真相を延べよ

テーマ:曳山・歌舞伎
今年、太夫として出場させていただいた垂井中町紫雲閣の演目は「仮名手本忠臣蔵七段目 一力茶屋の場」。単に「七段目(しちだんめ)」、あるいは俗称で「茶屋場」と呼ばれたりもいたします。

長浜でもよく掛かる人気演目なのでご存知の方も多いかと思いますが、敵討の真意を隠すため京都祇園で遊興三昧の大星由良之助(大石内蔵助)のところに、ある日主君の妻顔世御前から敵の様子や敵討ちのことが書いた密書が届けられます。

由良之助が読むその密書を、二階からは遊女お軽(かる)が、そして縁の下からは斧九太夫が盗み見するという場面がございまして、ここは太夫としても語りどころの一つでもあります。さて、二階に居るお軽の様子を現す浄瑠璃。

「♪お軽は上より見下ろせど、夜目遠目なり字性もおぼろ」。そこで「♪思いついたる延鏡(のべかがみ)、出して写して読み取る文章」。暗くて遠いし、直に見て見えないものが、何で鏡を使えば見えるようになるのかようわからんのですが、何となく「そうか、なるほど考えたなぁ」と納得してしまうから不思議。

ところで、延鏡ってどんなんかご存知?女性の方は詳しいと思いますが、三つ折になっていて懐にも入るような鏡ですよね。
そうこれこれ
大歌舞伎の一場面の写真を見ても、ちゃんと延鏡(のべかがみ)使われてます。もちろん、垂井の稚児歌舞伎でもこれだったんです。

ところ変わりまして、長浜の曳山博物館前。ここには弁慶、静御前、熊谷直実とともに「お軽」の銅像が鎮座ましましております。
これこの通り
あれ?これ延鏡ちゃいますやん。手鏡ですやん。近づくと
ボルトで補修の跡が
はい、♪後ろから
♪前から銅像   -by 畑中葉子
そう言えば、以前何者かの手によって、この鏡が叩き折られたという話を思い出しました。壊した輩は、もしかしたら歌舞伎に詳しく、「こんな偽もん!」と激高したあげく蛮行に及んだのかもしれませんね。(私じゃないですよ)



(注)ちなみに、「延鏡」には「物を直接見ないで、鏡にうつして見ること」という意味もありますので、手鏡でも延鏡は可能なのかもしれません。いや待てよ、もしかしたら、これお軽の団扇のつもりか?(笑)

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