じんとにっく

週末の食卓（２９）に登場した長浜では知る人ぞ知る、堂のおっさん。久しぶりに押し．．．、いや営業回りにやってきた。事務室内の母と事務員さんに声をかける。瓶詰めをしながら耳を傾けると．．．．。



：　どうや、何か要るもんおまへんか？

母：　あんたはん相変わらずよう気張るなあ

：　いや、ほんなことあらへん。もう棺桶に片足突っ込んでるがな。

棺桶といえばこの御仁、随分昔のことだけど、余命いくばくもない年寄りの居る家に押しかけて、まだご存命なのに葬式グッズを売り込んだという伝説を持つ。今度は事務員さんに向かって、

：　どうや香水いらんか？700円や

事：　ほんなもんつけへんもん。どっこも行かんし

：　ほんでも値打ちやで～、700円、安い！

事：　安ても、つけんかったら無駄やがな

：　お、何や？袋作ってるんか？袋ならあるで

事：　大きいサイズはあるんや。一番小さい瓶を入れるのに適当なのがないでな、作ってるんよ

：　あるで～、ちょうど豆腐が一丁入るやつが

事：　ほやから、大きいのは要らんのやて

：　何でぇ？大は小を兼ねるやがな


「安さは不要さに勝る」
「顧客の要望は商品に合わすべし」

ドラッカーも真っ青。あぁ、天動説男（てんどうせつお）は今日も行く。