カンガルーとオンブズマン

テーマ:よもやま話
皆さん、と言っても子どもをお育てになった経験のあるお母さん、あるいはお父さんでもいいのですが、赤ちゃんを密着確保する際の位置関係はカンガルー型でした?それともオンブスタイル?

少し前になりますが、9/2の日経新聞のコラム「危機と日本人」の中で、宗教学者の山折哲雄氏がこのことに触れておられました。すなわち、「最近の母子像はもっぱら赤ちゃんをハンモックのような袋に入れて歩くカンガルー型が目立つと。

このスタイルは戦後もだいぶ落ち着いてから現れたようだが、母乳を飲ませる自然の摂理からきているのかもしれない」と氏は推測する。

しかし、私の子ども時代もそうでしたが、「日本では赤ん坊を背中に背負って帯で括りつけるオンブスタイルがずっと主流であったはずだ」と。これは、何より両手両腕をよりいっそう自由に動かせるため、働いている時のお母さんには都合がいいわけですね。

このオンブスタイル、赤ん坊の身になってみると、いつも母親の汗ばんだ首筋が見えていたし、退屈して顔を上げれば青空が、首を回せば道行く人や車の流れ、軒を連ねる店の賑わいを通して「世間」というものにふれていたのではないか、と山折氏は指摘します。

で、一方のカンガルー型。ママの視界にはいつも赤ちゃんの全身が入り、赤ちゃんの視線も上から見下ろす母親の表情だけになっている。母子関係が至近距離で濃密になっている分、赤ちゃんの視界からは自然や世間の姿が遠のき、それらとの関係をはかる感覚が育たない状況になっているのではないか、と。

現在保育園の入所資格は「保育に欠ける」こと、つまり両親の就労が最低条件になっているそうですが、「子どもが育つ条件」(柏木恵子/岩波新書)という本に、もっぱら子育てに従事し、いわば濃密過ぎる母子隔離環境こそ「保育に欠ける」状態なのではないかと書かれていたことをこのコラムを読みながらふと思い出しました。

さて、山折氏はオンブ型復活のため、そのニューファッションを思い切ってコシノジュンコさんにお願いしてデザインしていただいたらどうかという提案をされていますが、さてどうでしょう、最近のママさんは「そんならパパがオンブして」となるのがオチでは。かくてまた世に「オンブズマン」現象が現れることにでもなるのでしょうか。

アーカイブ

最近の記事一覧

カレンダー

<<      2012/09      >>
26 27 28 29 30 31 1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 1 2 3 4 5 6

ブログランキング

総合ランキング
2位 / 1569人中 keep
ジャンルランキング
2位 / 816人中 keep
日記/一般

フリースペース

HTMLページへのリンク

プロフィール

このブログの読者

お気に入りブログ

参加コミュニティ一覧