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ヨーロッパから その1

テーマ:眠るための道具・寝具のお話
毎年この時期には、ドイツで大きな展示会が行われるのでそのために出張する。
リアルタイムはFacebook(個人店舗)でそれぞれでご覧いただければありがたい。

今回は昨年入社した長女を伴ってヨーロッパの重要な仕入れ先であるBillerbeck、Relax、VitalWoodの工場見学を入れたので、結構なハードスケジュールとなった。ユーレイルパスを使ったが、結構な距離の移動だ。
私が常に一番大切にしているのは、ものづくりの現場と、販売の現場を知ること。どのようなことを感じこれから生かしていくのかが彼女の課題である。

VitalWood2

VitalWood





ふとんを干すということ

テーマ:眠るための道具・寝具のお話
今日から師走、師も走るほどせわしないという意味らしいが、明日からは候補者走となる。

さて、最近疑問を感じるCMが2つ。一つはファブリーズの「ファブリーズで洗おう」であり、もう一つはレイコップと呼ばれる布団専用掃除機だ。
これを見たらファブリーズとレイコップがあれば布団は干さないでも良いと思ってしまう人が出てくるだろう。

しかし、言うまでもないこと(だったはず)だが布団を干す最大の目的は、一晩にコップ一杯、夏は二杯三杯放出されるといわれる汗を吸ったその湿気を取るためのものである。
太陽光による殺菌効果は副次的なものだ。

もともと、ファブリーズのCMは苦々しく見ていた。洗う目的は汚れを落とすことだ、除菌ではない。もちろん、洗いにくいカーテンやソファ、じゅうたんに対しての消臭など一定の効果はあるかもしれないが、本来はちゃんとクリーニングすべきものである。

CMには男の子たちが出てくるが、もともと発汗の多い世代でもある。汗でじっとりとしたふとんを干さずにファブリーズだけでOK!と思わせてしまうことは危ういと思われないだろうか?

さて干すにしても、昨今は昔のように屋根の上に干すなんてことはしてはいけない。外にはPM2.5、花粉、さまざまなダストなどアレルギーの原因になるものが多く浮遊しているのが現代だ。布団を直に干すことは避けたいし、ましてや屋根の上などは布団をホコリまみれにしているようなものだ。おすすめは、カバーをかけたまま干すということ。天気の良い日に両面30~60分ぐらい干し終わったら、カバーを外して付着したさまざまなダストと一緒に洗うのがベストである。間違っても布団をたたくようなことはしてはいけない。叩かずに、布団専用のヘッドを付けて強力な掃除機で吸うのが良い。どんなものでも「叩けばホコリが出る」・・・が「叩きすぎはホコリを生む」ということも考えてほしいのである。

先日の毛布を上に掛ける件といい、TVをはじめ、マスメディアのいい加減さにも弱ったものである。

オリジナルのウォッシャブルウール敷毛布

テーマ:眠るための道具・寝具のお話
再来年は大河ドラマが真田丸ということだから、九度山は盛り上がっていることだろう。
和歌山県橋本市の高野口はシール織というパイルの産地である。かつてはこたつ布団にも使われていたモケットという素材もここで織られていた。青野パイルさんはそんな高野口で製造している有数のメーカーさんだ。

青野パイルさん


青野パイルさん2


青野パイルさん3


一昨年、社員研修で工場見学に訪れていろいろと素材のことなど勉強させていただいたのだが、その青野パイルさんでこの秋オリジナル生地を織っていただいた。敷毛布用につかうシール織のウォッシャブルウールの生地である。

もともと既成の生地があったのだが、巾が狭いのでシングルサイズしか作れない。そこで、シングル~ワイドキングまで多様なサイズに対応できるように207㎝という広幅にしてもらった。これだと長さは205㎝程度までに限られるが、巾は好みのサイズで取ることができる。
特にシングルを2つ連結して1つのベッドのように使いたい方には200×200㎝サイズの敷毛布は貴重だから、この巾がなおのこと必要なのである。

できるだけお求め易いようにと、ターゲットプライスはシングルで1万円。従来の既成品からは約25%安くなる。いろいろと工夫やオーダーをしながら、それでも品質だけは手を抜くことなく、仕上がってきた。

オリジナルウォッシャブルウール敷毛布


シール織なので地糸が非常にしっかりしているので、丸洗いにも十分に耐えるものになっている。青野さん曰く「全く問題無いです。生地より先にゴムの方が弱るでしょう」と強気の発言、現場を見ているから安心だ。

ということで、価格は頑張って8%の税込で9,980円。ウールの相場が上がってしまい、正直オリジナルでリスクを負って作った割には原価が厳しくなってしまったのだが、10%への増税も延びた模様だし、今シーズンはこの価格で頑張らせていただくことになる。

サイズも セミダブル・ダブル・クイーン・ワイドキング(200㎝巾)と多様に揃えてみた。
この冬はぜひお試しいただきたいものだ。

楽天でもお求めいただける こちらへ


エアーウィーブ・マニフレックスなどマットレスの耐久性について

テーマ:眠るための道具・寝具のお話
最近いろいろなマットレスが話題になっている。
確かに睡眠にとって寝姿勢を保持して、ストレスのない睡眠環境を得るためには敷寝具を見直すことが大切である。

さて、その耐久性の問題についてお客様からいろいろと質問を受けることも多い。
まず、マニフレックスの12年保証の問題。品物にもよるが、マニフレックスでは12年とか15年の保証をしていて、通販サイトなどでも12年使えますよ!と謳っていることが多い。

ところが、おっとどっこいである。
私の店でも販売時には必ず確認することにしているが、この保証は「変形保証」である。保証内容に「へたり=明らかに変形した場合」と書いている。12年間変形しないことを保証しますよ、ということだ。一般にこの手のマットレスはLGAというドイツの変形テストを受けることが多い(JISだとK6400-4に相当)。素材を50%変形して8万回繰り返し、その後にどの程度変形するか・弾力性変化があるかを試験するものだ。
実のところ、マットレスに使われるまっとうなウレタン素材だと、この試験はほとんどがパスをすると言って良いだろう。変形率2~4%で収まるのがほとんどだ。マニフレックスの場合2.5%だから順当といって良い。

それでは、「へたり」はどう感じられるのかというと、これは「弾性変化」によってもたらされる。敷寝具に荷重をかける(つまり人が乗る)と重量に応じて変形するが、その変形が大きくなるのだ。新品時にお尻の部分の沈み込みが1cmだとすると、これが3cmにもなると「へたった」と感じられる。腰が落ち込むと腰痛の原因などになるので、人によっては使用しつづけることが困難となる。それでも見た目の変形はほとんどない。

12年保証と言ってしまうと、消費者としては12年間使用し続けることができると錯覚してしまうが、実際のところ5~8年というところだろうか。マニフレックスのHPには金属スプリングのマットレスの耐用年数は4年ですとあるが、これも安いスプリングならさらに短く、良いスプリングなら10年近くは問題ない。もちろん体重が重いと、耐用年数は下がるというのは、普通に考えれば当たり前のことである。

ラテックスマットレスなども耐久性は比較的に高い方だが、それでも弾性劣化は起こるので多くの場合腰部を硬くするなどの対策が取られている。

さて、エアウィーブはもうちょっと深刻に思われる。

これは同じような素材でも老舗格の東洋紡ブレスエアーとのテスト結果がある。
「有名類似商品」と書かれているが、明らかにエアーウィーブのことだろう。

エアーウィーブテスト
身長176cm体重65㎏の男性が、人の体温想定環境(36度)で3カ月間敷布団として使用した前提。
敷布団で最も圧の大きい腰部のヘタリを計測。とある。

エアーウィーブとブレスエア

ブレスエアーの復元率93%に対し、78%とかなりむごい結果になってしまっている。私としてはブレスエアーでも、それなりにへたるよね、と思っていたから、この結果はちょっとひどいと感じた。よく売れているそうだが、軽量な人はともかく、正直心配である。

もともとエアーウィーブは熱に弱い(電気毛布が使えない)。しかしながら、ブレスエアーやエアーウィーブ、E-COREなどの空気を多く含む素材は、夏は空気の循環が早くて良いが、冬はそれが逆に作用して保温力が弱い(=寒い)。基本的にはウールの敷パッドなど。吸湿保温性に富んだ素材と組み合わせるのがベストなのだ。

エアーウィーブはフリーのブログにある否定的なコメントについてはクレームを付けて削除をしているらしい、私の友人が検索エンジンの十位以内にあったので消されてしまったそうだ。一方で、ちょうちんHPを作って(としか見えない)、否定的な見解を打ち消すような内容にしている(へたるけど、重要なことではないよね みたいな記事ががあったのにはびっくり)。一度検索してみるとよく分かる。
そこまでするか、と思ったが、ある意味ここまで情報コントロールを徹底するのは大したものだと思った。

エアーウィーブと元は一緒と言われるE-COREは、耐久テストはまあまあ
ただ、100℃では著しく変形した、とあるから、一般的にポリエチレン系は熱に弱いのではないか?

この情報自身もそうだけど、ネットの情報は単純に鵜呑みしないようにすることが大事だし、なにより、自分で確かめることが一番肝要だろう。

リネンの畑から

テーマ:眠るための道具・寝具のお話
6月に訪れたフランス・ノルマンディーのTERRE DE LINのNizery女史がリネン畑の最新情報を送ってくれた。

先月に訪れたのはリネン(フラックス)の花が開花したところ
リネン

7月になると実がなり、刈り取り(正確には引き抜く)となる。訪れた時には最新の機具が入ったばかりの時。
こんな感じ
リネンの収穫機具

このキカイを使って、こんな具合に収穫するのだけど、畑から抜いたらそのまま畑に寝かしておく
リネン収穫中

リネン畑

この状態で1ヶ月~1ヶ月半ほど置いておくと、表皮が乾燥するので回収をする。
このようにすることで、その中にあるリネンの繊維が取り出しやすくなるからだ。

フラックス

このように収穫されたフラックスはスカッチングという工程に移る
リネンのスカッチング

リネン・スカッチング後

そして紡績工場へ出荷されることになる
フラックス

このパターンがほとんどだそうだ。昨年にリトアニアのシウラスへ訪れた際もこの状態からの紡績を行っていた。
たださらにここからカーディングして、スライバーと呼ばれる紡績の一歩手前まで加工する場合があるという。

リネンのカーディング

リネンのスライバー

輸出先は80%が中国。一般的にフランスリネンと呼ばれる場合は、フランス産の原料を中国で紡績・製織しているのがほとんどだ。残りは地元のフランスやベルギー、リトアニア、イタリアなどに出荷されることになる。もちろん天然素材だから、リネンの品質も10等級に分けられて出荷されるという。一口にフランスリネンといっても同じ品質ではないということだ。
中国にもリネン草(フラックス)はあるのだが、品質的には今一で、生成りの色もあまり良くないという。

新しいフランスリネン生地

さて、先日仕上がってきた当店オリジナルの新しいフランスリネン生地は英ハードマンズ社認定工場の生機を使っている。なので「アイリッシュリネン」と表示できるのだが、「アイルランド製」(本当はもう無い)と誤解を得やすい。が、染色も仕上げも日本で行ったので、ハードマンズらしい素晴らしい出来上がりとなった。


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曳山博物館前の眠りのプロショップSawadaのオーナー
睡眠指導士や睡眠環境コーディネーターの資格を持ち、日夜快眠実現のために、いろいろと寝具やベッドの研究を続けています。

副業として、アートインナガハマなど、街中のまちづくりにもいろいろ関わっています。

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