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ブランドの向う側

テーマ:お店の情報(イベント等)や仕事のお話
何年か前に、JCのリノベーション会議で出島二郎先生が基調講演でおっしゃられた言葉。

要は、ブランドがどうのこうの、という時代から、ブランドを超えた真の価値を試される時代が来るよというお話でした。

バーバリー
夏物セール中です。実は、バーバリーのナイティを40%引で処分することにいたしました。(泣く泣く)

というのも・・・
バーバリーは西川産業がライセンシーとして生産を行ってきました。トップブランドだけあって、品質の基準が非常に厳しく、私どもとしても安心して販売できる品です。例えばパジャマなんかは、アウターのシャツと同じレベルの生地と縫製を要求されていました。それで、価格はパンツまでついて、シャツより安い。着心地は抜群で、ですから、一度お買上いただいたお客様は、必ずといっていいほどリピーターになってくださったのです。

ところが・・・
バーバリーの直営店はほとんどバーゲンをやりません。一方で、地方の専門店でチラシに堂々とバーバリーのバーゲンをやる店が後を絶たず、これがバーバリーの逆鱗に触れて、結局、百貨店ルートだけになってしまったのです。

同じことがエトロでも起きました。
聞くところによると、東京・青山の角の一等地に寝具店があります。一等地のくせして、ブランドもののタオルやナイティを値下げ価格で段ボールに入れて売っていました。その店は私も何回かそばを通ったことがあります。いつも「こんな一等地でもったいない」と思っていました。
それをエトロのスタッフが見て、これも逆鱗であります。専門店ルートの出荷は直ちに止められ、ライセンシーの西川産業はすでに刷り上がったカタログを全て作り直すはめになりました。

安売り自体は消費者にとっては悪いことではありませんが、ブランド価値を守りたい側にとってはあってはならないこと・・・トップブランドならなおさらでしょう。

とばっちりで、昨年からバーバリーの寝具は仕入できなくなってしまいました。
入荷が止まる直前にそこそこの数量を買い込んで細々と販売しておりましたが、これから入荷するあてもなく、結局クリアランスをかけること・・・。

寝具業界というのは、家電業界と違い、値段と品質のバランスがむちゃくちゃ。
それだけに、本当の価値を評価しないととんでもないことに・・・




ヘンな羽毛

テーマ:羽毛ふとんのお話
本当はニューマシン(除塵機と充填機)の画像をお披露目したいのですが、店から画像がうまくアップできません。

キカイの入れ替えで羽毛布団のリフォームがずいぶんと溜まっていました。今日は丁稚体験の子にも手伝ってもらいながら何枚か仕上げました。

新しい充填機は一マスごとに入れる羽毛の重量を正確に測れるので、誰にでも作れるという利点がありますが、単純な4×5キルトの羽毛だと、熟練の技術で入れたほうが倍以上早く仕上がります。といっても、充填機のクセをできるだけ早く知ることが必要なので、じっと我慢の子で入れています。

さて、今日のネタは西川ローズの羽毛ふとん。 西川には本家である西川産業(東京西川)、兄弟分の 西川リビング(旧大阪西川) 分家筋の京都西川 などマークは一緒でも会社は別々。モノづくりの考え方も別々。

京都西川の定番品、すなわちメインとなる商品には「ローズふとん」の商標が付いています。定番品は、こちらが販売したい価格=仕入れ価格になるぐらいにクソ高いのですが、高いだけあって、確かに品物はしっかりしています。(これで商品が悪かったら詐欺)

そのローズ羽毛ふとんのリフォーム。側を解体して中の羽毛を取り出すのですが、なんか不自然に白い。その直前にリフォーム解体した大阪西川(現 西川リビング)のスノーホワイトグース(たぶん ロシア・シベリア系の羽毛だと思う。シベリア産は白度が高いものが多い)のスノーホワイトの白よりまだ白い。

紙で言うと、中国産が白色度70%ぐらい(官公庁の紙)だとすると、スノーホワイトグースは90%近い純白の白さ。ところがローズ羽毛ふとんの白は95%以上あるのではないかと思うぐらい異常に白い。

「ああ、これが例のホワイトニングの羽毛か」と気がつきました。羽毛はホワイトの羽毛といっても、実際にはブラックスポットといって、グレーの羽毛が混入します。どうも、それを純白にみせようとしたのか、真の原因はわかりませんが、蛍光染料によって真っ白にしているらしいです。実際に京都西川のカタログや本社の売り場にいくと、ブラックライトをあてて白く光る羽毛を自慢げに見せています。前は「蛍光染料まで使ってなんじゃ、これは。アホか」と内心思っていました。白く見せる以外には全く意味がないことなので・・・・。

そういえば何回かリフォームした記憶が蘇ってきました。今日はスノーホワイトグースの後だから気がついたのですね。素材は良いのでそのまま使えば良いのに、素肌美人に美白のパウダーで真っ白けに化粧したみたいな不自然さがただよいます。

まったく不可解なことをする会社です。ちなみにこの会社
「ローズ羽毛ふとん」  品質良し。お金がごっそり余っていたら買っても良し。コストパフォーマンス×
「EarthBirdブランド」  もともと量販店向けの安売り用ブランド。中身も価格なり。
「京都西川」と付いた中国製製品(西川の○マークもローズとも書いていないもの) 買ってはいけない。中国製なら西川産業(東京西川)製の方が品質が格段に上。

というのが、プロから見た評価。西川という名前がややこしいので、ご注意を。

凝り性といわれても・・・羽毛工房がバージョンアップ

テーマ:羽毛ふとんのお話
創業120周年記念の目玉でもある 羽毛の除塵機と充填機の設置が本日やっと終わり、試験運転も無事すみました。
写真は明日載せます。
これで理想とする羽毛工房にかなり近づけたのではないかと思います。

羽毛の手作り仕立てとリフォームを店頭で行えるようにしたのは、今から20年ほど前のこと。まだ羽毛ふとんは普及途上でしたが、お客様に安心の中身を届けたいという気持ちから、R&Rシステムという機械を導入して始めました。
R&Rシステム

当初はそれでも、ほとんど既製品を販売していたのです。そのうちに、既製品の品質が落ちるのに対応して、少しずつオリジナル化をすすめ、6,7年ほど前からは80%以上がオリジナル、2年前からは完全にオリジナルへ移行しました。

同時に、リフォーム(仕立て直し)も増えていきましたが、スチーム洗浄では洗いが十分ではありません。結構汚れの強いものが多いのです。たまたま、カウフマン社の前会長で世界羽毛協会の会長でもあったボーラー氏から、ドイツで程度の良い羽毛リフレッシュマシンの中古品がある、との情報をいただき、2年半前に導入をいたしました。
LORCHマシン

これで洗いは完璧といっていいのですが、除塵に不満が残りました。大きなフェザーは分別できるのですが、除塵が十分でない。なんとかできないか・・・

R&Rシステムも20年使用して、計量充填が出来なくなっていました。数年前から充填機の新調を考えていたのですが、今回除塵機とあわせての導入となりました。充填機はマスごとの重量を1g単位で計測して充填できる凝り性タイプ。「どうせするなら、中途半端でないものを」ということで3つの計量器を使って精密に測定します。
さらに、吹込み機には秘密兵器ともいえる、大型サイクロン式です。

これにより、日本羽毛協会が定める最高レベルのプレミアムダウンウォッシュに相当する、一枚ずつの羽毛直洗いに加え、乾燥除塵-送風分別-除塵-サイクロン除塵という5段構えでホコリを取りながら、リフォームが可能です。

機械メーカーさん曰く「(一般の小さな)工場で、これだけの設備をもっているところはないよ」
たぶん、羽毛ふとんのリフォームとしては国内で最高レベルを提供できるでしょう。

今月末には壁を付けて(そのままだと結構音が大きいので)完成になります。
ご期待ください。





朝までクールジェル事件の示唆するもの

テーマ:眠るための道具・寝具のお話
「朝までクール」といいながら実際には30分程度しか冷たくない、として国民生活センターが発表した事件は、寝具業界には激震が走りました。なんせ、夏の目玉が少ない業界ですから、業界こぞってこのタイプの寝具に夏の商戦をかけていたところがあります。

「これを使う時はエアコンを26℃ぐらいに入れて使ってくださいね。そうしないと涼しくありませんよ」と説明して売っていたお店があったそうですが、26℃でエアコン入れるのなら最初から必要ないですよね。どこかに無理している、と判っていながら、全国的に売れている、はやっているということで販売していたところも多いんじゃないでしょうか?。

何故こんなことになってしまったのか?反省しなければ、また同じようなことが起こる可能性は非常に大です。
その理由の第1は
十分なテストをせずに出荷してしまう
ことにあります。こんなことは寝具業界ではしょっちゅうです。

社員全員に配って1ヶ月間テストを行えば、欠点は十分に把握できたはずです。ところが、それをせずに物理特性だけ(この場合は冷えるということ)を信じて販売に踏み切ってしまうわけですね。

今回の特徴はさらに
睡眠科学を無視した
という、唖然とする現状があります。

確かに、ヒトは入眠すると深部体温を下げます。そのために入眠前には熱を放出するために、手足耳など抹消血管をラジエーターとして使います。その意味からいえば、体を冷やす行為は決して間違いではありませんが・・・
快適な寝床内は温度33℃湿度50%であるということです。この数字については一部で異論もあるようですが、寝具の温度が皮膚表面温度に平衡することは間違いなく、この時湿度が高いと不快指数が上がる。即ち、快適な寝具の条件は適切な湿度調整であることには広く知られています。
ですから、汗を放出する皮膚表面の近くに、透湿性・吸湿性のない素材を使うことは、即蒸れにつながることは容易に類推できることです。それをシーツ1枚使ってくださいではあまりです。

一昨年販売した時も、私の店では「上に吸収力の強い敷きパッド、もしくは厚手のタオルケットを使ってください。」とご説明いたしましたが、この製品単独での温湿度コントロールに難があるとして、昨年は取り扱いを中止した経緯があります。

同じようなことは、マニフレックスや低反発マットレスの説明にもあって「ウレタンフォームがオープンセルなので通気性が抜群」と謳ったにもかかわらず、実際は湿気がこもってカビが生えたり、マットレス面で蒸れが生じたりすることはざらでした。 素材屋の言うことを額面どおり信じたらいけないのですけど、どうも体質的に多いですね。

他山の石とすべき事件でありました。

P.S. なんかここ数日、ネットで本麻敷パッドのご注文が増えているのですけど、この事件のせいかな?


TOPOSPOT 午後6時30分より除幕式

テーマ:まちづくり
17日の午後6時30分より、黒壁本館横のポケットパークでガラスのピラミッドTOPOSPOT完成の除幕式が行われます。

これは今年行われている「長浜アーバングラスコンペティション」のプロトタイプとなるものです。

長浜アーバングラスコンペティションはガラスによって街の空間を創りだそうという新しい取り組みです。現在エントリー募集中ですが、アーバングラスという新しいカテゴリーの創造をめざすものでもあり、具体的な形にするためにプロトタイプとして制作がおこなわれました。

このトポスポットと呼ばれるガラスのピラミッドのデザインはコンペティションの審査委員長でもある川上元美先生。
先生のデザインを実際のカタチにするまでには多くの困難を乗り越えなければなりませんでした。

スタジオガラスを中心とする黒壁の工房とはまた違う、ガラスを使った町屋空間づくりであるアーバングラス。この運動を続けることにより、長浜の町並みがより感性あふれるものになることをめざしています。

とにかく、見に来てください。18日はゆかたまつり、18、19日は黒壁のビアフェスタ、アウグスブルグ姉妹都市50周年記念事業のドイツワインコーナーも設けられます。夜の空間での美しさを体験していただけると思います。



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曳山博物館前の眠りのプロショップSawadaのオーナー
睡眠指導士や睡眠環境コーディネーターの資格を持ち、日夜快眠実現のために、いろいろと寝具やベッドの研究を続けています。

副業として、アートインナガハマなど、街中のまちづくりにもいろいろ関わっています。

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