前のままじゃあかんのん?

テーマ:まちづくり
高月はもともと「高槻」が地名の由来だったようですね。その名の通り、町内各所に高い槻(ケヤキ)の木が見られます。
柏原の巨大ケヤキ
野神信仰と呼ばれるように、こうした高木が神の依り代として奉られているんですね。ケヤキの木陰は周辺より一段と心地いのですが、春夏秋冬、そこに住む人達の憩いの場所となっているのでしょう。

さて、高月といえば観音の里。当初の予定では「高月歴史民俗資料館」見学の予定だったのですが、何と当日26日(月)は休館日。急遽、隣接の向源寺の国宝十一面観音拝観に変更となりました。

「十一面観音見られるんならそっちの方がええやん」とその時は思ったんです、私。ちなみに渡岸寺の観音さんと呼ばれますから、ずぅ~っと渡岸寺という寺にあるのかと思いきや、渡岸寺は地名、寺の名前は向源寺なんですね。

原色日本の美術5巻より
十一面観音は歴史の教科書にも出て参りましたね。高校時代、日本史の先生が「腰をぴゅ~っとさしてやあります」と、観音様とは似ても似つかない腰をくびらせる真似をされていたことを思い出します。

15年ほど前だったかに家族で来たのですが、薄暗いお堂(慈雲閣?)の中の神々しい、いや仏々しい(?)妖艶ともいえるその姿に思わず息を飲み、多くの旅人を虜にしてきたのも宜なる哉と思ったものです。

しか~し、本堂の横に妙に近代的な見慣れない鉄筋造りの建物が立っており、皆さんそちらの方へ入って行かれるではないですか。「何ですの、あれ?」と尋ねますと、新しい収蔵庫だとか。
2006年11月設立とか
撮影禁止でしたので写真はありませんが、とにかく建物内には国宝十一面観音と重文大日如来の二体が空間余裕綽々状態で安置され、四方八方から眺められるようになっています。さらにベンチシートが設けられ、解説の音声が流れます。こうしたスタイルは、もしかしたら観る人に対しては親切なのかもしれません。

しかし、周囲の壁面の木部はやや明るい色調で、照明も上から下からで少し明るすぎるような。とにかく、以前見た時の心の震えみたいのが全くないのです。息をひそめて魅入ってしまう、そんな感じも皆無です。例えは悪いかもしれませんが、檻に入れられた珍獣を有りがたく観賞させられている気分なのです。

恐らく数多くの方々のご尽力でこの建物が立てられ、それなりの便益もあるのでしょう。しかし、この十一面観音を見て、井上靖さんや水上勉さんが小説に書いたり、何度も再訪されるようなことが果たしてあったでしょうか。

見学会の最後は、北国脇往還伊部宿の旧本陣を外観。

こちらのご当主は、小谷城ガイド「語り部」運営委員長としてご活躍中だそうでございます。

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