それぞれの椿

テーマ:油甚本店
昨日の竹内さんのブログ「ツバキvsサザンカ」を見てたら、この前読んだ「日本と中国 -相互誤解の構造」(王敏/中公新書)という本に、次のような記述があったことを思い出しました。

「日中を混乱させる漢字として、古来『椿』が象徴的だと思われる。日本で『椿(つばき)』は春に赤い大輪花をつける常緑樹である。中国で『椿』と書けば『香椿(チャンチン)』のこと、センダン科の落葉高木をいい、初夏に白い花をつける。街路樹としてよく植えられている。」

全くの別物だというわけです。では中国では日本の椿をどういうのか?「山茶」または「山茶花」と書くそうであります。椿は元来日本の風土に生まれて中国に渡った数少ない花木のようですが、中国では茶園わきによく植えられた事から「山茶」の名がついたようです。

やがて「山茶花」の漢字だけが日本に入り、江戸時代頃から椿に似た改良花木「さざんか」に使われたというわけです。

6~7年前だったでしょうか、椿油の産地である伊豆七島が頻繁に台風に見舞われ、収穫前に椿の実が落とされ、極端な不作に陥った時期がありました。この時産地では、中国から「山茶花油」を輸入し、「国産椿油」と混合して販売し急場を凌ぎました。

実はこれを「国産椿油」と偽って販売したため問題となったのですが、当時は「さざんか」の油を「つばき」に混ぜるとはけしからん!と私も思いましたし、取り締まる側もまずそう思ったのではないでしょうか?あるいは中国はまた怪しいものを輸出しやがって、と。

インターネットで中国の「山茶花油」の性状を見て、日本の「椿油」とほぼ同じであったので、なぜだろうと思っていたわけですが、同じものだったのだから当たり前ですよね。

漢字を使用する事は共通していながら、同じ漢字でも日中では原風景が異なることが多いので、隣国の文化に対してお互いに謙虚に学ぶ態度が必要なのではないか、と先の本の筆者は語っておりました。批判すべき事は批判せねばなりませんが、対立が単純な誤解から生じることは避けねばならないと私も思います。

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