宴もたけなわ

テーマ:言葉・漢字
宴会打切りの合図の決まり文句、「宴もたけなわではございますが....」。必ず言いますよね、これ。昨日、松男さんからこの「たけなわ」の由来・語源を調べてくれと切なるリクエストが入りました。

こんなもん調べても、どうせわかりきった回答しか出てこんやろ、と高をくくっていたのですが、いやはやなかなか手強い。「たけなわ」とは「行事・季節などが最も盛んになった時、あるいは盛りが極まってそれ以後は衰えに向かう時、真っ盛り、真っ最中」と定義されております。今様に言いますと「ピーク」ですか。

これ、漢字で書くと「酣」もしくは「闌」と書くようです。「酣」は「酉(さけ)」+「甘(ふくむ、味わう、うまい)」ですから、まさに酒を飲んでうっとりするさま。酒宴が佳境に入っていることをよく表していますよね。

もう一方の「闌」は「門」+「柬(ひきしめる、おさえとめる)」。出入りをおさえる門の意から、手すり、さえぎるなどの意に転じた、とありますが、こちらはむしろ盛りが過ぎた時、なかばすぎの意味合いが強い。

漢字はともかく、日本語の「たけなわ」はどうなんだ?ってことなんですけど、「うたげなかば」の略であるというのが一つの説。「たげなか」→「たけなわ」と転じたとあるのですが、だとすると「宴もたけなわ」ってのは意味が二重になるから、どうもこの説は眉唾もの。

大辞泉や大辞林などの大辞書にもそれらしきことは載ってなかったのですが、古語辞典には「たけなは」の「たけ」は「丈、長、闌 タケシのこと」で「高まり」を表すとあります。「なわ」についての言及はないのですが、「成」が転じたものという説もどこかに書かれていました。「高成」=「ピークです」ってことか。

ところで、義兄が「宴もたけなわ」をもじって「宴も高輪泉岳寺」としばしば言っていたのをなるほどな、と聞いていたことがあるのですが、高輪・泉岳寺は赤穂浪士切腹、そしてその遺体が葬られた地でもあります。

もしかして、そろそろ宴(討ち入り)もお開き(切腹)で終わりにしましょう、という意味で元禄以降、赤穂浪士への追悼も込めながら、「宴もたけ(か)なわ」と洒落て言い表すようになったのではないでしょうか。


(追記:珍とにっく説)
「たけなわ」は、実は英語で「take an hour」のこと。「テイクアンナワー」が「タケナワ」に聞こえた。宴会が最高潮に達するのに概ね1時間かかることから。

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