社会保険制度の限界

テーマ:保険・金融
「年金改ざん6万9000件」のニュースが報じられております。国民年金保険加入の方はご存知ないかもしれませんが、社会保険加入者(いわゆるサラリーマン)の場合、健康保険料や厚生年金保険料は「標準報酬月額」というものを基準に定められており、会社と従業員が保険料負担を折半している形となります。

保険料は従業員分も会社が給料から天引きして社会保険事務所に支払う形ですから、業況が苦しくて保険料が支払えないような会社に対して、社保事務所側が「社員の標準報酬月額を下げて保険料負担を下げる」ことをアドバイスし、実行に移したものと考えられます。

この場合、社会保険事務所側には「ノルマである徴収率が上昇」、会社側には「保険料負担の減額」というメリットがあります。一方従業員にとっては「将来受取る年金額が想定以下になる」というデメリットがあります。

しかし、問題は厚生年金保険料のみならず、健康保険料も「標準報酬月額」を基準に決められているため、従業員は本来負担すべき「健康保険料の減額」というメリットを実は享受していることです。従業員だけが一方的に損をしているわけではない、ということをメディアは伝えていないように思います。

「標準報酬月額」は実は1年間の給与の平均ではなく、4~6月の3ヶ月間の給与の平均額を取る事になっており、私は以前からこのことに疑問を持っていました。つまり残業時間の調整などによって故意にこの対象3ヶ月間の給与を抑え、保険料負担を抑えることが可能だからです。(私どもはやっておりませんよお)

社会保険事務調査がある度に、保険事務所の職員さんや社会保険労務士の方に制度の欠陥を訴えてきたのですが、「おっしゃることはごもっともですが、法律で決められた事ですから」の一点張り。

また、企業が正社員ではなくフリーターやアルバイトを雇いたがるのは、社会保険料負担回避が大きな誘因です。あるいはパート勤務をなさっている奥様方は年収を130万円未満に抑えれば、ご主人の社会保険の被扶養者になれますから、健康保険料負担をしなくてもいいわけです。従って現在雇用問題とされている事象は社会保険制度と密接に係わっているのです。

今の社会保険制度は矛盾が大きく、まだまだ不正が掘り起こされる可能性があると思います。やはり一度清算して税方式を含めて根本から見直す必要があると思います。消費税の増税には抵抗があると思いますが、税負担だけに目を向けるのではなく、保険料負担と合わせた国民負担をいかに公平、効率的にすべきかを国民自身も考えねばならないと思います。

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