養老

テーマ:よもやま話
今日は「母の日」。兄や姉たちからは毎年花や何やら送られて参りますが、私は同居ですし性格が水臭いので、これと言って何もいたしません。

私どもの初代は岐阜県の上石津町牧田村の出身なのですが、母も同村から嫁いで参りました。現在では編入合併により大垣市となっておりますが、以前は養老郡でありました。

どの地域でもそうなんでしょうが、大垣市合併に関しても一悶着あったようで、大垣に隣接の不破郡の垂井町や関ヶ原町、あるいは安八郡の神戸町は合併に加わらず、さらには養老町も同様で、何と現在養老郡は養老町一町のみとなってしまったようです。

関ヶ原も天下分け目の合戦がありましたから、その名は全日本的に有名ですが、「養老」もまた、「養老の滝」でその名を馳せておりますから、安易に大垣市に吸収されるのを良しとしない気持ちもわかりますね。

「養老」の名は1600年の関ヶ原をさらに遡ること900年、元生天皇がこの地に行幸された際、養老の滝の美泉の不思議な力を目の当たりにし、後に元号を「養老」と改めた、と「続日本紀」に記述があるそうです。

貧しいきこりが、滝の水を見て「この水がもしも酒であったら父が喜ぶだろうに」と考えていたら気を失い、目が覚めたら本当に泉から酒が湧き出ており、持ち帰り病床の父に飲ませると、すっかり若返って元気になった、という伝説も有名ですよね。

そう言えば、昔は「養老院」という用語がありましたが、いつの間にか「老人ホーム」と呼ばれるようになりました。1963年に老人福祉法が制定されたため改称されたそうですが、最近では「老人福祉センター」とか「介護センター」とか言うんですかね。

何だか、だんだん温かみと老人に対する尊厳がむしろ薄らいで事務的な名前になって来たような気がします。「養老」を辞書で調べると、「老人を大切にすること」、「老人をいたわること」とあります。さらに「老後を安らかにおくること」ともあります。

せめて母の日を機会に、居酒屋や生命保険の名称の中に埋もれてしまった「養老」の本来の意味を再認識いたしたいと思います。

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