政治とカネⅢ
海部内閣の自民党幹事長は小沢氏だったが、これも金丸氏の強い推しがあっての人事だった。当時、私が58才、小沢氏47才。
「担ぐ御輿は軽くてパーなヤツが一番いい」、私に関する小沢発言で、最も有名なのがこれだろう。人づてにこの件を聞いた私は、彼に直接訊いた。「いったのかい?」すると彼はしゃあしゃあと、「いった覚えは断じてない。記事を書いた記者を呼びつけましょう」と、凄んで見せた。
海部内閣の後、総理総裁の座は宮澤、渡辺美智男、三塚博の三氏で争われた。実質の人事権は竹下派が握っていた。その権威を傘に、年下の小沢一郎竹下派会長代行が、自分の事務所に三先輩を呼び出し面談したことが、世間の不評を買った。呼ぶ方も呼ぶ方ならひょこひょこ行く方も行く方で、双方とも政治家として如何なものかと、首をひねらずにはいられなかった。
その後、宮澤政権下での金丸信自民党副総裁の「東京佐川急便」汚職事件。5億円のヤミ献金と金の延べ棒事件。長年自民党に君臨した「闇の帝王」は、こうして政界から姿を消していった。
・・・・。私は今、我が国の政治に大いなる危惧を抱いている。現在日本政治の真ん中にいるのが小沢一郎だということは衆目の一致するところだろう。その小沢氏の金脈や権力の二重構造、専制支配に、多くの国民は腹にストンと落ちないものを感じていることと思う。
彼が日本社会全体を傷つけている罪は海より深い。「天を畏れて法を超えず」というが、過去の例を見ても、傍若無人に法を超えた政治家の末路は惨めなものだ。
ここで私が問題にしたいのは、小沢一郎その人のことではなく、彼と、彼にものを言えない民主党が始めてしまった政策の後始末をどうするかということだ。
「米国の極東でのプレゼンス(存在)は米海軍第7艦隊で十分」と小沢氏は公言したが、本当にそれで国が守れるのか?帰化する意志のない外国人に、地方参政権を与えて良いのか?子供手当や高速道路無料化を実施して、将来日本の財政は破綻しないのか?農家の戸別所得補償制度は?等々、
政府は目先の利益ばかりを国民の前にちらつかせる。そんな政治で票を集めたのでは、政治があまりいも寂しい。その寂しさを埋めていくことが、今、我が国の政治に求められているものであり、日本再生の原動力はそこにこそある。 完