オタガジャクシ

テーマ:言葉・漢字
「カエルの子はカエル」などと申しますと、「カエルの子はオタマジャクシやん」などという屁理屈をいう方が居りますが、確かにカエルの子は「おたまじゃくし」であります。

さて昨日、ねむりはかせのところより遅れること約1週間、私どものところにも滋賀銀行の外交さんがお出で下さいまして、漢検の理事長のインタビュー記事を掲載していたという理由で店頭撤去命令の出た同社発行の冊子「かけはし」をお持ちくださいました。「それは配ったらあかんでしょう」とたしなめますと、「よくご存知ですね」という返事。でも結局配るのは禁止されてないようです。

そちらは「お宅の恥やでやめとき」と言って受け取りませんでしたが、もう1冊の「湖」という小冊子の方はありがたく頂戴いたしました。パラパラと読んでいますと、

「オタマジャクシはお多賀杓子がなまったってホント?」なる記事が載っておりました。「お多賀杓子」とは多賀大社が出しておられる長命のお守りで、なるほど糸切り餅を売っていらっしゃるお店の一つ「多賀や」さんは杓子型の看板を上げておられますね。
お多賀杓子(斜文字)
お多賀杓子というのは、古くは「柄の曲がった汁杓子」だったようで、古代のご飯が今と違いパラパラでそれを掬うくぼみが必要だったこと、それを作る木地師の里が周辺にあったことと関係しているそうです。

そこで、カエルの子が水中にて尾をくねくねと動かす様子が柄の曲がった(かつての)お多賀杓子に似ていることから、カエルの子を「おたがじゃくし」と呼んだそうです。しかし江戸後期には白米の精米技術が進み、その後ご飯をよそうのに最適な形として現在の平しゃもじにたどりついた由。

こうして元祖お多賀杓子はお役御免となり、機能的には「しゃもじ」と「お玉」という二つの別物に分かれ、カエルの子も「オタガジャクシ」改め「オタマジャクシ」と呼ばれるようになったそうであります。

ということは「猫も杓子も」の語源も「猫のおタマも」「杓子も」で「おたまじゃくし」から来ているのだろうか?と興味は尽きませんが、とにかく滋賀銀行さん、知らなかったことを教えていただいてどうもありがとうございました。

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