聞こえませぬ

テーマ:曳山・歌舞伎
今日3月3日はひな祭りでありますが、「耳の日」でもあります。私は竹本塾(義太夫・三味線修業塾)で浄瑠璃を習っているのですが、とにかく耳でまず節を覚えることに専念いたします。そのために師匠のお手本や大歌舞伎の浄瑠璃を録音したものを何度も何度も繰り返して聴くことにしております。

今は「3つ違いの兄さんと」のセリフで有名(?)な「壷坂霊源記 沢市内の段」を稽古しております。盲の夫、沢市の目が治るようにと妻お里が毎晩壷坂の観音様にお参りするのですが、沢市は妻が他の男と浮気しているのではないかと疑い、妻を問い詰めます。

そんな時に妻が発する言葉「聞こえませぬ、ええ聞こえませぬ、聞こえませぬわいなあ~」。このお芝居に限らず、歌舞伎では頻繁に出てくるセリフであります。

幼い時にこのセリフを聞いて違和感を覚えました。まず思ったのは「この人、急に耳が悪うならったんやろか?」少し大きくなりますと「あ~ん、聞きたくないってことね」つまり、「耳が餃子」状態のことかなと思ったりしておりました。

この場合の「聞こえぬ」というのは、「相手の言っていることが理解、納得できない」という意味でして、逆に「わかった」という意味のセリフで、「おお、聞こえた!」なんていうのもあります。

英語では「I see.」などと「見える」ことが「理解する、納得する」という意味になりますが、日本で「聞こえる」という言い方がされたというのは、「文字」つまり理ではなく、「言葉」つまり情で物事を伝えるのが一般的であったということなのでしょうか?それとも昔は本当に天の声が聞こえたのか?

そんなこと言っても「聞こえませぬわいな~」ですよね。

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