暖かい布団とは その2

テーマ:眠るための道具・寝具のお話
さて、その1では、旧来型の寝具の暖かさについて述べたが、その2では、新しい寝室環境における寝具の暖かさ、いや快適さについて述べてみよう。

今日新築される一戸建て、あるいはマンション、アパートなどに共通するのは保温性の良さと気密性の高さである。エアコンは必須であるし、床暖房もめずらしくなくなっている。
このような住環境では、冷え込んだ凍えそうな寒さというものは実感することが少ない一方、気密性が高いために、湿気のコントロールが難しくなってしまう。すなわち、保温性より、温湿度の調整をうまく行なう事の方が重要になるのだ。

おさらいしてみよう。伝統的な日本家屋は通気性が重視されていて、保温性は少ない。その中で、従来多く用いられてきた木綿わたの布団で眠ると、布団を暖めるのに多くの時間と熱量を必要とする。

ところが、高気密高断熱性の住宅だと保温性はそこそこ確保されているが、通気性に乏しい。布団の中わたも羽毛が主流になってきているので、保温性には事欠かない。布団が暖まるのが早くなるのである。

ところが、保温性の高い寝室で羽毛布団を使うと、保温性が非常に良いので、熱の上昇が素早くなる。ヒトは最初のノンレム睡眠時(入眠後45分~1時間ぐらい)に最も多く成長ホルモンを分泌し、その際に最も多く発汗する。すると、身体の温度に暖まるのが早い状態で、多くの発汗する状態になると、今度は蒸れが生じるのだ。

快適な寝床内環境は温度33℃、湿度50%といわれるが、早々に33℃に達して、そこに多量の発汗では蒸れるのが当たり前である。今日の睡眠環境においては、保温よりも湿度を上げない工夫が必要になってくる。

さて、その羽毛ふとんだが「厚すぎて暑い」ということを最近聞くようになった。良質の羽毛ふとんほど多層構造で、良い中身を多く入れる傾向にある。たしかに多層構造は保温性に良いが、一方で湿気の逃げは良くない。代謝量が低く、冷え性気味の女性ならいいかもしれないが、代謝量の高い人に取ってみれば、蒸れの原因となる。今日の寝室環境ではなおさらだ。

暖かい寝具を選ぶということは、今日的な意味では「適切な温湿度を保つことができること」に変わったのだ。

(つづく)

暖かい布団とは その1

テーマ:眠るための道具・寝具のお話
久しぶりに寝具ネタに戻ってきた。

布団の形容詞に最もぴったりくるのが「暖かい」という言葉だろう。それでは暖かいとはどういうことなのか、そのメカニズムを説明してみたい。

暖かいとは、要は自分の身体の体温で暖まる(というか熱が逃げない)ことだ。基本はここにあるのであって、電気毛布などの暖房器具はあくまで補助的に使われるべきだろう。この、身体の体温でもって眠れることを、私は「自然な眠り」と呼んでいる。ヒトの身体のメカニズムに合った睡眠だからだ。

しかし、この自然な眠りも、それを実現する方法は時代と共に変わってくる。

この20年で最も一番大きく変わったのは家の構造であり、寝室の保温性や通気性だろう。
その昔、いや今でも日本家屋で木綿わたの布団に寝ている方もまだまだ多いはず。木綿は汗をよく吸うので、こまめに干さないと、じとっとして湿気を帯びてくる。日本家屋の保温性は無いに等しいので、部屋の中は冷える。当然寝具も冷えるわけで、寝る前には湿気を帯びた冷たい布団となっている。

ここへヒトが入るとどうなるか。まずヒトの体温36℃でもって、布団が暖められる。暖められるに従って湿気は次第に発散されるが、この過程ではかなりな熱量を必要とする。当然ヒトは寒く感じるので、体温を逃がさないようにするために血管は収縮する。一方、ヒトは眠る時に内臓温度を下げるために、血液をラジエーター液として、末梢血管をラジエーター代わりに熱を放出するわけだが、血管が収縮するとラジエーター効果は得られなくなるので、なかなか眠れなくなるわけだ。

これを解決するためには、ヒトの周りに熱を奪わない早く暖まる、湿気の少ない素材を用意するのがベターである。それがアクリル毛布という訳だ。アクリルは汗をほとんど吸わない+毛足が長いために身体にまとわりつくので、結果早く暖まり+熱も逃げないのだ。それゆえ、重いのは承知で2枚あわせのアクリル毛布が一世を風靡した。まず毛布が暖まってから、徐々に布団が暖まるようになったので、このような寝室環境下ではアクリル毛布を使うのは理にかなっている。

もし、布団の湿気が少なく(干したすぐ直後)、布団が暖まっていれば毛布の必要性は下がる。
冬の朝の布団が気持ち良いのは、温度が最適に・・約33度になっているからだ。だから、布団から出にくいわけだが・・・

ちなみに電気毛布は寝る前に布団を暖めるために使い、寝る時に切るのが最も良い。というか、電気毛布を使わなくてすむ保温性を確保することが大事なのだ。ヒトは眠ると体温を下げるのだが、電気毛布を使うとこの体温がなかなか下がらない。結果、身体は休まらないし、身体は体温を下げようとして発汗するから皮膚表面や身体の水分を奪う。寝ている時に電気毛布が無いと寒いのであれば、それは布団(特に敷布団)の保温性、あるいは熱遮断性が不足しているからである。
もちろん代謝量が下がっている高齢者の方は、熱量不足になりやすいのだが、電気毛布を高温で使うのは以ての外である。眠る1時間前に、寝具を十分暖めておいて、それでも寒い場合は最も低い温度設定にすべきであろう。

(つづく)

最近の記事一覧

カレンダー

<<      2010/12      >>
28 29 30 1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31 1

ブログランキング

フリースペース

ねむりはかせのキャラクターの名前はネムタといいます。なまけものです。
元サンリオにいらっしゃったキャラクターデザイナー井上・ヒサトさんの作品をご厚意でお借りしています
ネムタのホームページはこちら

通販サイトはこちらから
眠りのプロショップSawada 楽天市場店

ショップの地図はこちら
長浜の曳山博物館の前です

Facebookページ


ビデオクリップYouTube
店のプレゼンテーション
滋賀経済Now紹介
ヒュスラーネストの説明
プレジールのエアーピローの説明

アーカイブ

HTMLページへのリンク

プロフィール

ネムタ1

ねむりはかせ

曳山博物館前の眠りのプロショップSawadaのオーナー
睡眠指導士や睡眠環境コーディネーターの資格を持ち、日夜快眠実現のために、いろいろと寝具やベッドの研究を続けています。

副業として、アートインナガハマなど、街中のまちづくりにもいろいろ関わっています。

眠りのプロショップSawada

最近のトラックバック

参加コミュニティ一覧