好物取引

テーマ:石油
一時期は150ドル/バレル近くまで上り詰めたニューヨーク原油先物相場の下落傾向が2週間に及んでいるらしい。現在は120ドル半ばで推移している。

『米議会が機関投資家の国際商品投資を制限する法案審議を急ぐなど投資規制の動きをにらんで年金基金が原油先物への投資残高を圧縮、資金流入が細っている。ただ、原油の構造的な需給逼迫(ひっぱく)は続いているうえ、米株価やドル相場が不安定になれば、再び原油に資金が還流する可能性もある。』

上記のように日経は報道している。専門的な用語も出て来て、興味のない人にはちんぷんかんぷんかもしれない。本来物の値段は需要と供給、つまりこの値段で売りたい、買いたいが均衡するところで決まるはずである。ところが現状、原油や穀物などはこの先物市場の取引価格が先導して現物の需給を超越した価格がついてしまっている。

元々「先物取引」は穀物などの将来の市場価格が異常気象などによって大幅に上がったり、下がったりして収益に著しい影響を与えるのを避ける為、いわゆるリスク・ヘッジのために開発されたものであり、江戸時代に大阪でも米取引に関する似たようなシステムが存在していた。

ところが現在のニューヨーク原油市場などは、WTIという非常に産出量の少ない原油の何倍もの量を取引する資金が流入し、「ガソリン量(当事者間取引)の100倍の潤滑油(投機)がシリンダーの中に入っているエンジンのようなもの」と形容されるほどである。

この状態を規制し、先物市場へ流入する資金を圧縮しようというのが現在の米議会の動きであり、この議案可決で相場が暴落する事を恐れたプレーヤーが徐々に手仕舞いを始めている、というのが現状であろう。

とにかく、「先物(さきもの)市場」は危険回避目的に限定していただき、金儲けしたい投機筋向けには「好物(すきもの)市場」を作って気の済むまでやってほしいものである。

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