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毛布の使い方 その2

テーマ:眠るための道具・寝具のお話
比較的代謝量の多い男性なら、こんな経験はないだろうか?

毛布を使っていて、最初は暖かくて良かったのだけど、暖まるにつれ蒸れた感じになってきて、毛布を蹴飛ばしてしまうということ。

快適な寝床内(しんしょうない)の温湿度は温度33℃、湿度50%といわれる。(湿度は55%±5%といわれる場合もあるが、ほとんどかわらない)

寝る前の寝床内つまり布団の中の温度を10℃としよう。昨日今日だと5℃ぐらいになる場合もある。特に湿気の多い布団はそうなりやすい。布団に入ると、布団はヒトの体温(深部体温は36℃ぐらい、体表面体温は32℃ぐらい)で暖められる。最終的には33℃ぐらいになるわけだ。一般的に暖かいというのは、素早く暖まるかということと、暖まるまでの接触温感が高いという2種類が合わさったものだと考えて良い。毛布は接触温感を高めるのに役に立つのである。湿気が多い布団は暖めるのに時間がかかってしまう。-干していない木綿布団の欠点である。

さて、寝床内の温度が33℃に上がってくのだけど、最初のノンレム睡眠時には多くの発汗があるので、寝床内の湿度も上昇する。そうすると、布団の中が蒸れた状態になって寝苦しくなる。そこで、足で毛布や布団をはねのけて、寝床内の温度を下げるということが無意識に行われるというわけ。

アクリルやフリースなどポリエステル素材は、接触温感も高いのだが、一番の難点は吸湿発散性が無い、あっても時間がかかる。木綿わたの布団が大半だった少し昔は、木綿わたを暖めるのに時間がかかったので、接触温感が高く、吸湿性が無い故に水分の少ないアクリル素材が多く使われたのである。

ところが布団が軽くて、吸湿発散性に優れた羽毛布団の場合は、基本的に暖まるのが早い。アクリル毛布を使うと、羽毛の持つ吸湿発散性が損なわれるため、羽毛布団にはアクリルやフリースの毛布はおすすめできない。発汗の少ない、寒がりの女性ならいいかもしれないが・・・。

綿毛布も広く使われている。吸湿性はいいのだが、発散性(放湿性)が良くないので湿気を含むとかえって暖まりにくくなる。これも今ひとつ。

BUGATTI


ドイツから輸入しているIBENAの毛布は綿60%アクリル40%なので、吸湿性のある綿と接触温感のあるアクリルの良さのコラボである。1,100g~1,200gぐらいという軽さもあって、使いやすい。価格もお手頃だ。

一番おすすめはウールの毛布だ。汗を吸って発熱するという特性、放湿性の良さなど、羽毛布団には一番相性が良い。一般的なウールは毛刈りといってあまり嵩がないが、ウールでアクリルのようにボアタイプになったものが良い。自然な暖かさを感じることができる。

marazottoカシミヤ毛布

ウール毛布の他にも、キャメル・アルパカ・ビギューナ・カシミヤなどの高級獣毛毛布は風合いもいいので、さらにおすすめ。なかでもカシミヤは一番だろう。イタリア・マラゾット社のカシミヤ毛布が絶品である。たしかに毛玉は出るが、使用感の官能性はなんともいえない。

肌が敏感なアトピーなどの場合は、保湿効果と肌にやさしいシルク毛布もおすすめである。



毛布の使い方

テーマ:眠るための道具・寝具のお話
寒い。特に部屋の中が。
ヨーロッパでも寒波だそうで、来週出発する娘が「どうしよ~」と喚いていたけど、向こうは部屋の中が暖かい。
北海道でもそうらしい。ところが、我が家は築80年近くになる日本家屋。部屋は冷え切っている。

さて、寒いときには毛布をということになるのだが、今日はその使い方について。

アクリル毛布


その前に、保温力とはなにかを考えてみよう。

保温力とは字の通り、保温する=熱を逃がさない力である。これには2種類あるのをご存じだろうか?
まずは断熱性だ。断熱性が良いのは空気なので、空気を多く含んだ=嵩の高い布団は断熱性が高い。昨今、アルミシートの敷が通販などで販売されているが、これもアルミの断熱性を利用したものである。
もう一つは、空気を閉じ込めておく能力。身体の周りがすかすかだと、体熱で暖まった空気が逃げてしまうので、身体の周りの空気を逃さないようにするチカラ。これは寝具のフィット性が重要になる。

毛布はこの身体へのフィット性を高めるために使うものである。だから、しばしば羽毛布団を販売するときに使われたトーク「羽毛布団の場合は毛布は上に掛けて下さい」は本当は正しくない。もちろん、布団の上からかけるのであれば重ね着の理屈によって保温性は向上するが、この場合は別に毛布である必要はなく、肌ふとんでもキルトの上掛けでもいいのだ。

ファーやボアなど毛足の長い素材は暖かいが、これは接触温感が高いからだ。毛足の中に暖められた空気が閉じ込められるからである。毛足の長さはいろいろだが、毛布の表面にはこのような起毛や植毛がなされていて接触温感を高めるようになっている。一番最初に生まれたウールの毛布はウールの糸で織り上げた生地の表面をひっかいて起毛しているのである。

純毛毛布

このような毛布はかつて多く見られた。

さて、毛布は身体をくるみ、身体の周りの空気を逃がさないように使うのが重要な役割なので、身体に近いところで使うのが一番良いのである。

ところが・・・
素材を選ばないと、今度は湿度調整の問題が出てくる。それでは最適な毛布とは何なのか?

次へ続く

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睡眠指導士や睡眠環境コーディネーターの資格を持ち、日夜快眠実現のために、いろいろと寝具やベッドの研究を続けています。

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