先考

テーマ:言葉・漢字
今日5月12日は亡父の誕生日。さて、亡くなった父のことを簡潔に表現するのに「亡父」というのはお馴染みですが、他の言い方って思いつきますか?

以前に読んだ丸谷才一さんの「裏声で歌へ君が代」という本の中に、「先考(せんこう)」という聞きなれない言葉が出てきたので辞書で調べてみますと、何とこれ、まさに「亡くなった父」を指す言葉なんですね。もっと言うと「考」だけでもその意味があるそうな。

「考える」=「父」というのが全く結びつかなかったのですが、「考」という字をよ~く眺めてみると、ある字に似ていると思いませんか?そう、「老」。

漢和大字典によれば、「考」は「老(長髪の老人)の略体+丂(コウ)」の会意兼形成文字で、「腰の曲がった老人」を意味するそうな。「かんがえる」の意に用いるのは、「攷(コウ)」に当てた用法で、曲がりくねりつつ、奥まで思い進むこと、とあります。

ちなみに、亡母についても同じような言葉があるのか?はい、ございますよ。「妣(ヒ)」というのがそれで、この字は「女+比(ならぶ)」の会意兼形成文字。父と並ぶ人ってことでしょうか。

父は老人というには若い71歳で亡くなりましたが、今生きていれば94歳かぁ。まさに「先考」にふさわしい歳になりました。って、自分もそれだけ歳食ったってことですな。

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