なぜ羽毛布団を輸入販売しているところがないのか?

テーマ:羽毛ふとんのお話
あるお客さまからメールで次のようなご質問をいただきました。
それは「羊毛布団やベッドは輸入販売されてところがあるのに、羽毛先進国とおもわれるヨーロッパから、なぜ羽毛布団を輸入販売している店がないのでしょうか?個人輸入をすると日本の1/2~1/3という話もありますが・・・」という疑問です。

たしかに、ほとんど無いんですね。それには理由があるからで、次のようなかたちでお答えしました。

まず、サイズが異なります。向こうの標準サイズは135x200 155x200 155x220 (各cm)
ということはそのまま輸入するしてもカバー等の問題があります。(日本の標準は150×210cm) カバーのずれ防止用の紐掛けもついておりません。日本仕様でOEMすることはもちろん可能ですが(例えば私どもはビラベックの羊毛敷布団を裏リネン麻にしてオリジナルを作ってもらっています)、その場合は輸入コストから考えてもハイエンドクラス(高級ゾーン)でないと採算が合わないでしょう。

個人輸入だと価格は1/2~1/3とありましたが、向こうの量販店店頭で販売されている価格199~399ユーロぐらいをご覧になっての事と思います。しかしこれでは日本市場での量販店店頭価格とそれほど違いがありません。単品で輸入する配送費を考えると、どの程度の採算面での目算があるのか、正直疑問ですね。それと、表示に関しては日本の方が厳しいのです。向こうでクラス1ダウン100%と表示していても、日本国内だとダウン90%クラスであることが多いからです。

羽毛は生地と原料があれば、国内で作ったほうが輸入コストや在庫リスクを考えると安いのです。原料も現地洗浄したものを調達するより、原料を圧縮して輸入し国内洗浄したほうがコストが安いのですね。

実際私どもの例でいいますと
カウフマン社の羽毛ふとんを向こうで日本仕様で製造し輸入するのと、同じ生地と原料を輸入し側は国内縫製、自家製造するのとでは、特に在庫リスク面がかなり違うので販売価格は30~40%違うでしょう。輸入だと発注から納品までの期間がかなりありますから、サイズの品揃えなどを考えると、それなりの在庫を積まなくてはなりません。臨機応変に対応できる国内の方が在庫を少なくできて、その分安く提供できるのです。

また、私が仕入れるのはカウフマン社でもトップ5のプレミアム原料だけです。これは国内の原料メーカーではどうやっても調達できないからですが、一般的な(国内価格で50,000~100,000円で販売される上質なクラスの)ポーランドやハンガリーグースなら、国内の原料メーカーから入れた方が安いです。

今年の1月に行った時の話ですが、カウフマン社でポーランドグースが値打ちなので買おうとしたところ、その原料はヨーロッパ向けなのでダックが10%程度混入しているということで止めたことがあります。ダックが10%混入するのなら、わざわざヨーロッパから精製羽毛を買う理由がありません。カウフマン社のトップである手選別ステッキーグースは羽毛をいためないように圧縮せずに送ってきますので、輸入コストもかかります。これはトップクラスの高価な羽毛だからできることですね。

結局、ヨーロッパ製造の羽毛布団を日本で販売するには、かなり高価格帯でないと成り立ちにくいのではないかと考えます。もちろん、向こうの量販店クラスの品をOEM製造して大量に輸入販売することは可能ですが、量販店店頭の中心プライスが10000~20000円になっている現状では、価格的に太刀打ちできません。ヨーロッパのメーカーでも量販店向けは中国や台湾などから側生地や原料を調達しているケースがかなりあるからです(安いから)。

閑話休題

さて、最新ニュースが入ってきました。昨年から起きていたことですが、高級羽毛では必要なハンドプラッキング、これは羽毛が自然に生え替わる際に伝統的に行なわれるのですが、ヨーロッパではそれが動物虐待だとキャンペーンを行なっている団体があって、表向きは禁止の方向に向かうかもしれない状態とのことです。
なにやら反捕鯨のキャンペーンに似通っている感じで、しかも特定のメーカーのポリエステルふとんをアピールしているところから見ると、余計にやらせっぽいのですが、反捕鯨同様ムーブメントになってしまうと、販売者も農場も萎縮してしまい微妙なようですね。

来年1月のハイムテキスタイル見本市がどのような状況になるかは判りませんが、ハンドプラッキングがおおっぴらにやれない現状では、質の良い羽毛はますます少なくなるという傾向になりそうで、場合によってはかなり深刻な事になるかもしれないので、目が離せません。


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