ヒューマン・スケール

テーマ:まちづくり
昨年8/1のブログで尺貫法を学校で教えるべきでは、と書きました。

少し前に「『縁側』の思想」-アメリカ人建築家の京町家への挑戦、という本を読みました。著者のジェフリー・ムーサス氏は、現代建築の観点から日本の伝統建築に魅せられ、京都を拠点として町家や寺の改修、修復、住宅・店舗の設計等、国内外で活躍する建築家です。テレビ番組の「大改造!!劇的ビフォーアフター」にも出演されていたので、ご存知の方もいらっしゃるでしょう。

彼は「フィート(ヤード・ポンド法)」を使用するアメリカで生まれ、「メートル」を使う日本で生活し、「尺」を使う伝統建築を扱っているため、三つの単位をすべて使えるわけですが、「尺」が最も素晴らしいシステムだと思っている、と書いています。

一番の理由は「人間の身体を基準に作られている」ことだと言います。実は「尺」(303mm)と「フィート」(305mm)はほとんど同じ長さで、共に人間の身体の大きさを基準に作られた単位だということです。一方、「メートル」は人間の身体とは何ら関係なく、ある一定の基準を恣意的に作ったものです。

そして、「尺」が「フィート」より優れている理由として「1尺=10寸」など尺が「10進法」であるということを挙げています。ヤード・フィート・インチなどは「1フット=12インチ」と「12進法」になっており、「尺」という単位は、フィートとメートルの両方の利点を合わせた「使いやすさ」がある、というわけです。

「人体を基準とした尺度(ヒューマン・スケール)で家や家具を設計した方が、人間により馴染む」というのが彼の主張ですが、モダニズム建築家の祖と言われる、かの「ル・コルビュジェ」も、人体の寸法と黄金比などを組み合わせて作った「ル・モデュロール」という基準寸法を提唱したそうです。

ますます尺貫法教育特区を推し進めてほしくなった1冊でありました。が、お願いをしようと思っていた恩師・北川教育長の辞任、実に残念です。

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