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羽毛布団は洗ってもいいの?

テーマ:羽毛ふとんのお話
さてもう一つ多い質問「羽毛布団は洗えるのですか?」

実際クリーニング店でも羽毛布団の丸洗いをしているところは少なくないが実際はどうなのだろう。

結論からいうと「できるだけやらないで欲しい」

羽毛布団の生地の分類方法はいろいろあるけれども、「洗うことができる生地」と「洗えない生地」に分けられる。
「洗うことができる生地」はさらに「通気性の良い洗うことができる生地」と「通気性が悪いが洗うことができる生地」に分類されると思ってほしい。

問題は、国内で販売されている羽毛布団の90%以上が、実は「洗えない生地」で出来ているという事実である。詳しく説明してみよう。

ほとんどの羽毛布団の側にはダウンプルーフという「羽毛の吹き止め加工」がなされている。この加工が丸洗い(この場合水洗いということ)によって吹き止めの効果が減ったり、無くなってしまったりするのである。一般的に多い60サテンの場合、あるメーカーの生地は通気度が1.3ccであるが、丸洗いするとダウンプルーフが取れて3.7ccと通気度が上がってしまう。この羽毛布団を丸洗いすると、羽毛、特にダウンファイバーと呼ばれる羽毛のゴミが出やすくなってしまう。国産の生地の場合通気度は2cc以下にするのが一般的で3ccが上限であるからなのだ。

全ての羽毛布団が丸洗いすると吹き出しが出て使い物ににならないか、というとそこまではないのだが、リスクがかなり高いのは事実だ。

ドライクリーニングはその心配はないが、そのかわり汚れが取れるのは表の生地だけで、中の羽毛まできれいになるわけではない。

次に、市販で多くみられる「ウォッシャブル羽毛布団」。これのほとんどは生地がポリエステル、もしくはポリエステルが高混率の生地だ。確かに洗えるのだが、初期の通気度は1cc未満のものがほとんどだ。つまり、洗えるけど通気性が悪いので蒸れやすい羽毛布団だということになる。羽毛本来の良さは失われてしまうのだ。

それならば「通気性の良い洗うことができる生地」を選べばいいのか、というと、それが正しいのだけど、このタイプの生地は日本でも非常に少数派だ。一方ヨーロッパには多い。うちの店の定番生地 W88,S59,S16,158,5158,198はいずれも丸洗いに対応して、しかも高通気度(2cc~2.5cc)である。

羽毛は10年以上使ったらリフォーム(仕立て直し)をして、また長く使うことができるのだけど、代謝量が減っている高齢者はともかく、通常は3~5年に1度は丸洗いをしたいものだ。それによって、羽毛の損傷が少なくなり、長く使うことにつながるのである。

羽毛メーカーの中には丸洗いできる点を強調するあまりに、毎年洗うことを推奨しているところがあるが、私は絶対おすすめしない。毎年洗うと、羽毛の油脂分が少なくなって・・・つまりリンスのしていないバサバサの毛になり、弾力性が失われて、羽毛が壊れてしまうのだ。

というわけで、新規購入やリフォームの際は丸洗いに対応した側を選ぶことをおすすめしたい。
どうしても、洗えない生地の羽毛布団を洗いたい場合は、このリスクを認めていただいた上で、できるだけ丸洗い時に生地に負担をかけない洗浄方法(アクアジェット・ウォータージェット)が良いだろう。

羽毛布団は干してもいいの?

テーマ:羽毛ふとんのお話
minoriさんから ご質問をいただいた。「羽毛(羽根)布団はお日様に干せないのでしょうか?」

結論から言うと、「干してください」

一般に、羽毛布団は「日干しは避けて陰干しにしてください」と説明されることが多いがこれには理由がある。
今から25年ぐらい前、羽毛布団もそれほどポピュラーではなかった頃、主流は木綿わたの布団だった。専業主婦のいるご家庭も多かったので、当時は三日にあげず布団を干していらっしゃった家庭が少なくなかった。

羽毛布団は長く使えるので、そのような干し方をすると生地が弱ってしまうのと、羽毛や羊毛ふとんは発散性が良く乾いた風が通るだけで、羽毛自体は湿度調節をしてくれるからという理由から「陰干しにしてください」となったわけである。

ところが、今日では布団をこまめに干す、ということがずいぶんと少なくなってしまった。また、羽毛自体は調湿能力があるけれど、側生地の綿は日に干さないと湿気をとることができない。殺菌効果もあるので月に一度程度、軽く1時間ほど日干しをすることをおすすめしたい。

実際、羽毛布団のリフォームでお預かりした布団の中には、長年干していないご様子で、側がじっとり湿っているというケースも見られるのだ。

正しい干し方
1.カバーをかけたまま干すこと。カバーは干した後に洗濯をする。最近は空気中にアレルゲンやホコリ、季節によっては花粉・黄砂などいろいろあるので、布団に直接付けないようにすることが大切である。

2.天気の良い日に表裏各30分ぐらいがめど。長く干してもせいぜい片面1時間ぐらいで十分。

3.今の時期冬の布団をしまうときには、必ず干すこと。

なお、羽毛布団に破れがあってカバーの中に羽毛が吹き出しているときは、リフォーム(仕立替え)が必要なので、そのままお持ちいただきたい。特に10~15年ぐらい前にはやった、絹交職の生地は弱くて破れやすいので要注意である。

羽毛布団でダニが心配という方がいらっしゃるが、羽毛布団の生地は高密度で織られているので、一般にダニの出入りはほとんどできないので安心して欲しい。

羽毛布団をチェックする意味でも、定期的には干していただきたいものである。羽毛布団はリフォームをしていけば長く使えるが、通常の手入れが大事でもある。

次は「羽毛布団は洗えるか」 乞うご期待



羽毛布団リフォームの早割 まもなく終了

テーマ:羽毛ふとんのお話
5月は決算。ということで、羽毛布団のリフォーム(仕立直し)で5月30日まで、羽毛布団リフォームの早割セールを開催中。(正確には5月中に仕立納品完了分だけど、5/30までなら可)

柄は限定(といっても10柄程度)だが、通常のリフォームパック(羽毛の直洗浄・三段階除塵・新しい側・足し羽毛・仕立)から3000~5000円引となる、ちょっと美味しい企画。
お急ぎあれ


羽毛洗浄機


羽毛の仕立



羽毛布団リフォーム:ダブルを子供用のシングルへ

テーマ:羽毛ふとんのお話
羽毛布団のリフォーム(仕立直し)については、まだまだ情報が少ないので、いろんなケースをご紹介していこうと思う。

ケース:結婚の時に購入したクイーンサイズの羽毛布団と肌ふとんを、子どもさん用のシングル2枚にしたい

今回のケースは結婚後10年ちょっとで、お子様は小学校のお二人。

まず、重要なことは「子どもの基礎代謝量は、大人の倍ある」ということだ。つまり、子どもは汗を沢山かいて、成長ホルモンを分泌させて成長するということである。当然大人に比べて暑がりだから、大人と同じようなリフォームをするのはおすすめできない。

つまり
1.暑すぎけとばさないような中厚の仕立
2.通気性の良い生地とキルティング
3.できれば丸洗い可能な生地

というのが、子ども向けの羽毛布団のポイントである。
そこで、お勧めの生地は「W88」 綿100%で通気性が良い。80番手のサテン織り、重量も114g/㎡と一般の超長綿60サテンより20%軽量だ。一番の特徴は丸洗いに対応していること。子どものふとんは汚れやすいので、3年に一度ぐらいの割合で丸洗いするのがおすすめだ。

ところが、市販で販売されている羽毛布団はほとんどが丸洗いすることができない。羽毛布団用生地には羽毛が飛び出して出てこないように、「ダウンプルーフ」と呼ばれるコーティングがなされている。丸洗いすると、このダウンプルーフがなくなってしまい、羽毛の吹き出しのリスクがあるからだ。

W88の生地はウォッシャブル対応のダウンプルーフ加工なので、安心して丸洗いすることができる。

キルティングは5×6マス。一般の20マスに比べて1.5倍の30マス。通気性にも優れる一方、マス目が小さいので身体へのフィット性も良い。ベッドの上でも落ちにくくなっている。
マス目が多い分、仕上がりの厚さは中厚となる。

羽毛ふとんパターン5×6


このように、実際に使う人に合わせたリフォームが必要なのである。

意が伝わっていないか・・・

テーマ:お店の情報(イベント等)や仕事のお話
昨日 去年の8/11の記事にお叱りのコメントが入った。

羽毛のハンドプラッキングが動物愛護団体のバッシングを受けていて、(中略)その結果羽毛が値上がりするという記事内容に対して、こういう動物愛護団体に(反捕鯨団体の言及もふまえて)偏見を持っているのではないか、経済優先ではないか、私はクルーエルティフリーなら高くても買う、という趣旨のコメントである。(内容が一方的に思われたので承認はしていない)

この記事だけを見てそうお感じになったのか、よくわからないのだが、これには背景がある。羽毛の問題はまず現状を理解していただかなくてはならぬ。

羽毛のハンドプラッキングの問題は現場からいえばでっち上げに近い。通常鳥の羽毛は生え替わる。ほおっておくと下に落ちてしまうので、生え替わり寸前に手でプラッキング(摘み取りを)する。鳥に痛みが皆無だとはいわないが、生え替わり寸前だから、ストレスは非常に少ないと考えて欲しい。

これを、これから生えそろう鳥を持ってきて羽毛をむしり、赤く腫れたといって問題だとテレビ番組が仕立てたらしい。そりゃ、その時点でむしったら痛いにきまっている。どうも過激的な団体が仕掛けたらしいが、これが元になってハンドプラッキングは禁止となった。

結局困ったのは実直な農家である。農家へプラッキングを専門に回っていたおばちゃんたち(ジプシーが多いという)には致命的だ。成長途上で羽毛を得ることができないために、グースの飼育数は減り、特に長期飼育のグースが激減したという。皮肉な目で見れば、短期飼育のグースが増えたということは、グースの生かされる寿命が減ってしまったということだが、そういうことはお構いなしなのか? 従来のようにプラッキングをしていれば、一羽の鳥から3回採取できたのだが、こうなると同量の羽毛を揃えようとすると3羽の命が必要となる。

動物愛護は確かに大切だ。このことに反対するつもりはないが、今回のは度を越しているように思われる。実際業界では、あるポリエステルメーカーの陰謀ではないか・・・などというまことしやかな情報が飛び交った。
結局、昔からつづく農家のある種の文化が壊れようとしている。良い農家は、彼らが育てている鳥たちを心から愛しているのだから。

これって、アメリカが良くやる「民主主義」の押売りによく似ていないか? 自分たちは間違っていないと、十字軍のような振る舞いに正直私はうんざりしている。 民主主義の輸出をしながら、一方でちゃっかりと儲けている。イラクなんて典型だよね。

動物愛護団体や、反捕鯨団体も、先鋭化することで寄付を集め団体を拡大してきたことは間違いがないだろう。しかし動物や鯨に対する上から目線が、いかにも西洋的だ。東洋の、仏教思想なら動物・植物を問わず生きていることについては平等であり、お互いが殺し合いをしなければ生きていけないという、現世の業を認識するところから始まるのだろうが。

皆さんはどうお感じになられるだろうか?
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曳山博物館前の眠りのプロショップSawadaのオーナー
睡眠指導士や睡眠環境コーディネーターの資格を持ち、日夜快眠実現のために、いろいろと寝具やベッドの研究を続けています。

副業として、アートインナガハマなど、街中のまちづくりにもいろいろ関わっています。

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