政治とカネⅡ
大平再選を左右したのは、「新自由クラブ」だった。
新自由クラブは、三木政権下の76年に、河野洋平氏他の若手が自民党を離党して作った政党だ。改革派だったメンバーは、私の身内とも言える人々で大変頼りにしていた。わたしはもう少し辛抱してくれと説得を重ねたが、彼等は、「自民党の使命は終わった」と出て行ってしまった。
その新自由クラブが、主流派を援護した理由もまた、悲しいかな、金だった。記者がいる目の前で、主流派の古老議員が、新自由クラブに渡すつもりの金を、うかつにも落としてしまったというのだから何をか言わんや。後の83年、新自由クラブは自民党と連立するが、その際も金が動いたようだ。
そして日教組について
当時は、日教組の勢力が大きかったので、まず彼等と腹を割って話そうと考えた。そこで、文部大臣として初めて大臣室に先生方をお招きすると、驚いたことに、一人の先生が体操服のまま現れた。
外見で人を判断していはいけないが、それにしても礼儀というものがある。こちらはネクタイ背広姿でお迎えしているのだから、せめて身ぎれいな服装でいらっしてくださいよ、礼節を説くのも大切な教育でしょうと、そんな初歩的な話からスタートしなければならなかった。
私は、「日の丸」や「君が代」を否定する教育に反対だ。否定派は、あれは軍国主義の象徴だからダメだと主張するが、歴史とは、よい過去も悪い過去も全部含めて、国民が引き継ぎ背負うものだと心得ている。
繰り返して良いことと悪いことをきちんと検証し、よいことを繰り返し、悪いことを繰り返さない。その判断力を、しっかりと身につけるのが教育であって、つまみ食いのように、一部を取り上げて全体を否定したのでは話にならない。
そもそも自分の国を大切にしない者は、他国も大事に思えない。そんな基本中の基本を子どもたちに教えないで良いのか。教育とは、基本に忠実になることではないか。
次回は、小沢一郎についてです、お楽しみに!