高反発マットレスと低反発マットレスの違いという記事に関する一考察

テーマ:ベッドとマットレス、敷ふとんのお話
朝日新聞・エアウィーブの広告から

滋賀医科大学睡眠学講座認定 睡眠指導士上級 沢田昌宏

7/28付で朝日新聞でエアウィーブ社の全面広告において、高反発マットレスと低反発マットレスの違いについてスタンフォード大学の実験結果を基に高反発マットレスの方が深部体温の低下が大きく、除波睡眠も多いという結論が出ていた。

記事については、概ね正しい情報と思われるし、このような睡眠の情報が一般に知らされることはいいことだと思う。ただ、スポンサーであるエアウィーブ側が低反発マットレスに対するエアウィーブ=高反発の優位性を示したいがために「高反発と低反発」という比較がなされていたが、実際には、高通気度マットレスと低通気度マットレスの違いとした方が正しいように思われる。

スタンフォード大の実験の要点は素材による熱移動がどうなるかということがポイントで、エアウィーブのような通気性の高い素材は熱の放出が行なわれやすく、低反発マットレスのような密着性が高く、通気性の良くない素材は熱がこもって、深部体温の熱放出がスムーズに行なわれない、ということだろう。

厳密にいうと高反発と低反発の違いというより、素材の通気性によるのではないかと考えられるのだが、記事からは高反発が睡眠が深いという誤解を与えてしまう。例えば高反発マットレスの一方の雄であるマニフレックスはどうなるのか・・・というと、マニフレックスに使われているエリオセルはオープンセルといいながらも、決して通気性が良いとはいえない。じゃあどうなるのか、ということである。

ヒトは深部体温を下げながら睡眠に入る。この時に体温の放出がスムーズに行なわれないと深部体温はなかなか下がらず、深い睡眠(除波睡眠)が得られない。このことは睡眠のメカニズムの初級でもある。

このときに何がポイントとなるかというと
1.寝具の熱移動がどうなるか。
これも、外気温の高い夏は熱移動が早い素材(麻など)がいいし、外気温が低い冬は熱移動が早すぎると、温度が下がりすぎて入眠しにくいということになるので、この場合熱移動は少なめがいいだろう。つまり、季節によって熱移動の要求水準がかわるということだ。

2.寝具の水分移動と発散メカニズムがどうなるか。
快適とされる寝床内は温度33℃湿度50%(55%±5%)とされる。この時に発汗した水分を吸収発散させるしくみがないと、湿度が上がり蒸れやすくなる。特に夏は発汗量も多くなり、室内温度と寝床内温度の差が小さいために、湿気のコントロールが重要となる。この点で低反発マットレスは、体面に密着し、素材の通気性も良くないことから蒸れやすい。体の下の接触面に空気を持つエアウィーブ(同様の素材にE-CORE、ブレスエアー、エアークイーン等)やジェルトロンなどは、空気の循環が早くできるために湿度の発散が早い。それゆえ気化熱を奪い、温度と湿度を下げることにより、快眠の条件を整えやすいといえる。

再度整理すると、良質な睡眠環境を得るための要素として「高反発」と「低反発」という、その表示の根拠すら明確でない(=どの段階から高反発と表示できるのかという指針がない)要素を取り上げて論評するのは科学的とはいえないのではないか、ということだ。
表面の硬さ、反発力、保持力、保温力、吸湿力、水分移動特性、熱遮断性、熱伝導性など寝具の快適環境を左右する要素は多いが、個人の基礎代謝量・発汗量等の違いや好みなどによって、個々に快適な要素は大きく変わってくる。

これらの要素は季節によっても大きく左右される。

最近の日本睡眠環境学会が、これらの要素に肌触りなどの官能特性を加えて、気持ち良さをどのように表現し追求していくかを重要課題としているのは、寝具の性能を単に一要素で判断すべきものではないからだと思われる。

結論
今回の記事は、睡眠のメカニズムについて社会に情報発信したことは、いままでの寝具メーカーが行なってこなかったことであり、評価したい。その一方で、「高反発」と「低反発」という一要素で快適睡眠環境が決まるかのような誤解を与えることは、好ましくないと考える。

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