ古典哲学の伝統、(3)ローマ法の伝統、という3つの原理によって構成されているそうです。

ヨーロッパはこれらの3つの原理が支配した西ローマ帝国の後裔であるのに対し、ギリシャのルーツは東ローマ帝国。そこには一番目の一神教と二番目の古典哲学はあっても、三番目のローマ法の伝統がない。だからギリシャでは「約束はしたが心はそれにとらわれていない」と言って、税金逃れをしたり契約を軽んじたりするのだと。

さらに今のギリシャを建国したのは、地中海沿岸のロシア帝国の中に住んでいたキリスト教徒(ギリシャ正教)のギリシャ人で、アリストテレスやプラトンなどの古代ギリシャ人とは何の関係もないんだとか。

オスマン・トルコ帝国に住んでいたギリシャ語を話すキリスト教徒たちがボスポラス海峡を超えてやってきた。元々のギリシャの地にいたイスラム教徒はトルコに移り、逆にトルコにいたキリスト教徒がギリシャに移って今のギリシャ人に。要はトルコとギリシャは宗教が違うだけかいな。

今のギリシャ人は宗教性や思考様式に関して、むしろロシアと親和的で、いわゆる西欧人とはものの考え方が違う。だからそもそもギリシャがEUに加盟するのは無理があったというわけです。「俺たちは違う文化圏だけど、EUに入ってやっているんだ。お前らが養うのは当たり前だろう」。これが現代のギリシャ真話だそうな。

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