米原油流出事故

テーマ:石油
日本では、もっぱら鳩山首相辞任、後継候補のニュースでもちきりでありますが、諸外国では誰もそんなことを気にかけておらない様子です。ヨーロッパはギリシャの財政危機、そしてアメリカと言えば、ルイジアナ州におけるメキシコ湾深海部油田からの原油流出事故が何と言っても一番の関心事なわけです。

ちなみに「米原油・・・」と来れば「米国の原油」のことですが、これを「米原の油」と思ってしまうのが滋賀県人なんだそうです。そんな米国の原油流出事故、日本ではあまり大きく報道されておりませんが、恐ろしい規模です。一体、どれだけすごいのか?

日本で油流出による海洋汚染といえば、何と言いましても今から13年前、平成9年(1997年)の1月に日本海で起こったナホトカ号重油流出事故。そして、人類史上最悪の海洋汚染事故となると、こちらは平成元年(1989年)、エクソン・バルデズ号のアラスカでの座礁によるもの。

これらと規模を比較してみますと、

            日本海    アラスカ   メキシコ湾(推定)       
流出量        6千kl      4万kl      10万kl↑

ドラム缶で      3万本分     20万本分   50万本分 

損害賠償額     60億円      1兆円     3兆円↑       


今回の流出事故は、4月にBPが主操業者となっているマコンド油井が爆発事故を起こし、油田からの原油流出が1ヶ月以上続いているわけです。何ぶん水深1500mという深海部油田ですので破損したパイプの復旧作業が困難を極めているのだとか。

で、推定原油流出量は1日3~4000klと言われており、延べ流出量は上記の通り既に10万klを超えているのでは、とさえ言われているようです。つまり史上最悪のアラスカの事故の2倍以上の油が既に流出しているそうであります。

アメリカは陸上油田の生産減から現在ではメキシコ湾深海部油田の開発に力を入れており、また資源ナショナリズムの高まりで世界の原油埋蔵量の8割は産油国国営会社が握り、かつて原油市場を取り仕切っていたメジャーと言われる石油会社は技術的に彼らが追いつけない深海部油田に傾注せざるを得ないというわけです。

それにしても、賠償金が3兆円を超えるかもということですが、そんな金額を払える会社があること自体が信じられませんね。今後、深海部油田への投資は軒並み中止されると予想されており、長期的に原油価格への影響が出てくることは間違いないのではないでしょうか。(漏れはあっても落ちのないネタでしたな)





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