お灯明の油

テーマ:油甚本店
毎日よもやま話ばっかり書き綴って、しばし自分が油屋であることを忘れておりましたところへ、昨夕店番をしておりましたら電話が掛かって参りました。

「あの~、以前にお宅でお灯明の油を量り売りしていただいたものですが、今でも分けていただけますでしょうか?」「はいはい、やっておりますよ」「そうですか。では、今から30分ほどしたら伺います。」

ということで、45分くらい後に当のお客様が1升瓶を2本バッグに入れてお越しになりました。それでは、早速量らせていただきましょう。

この蓋の下に常滑焼の油壺が入っておりまして、手前の漏斗を1升瓶に差して、油を注ぎます。1升瓶にきっちり一杯入れる場合は柄杓で掬って直接入れますが、一合単位でお売りする場合は、右手の一合枡で量って容器に注ぎます。

お灯明の油は、菜種油を使用いたします。屋内で使用されるということなので、白く精製されて油煙のあまり出ない「菜種白絞油」をお量りいたしました。

母がお客様の気配を察して店頭に現れました。
「お寺さんですか?」「はい伊吹町からなんです」「あらまあ、遠くからわざわざ」「30分で来れるかと思ったんですが、もう少しかかってしまいました。」と会話が始まって、

「最近は皆さんお仏壇は電気ばっかりになって、うちは油屋ですさかい油使こてますけど...」「うちのお寺もずっと油の伝統守ってますんや。何か電気やとありがとおへんでな~」

「私も時々御坊さんに油あげさせてもらうん(上納)ですけど、お灯明の火が『ばあ~っ』と勢いよく上がるのを見ると、何や嬉しなるんです、自分が」と母が言うと、「ここがずっとこうやってお灯明の油売り続けてくれやりますで、私らもありがたいな、と思てるんです」と仰って下さる。

最近はうちの店も9割方観光客になってしまいましたが、こうして昔ながらのお灯明の油をわざわざ求めて来て頂き、しかも感謝までして下さる。商売人冥利につきるとはこういうことかもしれませんね。

「2升で1600円です。」と申しますと、千円札を2枚「これでお願いします。」もとより薄利ですので大げさな値引きはできません。「わざわざお越しいただきありがとうございました。」とお釣りに500円玉をお返しいたしました。

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