グランヴィア大阪の快眠環境システム

テーマ:眠るための道具・寝具のお話
昨日の出張、大阪の宿を探していたら、大阪駅のグランヴィア大阪に快眠環境システムが導入された部屋があるというので、泊まってみました。
この快眠環境システムはパナソニック電工(松下電工)が開発したもので、光や温湿度、リラクゼーション音楽、ベッドにはリクライニングやマッサージ機能を備えたもので、快眠環境を実現するために自動的に光や音楽を調整してくれるというものです。一般家庭用は約700万円かかると聞いています。パナソニック電工は以前より睡眠環境への研究をずっと行っていましたので、それを実際に形にしたもので前から興味を持っていました。

グランヴィア大阪に導入されているのは、リクライニング機能はなくマッサージ機能が付いたベッド(ダブルサイズ)、光照明システム、テレビと連動した音楽で、快眠プログラムを始めると、まず部屋が薄暗くなり、ベッドが入眠向けのマッサージを行うと同時に自然音が流れます。入眠すると部屋は真っ暗になり、あらかじめ設定しておいた起床時間になると、部屋が徐々に明るくなり、小鳥のさえずりが聞こえて、起床時には部屋は全点灯し、覚醒のストレッチが行われるというものです。

快眠環境システム1

この状態では読書モード。起床時にはその下の明るい蛍光灯がつきます

快眠環境システム2

これがベッドのそばにあるコントローラ

実際に寝るとどうか?
まず音響関係が故障らしく、眠るときも、起きるときも音楽が出てこない。テレビは自動的にONになるので、いきなり番組が聞こえてきます。これから眠ろうとするときにフロントを呼び出す気にもなれません。入眠のマッサージは悪くないんですが、マッサージ部分は広いダブルベッドの中央部分だけなので、すこし身体がずれてしまうと変な感じ。朝はゆっくり明るく小鳥のさえずりが・・・のはずが、いきなりテレビ番組で起こされてしまいました。

問題点
まず、身体を正しく支えて体圧分散という本来のマットレスの機能からいうと落第です。中央のエアーマッサージは入眠時にすこし盛り上がった状態で、腰を突き上げる感じ。30cm横へずれると今度は柔らかすぎて落ち込んでしまいます。羽毛ふとんが少し厚すぎることもあって、蒸れて寝返りをしてしまうのですが、横寝と仰向け寝のどちらも落ち着きません。パジャマを用意しているのは良いのですが(スリーパーだと横寝の際に腿がが密着して気持ち悪いのです)、洗って縮んでいるのか、ちんちくりんな大きさです。
なにより18~20㎡程度の部屋にダブルベッドは大きすぎて、空間に余裕が無く圧迫感がありすぎます。

結論 ギミックである
このシステムが発表されたときに、人工的に環境を作り出すのは良いけど、人間の官能評価はどうなのかな?と疑問に思いましたが、今回の体験はそれを裏付ける結果となりました。真ん中で寝ると突き上げられ、横で寝ると腰の支えがなくなる摩訶不思議なマットレスは根本的にデザインを考え直す必要があります。空調と連動していないのも問題でしょう(ダイキンに睡眠促進用にV字温度調節するエアコンがあります)。システムにおまかせして、空間のゆとりを作っていない点も気になりました。バスはゆったりしていますが、血行を促進する入浴剤も何種類か用意すべきでしょう。タオルは薄く質感に欠けます。バスローブも欲しいですね。バスからベッドへという、一連の流れでリラックスと快眠を考えるという内容にはなっていません。快眠ルームとしてのバランスが取れていないように感じました。

現状から修正するとすれば
1.エアーサイクロンとオーバーレイマットレス(ラテックスタイプ)を重ねて寝心地を改善する
2.ちゃんと動作確認をする
3.羽毛ふとんは側の通気度を上げた上で、嵩を20%減らす

総合評価 30点
電工のショールームの体験コーナーに一晩泊まったみたいなイメージ。+5000円以上のエクストラを払う価値は見いだせませんでした。

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曳山博物館前の眠りのプロショップSawadaのオーナー
睡眠指導士や睡眠環境コーディネーターの資格を持ち、日夜快眠実現のために、いろいろと寝具やベッドの研究を続けています。

副業として、アートインナガハマなど、街中のまちづくりにもいろいろ関わっています。

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