エアーウィーブ・マニフレックスなどマットレスの耐久性について
テーマ:眠るための道具・寝具のお話
2014/08/13 14:54
最近いろいろなマットレスが話題になっている。
確かに睡眠にとって寝姿勢を保持して、ストレスのない睡眠環境を得るためには敷寝具を見直すことが大切である。
さて、その耐久性の問題についてお客様からいろいろと質問を受けることも多い。
まず、マニフレックスの12年保証の問題。品物にもよるが、マニフレックスでは12年とか15年の保証をしていて、通販サイトなどでも12年使えますよ!と謳っていることが多い。
ところが、おっとどっこいである。
私の店でも販売時には必ず確認することにしているが、この保証は「変形保証」である。保証内容に「へたり=明らかに変形した場合」と書いている。12年間変形しないことを保証しますよ、ということだ。一般にこの手のマットレスはLGAというドイツの変形テストを受けることが多い(JISだとK6400-4に相当)。素材を50%変形して8万回繰り返し、その後にどの程度変形するか・弾力性変化があるかを試験するものだ。
実のところ、マットレスに使われるまっとうなウレタン素材だと、この試験はほとんどがパスをすると言って良いだろう。変形率2~4%で収まるのがほとんどだ。マニフレックスの場合2.5%だから順当といって良い。
それでは、「へたり」はどう感じられるのかというと、これは「弾性変化」によってもたらされる。敷寝具に荷重をかける(つまり人が乗る)と重量に応じて変形するが、その変形が大きくなるのだ。新品時にお尻の部分の沈み込みが1cmだとすると、これが3cmにもなると「へたった」と感じられる。腰が落ち込むと腰痛の原因などになるので、人によっては使用しつづけることが困難となる。それでも見た目の変形はほとんどない。
12年保証と言ってしまうと、消費者としては12年間使用し続けることができると錯覚してしまうが、実際のところ5~8年というところだろうか。マニフレックスのHPには金属スプリングのマットレスの耐用年数は4年ですとあるが、これも安いスプリングならさらに短く、良いスプリングなら10年近くは問題ない。もちろん体重が重いと、耐用年数は下がるというのは、普通に考えれば当たり前のことである。
ラテックスマットレスなども耐久性は比較的に高い方だが、それでも弾性劣化は起こるので多くの場合腰部を硬くするなどの対策が取られている。
さて、エアウィーブはもうちょっと深刻に思われる。
これは同じような素材でも老舗格の東洋紡ブレスエアーとのテスト結果がある。
「有名類似商品」と書かれているが、明らかにエアーウィーブのことだろう。
身長176cm体重65㎏の男性が、人の体温想定環境(36度)で3カ月間敷布団として使用した前提。
敷布団で最も圧の大きい腰部のヘタリを計測。とある。
ブレスエアーの復元率93%に対し、78%とかなりむごい結果になってしまっている。私としてはブレスエアーでも、それなりにへたるよね、と思っていたから、この結果はちょっとひどいと感じた。よく売れているそうだが、軽量な人はともかく、正直心配である。
もともとエアーウィーブは熱に弱い(電気毛布が使えない)。しかしながら、ブレスエアーやエアーウィーブ、E-COREなどの空気を多く含む素材は、夏は空気の循環が早くて良いが、冬はそれが逆に作用して保温力が弱い(=寒い)。基本的にはウールの敷パッドなど。吸湿保温性に富んだ素材と組み合わせるのがベストなのだ。
エアーウィーブはフリーのブログにある否定的なコメントについてはクレームを付けて削除をしているらしい、私の友人が検索エンジンの十位以内にあったので消されてしまったそうだ。一方で、ちょうちんHPを作って(としか見えない)、否定的な見解を打ち消すような内容にしている(へたるけど、重要なことではないよね みたいな記事ががあったのにはびっくり)。一度検索してみるとよく分かる。
そこまでするか、と思ったが、ある意味ここまで情報コントロールを徹底するのは大したものだと思った。
エアーウィーブと元は一緒と言われるE-COREは、耐久テストはまあまあ
ただ、100℃では著しく変形した、とあるから、一般的にポリエチレン系は熱に弱いのではないか?
この情報自身もそうだけど、ネットの情報は単純に鵜呑みしないようにすることが大事だし、なにより、自分で確かめることが一番肝要だろう。
確かに睡眠にとって寝姿勢を保持して、ストレスのない睡眠環境を得るためには敷寝具を見直すことが大切である。
さて、その耐久性の問題についてお客様からいろいろと質問を受けることも多い。
まず、マニフレックスの12年保証の問題。品物にもよるが、マニフレックスでは12年とか15年の保証をしていて、通販サイトなどでも12年使えますよ!と謳っていることが多い。
ところが、おっとどっこいである。
私の店でも販売時には必ず確認することにしているが、この保証は「変形保証」である。保証内容に「へたり=明らかに変形した場合」と書いている。12年間変形しないことを保証しますよ、ということだ。一般にこの手のマットレスはLGAというドイツの変形テストを受けることが多い(JISだとK6400-4に相当)。素材を50%変形して8万回繰り返し、その後にどの程度変形するか・弾力性変化があるかを試験するものだ。
実のところ、マットレスに使われるまっとうなウレタン素材だと、この試験はほとんどがパスをすると言って良いだろう。変形率2~4%で収まるのがほとんどだ。マニフレックスの場合2.5%だから順当といって良い。
それでは、「へたり」はどう感じられるのかというと、これは「弾性変化」によってもたらされる。敷寝具に荷重をかける(つまり人が乗る)と重量に応じて変形するが、その変形が大きくなるのだ。新品時にお尻の部分の沈み込みが1cmだとすると、これが3cmにもなると「へたった」と感じられる。腰が落ち込むと腰痛の原因などになるので、人によっては使用しつづけることが困難となる。それでも見た目の変形はほとんどない。
12年保証と言ってしまうと、消費者としては12年間使用し続けることができると錯覚してしまうが、実際のところ5~8年というところだろうか。マニフレックスのHPには金属スプリングのマットレスの耐用年数は4年ですとあるが、これも安いスプリングならさらに短く、良いスプリングなら10年近くは問題ない。もちろん体重が重いと、耐用年数は下がるというのは、普通に考えれば当たり前のことである。
ラテックスマットレスなども耐久性は比較的に高い方だが、それでも弾性劣化は起こるので多くの場合腰部を硬くするなどの対策が取られている。
さて、エアウィーブはもうちょっと深刻に思われる。
これは同じような素材でも老舗格の東洋紡ブレスエアーとのテスト結果がある。
「有名類似商品」と書かれているが、明らかにエアーウィーブのことだろう。
身長176cm体重65㎏の男性が、人の体温想定環境(36度)で3カ月間敷布団として使用した前提。
敷布団で最も圧の大きい腰部のヘタリを計測。とある。
ブレスエアーの復元率93%に対し、78%とかなりむごい結果になってしまっている。私としてはブレスエアーでも、それなりにへたるよね、と思っていたから、この結果はちょっとひどいと感じた。よく売れているそうだが、軽量な人はともかく、正直心配である。
もともとエアーウィーブは熱に弱い(電気毛布が使えない)。しかしながら、ブレスエアーやエアーウィーブ、E-COREなどの空気を多く含む素材は、夏は空気の循環が早くて良いが、冬はそれが逆に作用して保温力が弱い(=寒い)。基本的にはウールの敷パッドなど。吸湿保温性に富んだ素材と組み合わせるのがベストなのだ。
エアーウィーブはフリーのブログにある否定的なコメントについてはクレームを付けて削除をしているらしい、私の友人が検索エンジンの十位以内にあったので消されてしまったそうだ。一方で、ちょうちんHPを作って(としか見えない)、否定的な見解を打ち消すような内容にしている(へたるけど、重要なことではないよね みたいな記事ががあったのにはびっくり)。一度検索してみるとよく分かる。
そこまでするか、と思ったが、ある意味ここまで情報コントロールを徹底するのは大したものだと思った。
エアーウィーブと元は一緒と言われるE-COREは、耐久テストはまあまあ
ただ、100℃では著しく変形した、とあるから、一般的にポリエチレン系は熱に弱いのではないか?
この情報自身もそうだけど、ネットの情報は単純に鵜呑みしないようにすることが大事だし、なにより、自分で確かめることが一番肝要だろう。
リネンの畑から
テーマ:眠るための道具・寝具のお話
2014/08/03 01:51
6月に訪れたフランス・ノルマンディーのTERRE DE LINのNizery女史がリネン畑の最新情報を送ってくれた。
先月に訪れたのはリネン(フラックス)の花が開花したところ
7月になると実がなり、刈り取り(正確には引き抜く)となる。訪れた時には最新の機具が入ったばかりの時。
こんな感じ
このキカイを使って、こんな具合に収穫するのだけど、畑から抜いたらそのまま畑に寝かしておく
この状態で1ヶ月~1ヶ月半ほど置いておくと、表皮が乾燥するので回収をする。
このようにすることで、その中にあるリネンの繊維が取り出しやすくなるからだ。
このように収穫されたフラックスはスカッチングという工程に移る
そして紡績工場へ出荷されることになる
このパターンがほとんどだそうだ。昨年にリトアニアのシウラスへ訪れた際もこの状態からの紡績を行っていた。
たださらにここからカーディングして、スライバーと呼ばれる紡績の一歩手前まで加工する場合があるという。
輸出先は80%が中国。一般的にフランスリネンと呼ばれる場合は、フランス産の原料を中国で紡績・製織しているのがほとんどだ。残りは地元のフランスやベルギー、リトアニア、イタリアなどに出荷されることになる。もちろん天然素材だから、リネンの品質も10等級に分けられて出荷されるという。一口にフランスリネンといっても同じ品質ではないということだ。
中国にもリネン草(フラックス)はあるのだが、品質的には今一で、生成りの色もあまり良くないという。
新しいフランスリネン生地
さて、先日仕上がってきた当店オリジナルの新しいフランスリネン生地は英ハードマンズ社認定工場の生機を使っている。なので「アイリッシュリネン」と表示できるのだが、「アイルランド製」(本当はもう無い)と誤解を得やすい。が、染色も仕上げも日本で行ったので、ハードマンズらしい素晴らしい出来上がりとなった。
先月に訪れたのはリネン(フラックス)の花が開花したところ
7月になると実がなり、刈り取り(正確には引き抜く)となる。訪れた時には最新の機具が入ったばかりの時。
こんな感じ
このキカイを使って、こんな具合に収穫するのだけど、畑から抜いたらそのまま畑に寝かしておく
この状態で1ヶ月~1ヶ月半ほど置いておくと、表皮が乾燥するので回収をする。
このようにすることで、その中にあるリネンの繊維が取り出しやすくなるからだ。
このように収穫されたフラックスはスカッチングという工程に移る
そして紡績工場へ出荷されることになる
このパターンがほとんどだそうだ。昨年にリトアニアのシウラスへ訪れた際もこの状態からの紡績を行っていた。
たださらにここからカーディングして、スライバーと呼ばれる紡績の一歩手前まで加工する場合があるという。
輸出先は80%が中国。一般的にフランスリネンと呼ばれる場合は、フランス産の原料を中国で紡績・製織しているのがほとんどだ。残りは地元のフランスやベルギー、リトアニア、イタリアなどに出荷されることになる。もちろん天然素材だから、リネンの品質も10等級に分けられて出荷されるという。一口にフランスリネンといっても同じ品質ではないということだ。
中国にもリネン草(フラックス)はあるのだが、品質的には今一で、生成りの色もあまり良くないという。
新しいフランスリネン生地
さて、先日仕上がってきた当店オリジナルの新しいフランスリネン生地は英ハードマンズ社認定工場の生機を使っている。なので「アイリッシュリネン」と表示できるのだが、「アイルランド製」(本当はもう無い)と誤解を得やすい。が、染色も仕上げも日本で行ったので、ハードマンズらしい素晴らしい出来上がりとなった。
議員を選ぶということ
テーマ:まちづくり
2014/07/22 01:14
この7月から長浜商店街連盟の会長を仰せつかることに。大役である。
そして一昨日からは市議会議員選挙。多くの知り合いの方が出馬されているが、当然地元まちなか商店街を代表する人を推すこととなる。今回は立場上どっぷりと選挙に浸かることとなった。
どっぷり浸かりながらも、議員の選び方について考えてみる。多くの場合議員は地域や業界などの利益代表を期待されて、それが支持母体となり選挙戦が行われる。国政とは違い、市会議員だと地区推薦などが多い。
それでは利益代表が議員の仕事なのかというと、現実に議員には予算の編成権も事業の執行権もない。本来は長浜市全体を見て予算と執行のチェックをするのが仕事である。地域や現場の声を吸い上げて、チェックの仕事に生かしていくことは重要だが、利益代表が過ぎると口利きになる。
政策を実現しようとするならば、優れた識見でもって政策を提言し、行政当局の政策立案に活かしてもらうのが筋であって、脅しやすかしなどは言語道断である(昔はしばしばあったと聞く) この点政策実現は市長などの首長の方が圧倒的に有利で、議員はコーディネーターがせいぜいであろう。
しばしば地方の市議会議員のまちづくり視察でお話をすることがあるのだけど、中には驚くような識見を持った議員さんばかりの場合があって、緊張を強いられながらお話することも多い。
号泣議員に代表されるように昨今、地方議員の質の低下を嘆く声が多いが、それでは困るのだ。
本当に大局的に物事の道理を理解して議論しあえる議会になってほしいものだ。(もし本当にそうであれば議員は十数人程度で済んでしまうだろうね。)
そんなことを考えつつも、現実は一票でも多くという選挙戦を行うわけだが、今日の個人演説会で候補者が地域のために云々ということより(これも語らねば成り立たないのだけど)、議員の本分について、あるべき姿について多く語ってくれたのは、正直うれしかったのである。
兎にも角にも投票を。
民主主義とは選択の結果を自己責任で取るという有難いシステムなのだから。
そして一昨日からは市議会議員選挙。多くの知り合いの方が出馬されているが、当然地元まちなか商店街を代表する人を推すこととなる。今回は立場上どっぷりと選挙に浸かることとなった。
どっぷり浸かりながらも、議員の選び方について考えてみる。多くの場合議員は地域や業界などの利益代表を期待されて、それが支持母体となり選挙戦が行われる。国政とは違い、市会議員だと地区推薦などが多い。
それでは利益代表が議員の仕事なのかというと、現実に議員には予算の編成権も事業の執行権もない。本来は長浜市全体を見て予算と執行のチェックをするのが仕事である。地域や現場の声を吸い上げて、チェックの仕事に生かしていくことは重要だが、利益代表が過ぎると口利きになる。
政策を実現しようとするならば、優れた識見でもって政策を提言し、行政当局の政策立案に活かしてもらうのが筋であって、脅しやすかしなどは言語道断である(昔はしばしばあったと聞く) この点政策実現は市長などの首長の方が圧倒的に有利で、議員はコーディネーターがせいぜいであろう。
しばしば地方の市議会議員のまちづくり視察でお話をすることがあるのだけど、中には驚くような識見を持った議員さんばかりの場合があって、緊張を強いられながらお話することも多い。
号泣議員に代表されるように昨今、地方議員の質の低下を嘆く声が多いが、それでは困るのだ。
本当に大局的に物事の道理を理解して議論しあえる議会になってほしいものだ。(もし本当にそうであれば議員は十数人程度で済んでしまうだろうね。)
そんなことを考えつつも、現実は一票でも多くという選挙戦を行うわけだが、今日の個人演説会で候補者が地域のために云々ということより(これも語らねば成り立たないのだけど)、議員の本分について、あるべき姿について多く語ってくれたのは、正直うれしかったのである。
兎にも角にも投票を。
民主主義とは選択の結果を自己責任で取るという有難いシステムなのだから。
羽毛布団のリフォームはした方がいいのか?
テーマ:羽毛ふとんのお話
2014/07/05 01:48
ここ数日、毎日数枚の羽毛布団のリフォーム作業を行っている。私の店では店内に国内屈指の設備を揃えているので、下請け加工には決して出すことはない。解体から、最後の充填仕上げまで私が羽毛の状態を確かめながら行っている。
さて、「羽毛布団のリフォームはした方がいいのか?」というお問い合わせを良くいただく。
というのも、リフォームの代金が安い新品の羽毛布団を買うぐらいかかってしまうからで、お客様がお悩みになるのも無理はないと思う。
今日、2001年にお買い上げいただいたクイーンサイズの羽毛布団のリフォームを行った。当店で仕立た手作り羽毛布団で中身は当時かさ高16㎝の四川省ホワイトグースダウン(当店では標準的な羽毛である)を入れたものだ・・・が、洗ってみて、改めて原料の良さを実感することができた。現在ではDP390~400の羽毛だが、正直昔の原料の方が質が良い。ゴミも少ないし、ダウンボールも大きい。
これは、近年ちゃんと飼育できている農場が少ないためであるし、今のように金儲けに走る中国でない頃の四川省の原料だから、天然に近い飼育がなされていた=良い原料だからだ。残念ながら、今日ではこんなに真面目に飼育された中国原料を手に入れることは不可能に近く、当時に比べると同等クラスの原料価格は今や4倍以上している。
それ故、過去にそれなりの価格を出されてお求めになった羽毛布団なら、断然リフォームをおすすめする。特に良質のグースダウンは高騰しているので、お迷いになる要素はまずない、といっていいだろう。昨今は中古羽毛の混入率が非常に高くなっているので、中古羽毛が半分近く入っている新品羽毛をお求めになることもないと思うのである。
(ただし、グースといっても訪販系でお求めになった場合、高額で買われていても???というのも少なからずあるので、店頭でチェックさせていただいている)
中身の羽毛はもちろんだが、実際に使用感を決めるのは側生地が重要だ。いくら良い中身をリフォームしても、重く硬い生地ではその良さを生かすことができない。少なくとも購入時と同じクラスのレベルの側をおすすめしたい。あとで、「しまった!こんなはずでは」と思って10年過ごすことを避けるためにも。
かつて羽毛布団はかさ高競争を行っていた時期があるが、機密度が高い部屋が増えた今日、寝室と体質に合わせて最適な羽毛の量を選ぶことをお勧めする。私は汗かきだから良くわかるが、ポンポンにふくらんだ羽毛布団は12月にでもならないと使えない。適度な暑さにして、毛布などでコントロールするのがベストなのだ。
さて、「羽毛布団のリフォームはした方がいいのか?」というお問い合わせを良くいただく。
というのも、リフォームの代金が安い新品の羽毛布団を買うぐらいかかってしまうからで、お客様がお悩みになるのも無理はないと思う。
今日、2001年にお買い上げいただいたクイーンサイズの羽毛布団のリフォームを行った。当店で仕立た手作り羽毛布団で中身は当時かさ高16㎝の四川省ホワイトグースダウン(当店では標準的な羽毛である)を入れたものだ・・・が、洗ってみて、改めて原料の良さを実感することができた。現在ではDP390~400の羽毛だが、正直昔の原料の方が質が良い。ゴミも少ないし、ダウンボールも大きい。
これは、近年ちゃんと飼育できている農場が少ないためであるし、今のように金儲けに走る中国でない頃の四川省の原料だから、天然に近い飼育がなされていた=良い原料だからだ。残念ながら、今日ではこんなに真面目に飼育された中国原料を手に入れることは不可能に近く、当時に比べると同等クラスの原料価格は今や4倍以上している。
それ故、過去にそれなりの価格を出されてお求めになった羽毛布団なら、断然リフォームをおすすめする。特に良質のグースダウンは高騰しているので、お迷いになる要素はまずない、といっていいだろう。昨今は中古羽毛の混入率が非常に高くなっているので、中古羽毛が半分近く入っている新品羽毛をお求めになることもないと思うのである。
(ただし、グースといっても訪販系でお求めになった場合、高額で買われていても???というのも少なからずあるので、店頭でチェックさせていただいている)
中身の羽毛はもちろんだが、実際に使用感を決めるのは側生地が重要だ。いくら良い中身をリフォームしても、重く硬い生地ではその良さを生かすことができない。少なくとも購入時と同じクラスのレベルの側をおすすめしたい。あとで、「しまった!こんなはずでは」と思って10年過ごすことを避けるためにも。
かつて羽毛布団はかさ高競争を行っていた時期があるが、機密度が高い部屋が増えた今日、寝室と体質に合わせて最適な羽毛の量を選ぶことをお勧めする。私は汗かきだから良くわかるが、ポンポンにふくらんだ羽毛布団は12月にでもならないと使えない。適度な暑さにして、毛布などでコントロールするのがベストなのだ。
リネンの花咲く頃
テーマ:眠るための道具・寝具のお話
2014/06/21 18:40
リネンってご存知ですか? というと、女性ならほとんどご存知だろうと思う。
その昔「亜麻色の髪の乙女」という曲を聞いた時に(もちろんワイルドワンズ版)、亜麻色=ブロンドというイメージをもっていたのだけど、実際の亜麻色はシルバーグレーの色だ。
これはスライバーと呼ばれる、糸になる一歩手前の状態。
日本のもともとの麻が苧麻(ラミー)・大麻(ヘンプ)であったのに対し、ヨーロッパの麻は亜麻=リネンである。ラミーよりソフトでさらっとした風合いで、一度使うとハマる。
ランジェリーの語源とされ、ベッドリネン、リネンサプライに使われるように、ベッドのシーツなどは本来リネンであった。汚れにくい、汚れが落ちやすい、乾きが早いことからテーブルクロスやナプキンにも使われる。
しばしばフランス・リネンといわれるが、リネンの原料となるフラックスという草の産地がフランスということである。そこから糸にしたり、生地にしているのは、ほとんどの場合中国。
リトアニア・リネンという場合はちょっとやっかいで、リトアニアで栽培されているフラックスを使うか、フランス産のフラックスを紡績して布にしているかの両方がある。私どもが生地生産を依頼しているリトアニア・シウラス社も原料はフランスリネンを使用している。
そのリネンの原料、フラックスを求めてフランス・ノルマンディーの中心地を訪れた。フラックスの産地であるフランス・ベルギーの中でも最も栽培が多いところである。
フラックスは1年草で、6月の中旬にかわいい花をつける。花が咲く期間は1周間ほどで、毎年の天候に左右されるので、開花を見ることができないことも多いと聞く。WEBで調べると早朝に咲いて、2時間ほどしか持たないとかあったが、実際は丸一日ぐらいは咲いている。
ということで、6/15~16とノルマンディーを訪れた。4月中旬ぐらいから、この時期になるのではないかという情報をいただいての視察の設定である。受け入れてくれたフラックスのサプライヤー Terre de Linの人も毎年この時期に視察に来られるが、開花しているかどうか気に病むそうである。
天の恵みなのだろう。我々の前には風にそよぐリネンの花があった。
満足の一日であった。
その昔「亜麻色の髪の乙女」という曲を聞いた時に(もちろんワイルドワンズ版)、亜麻色=ブロンドというイメージをもっていたのだけど、実際の亜麻色はシルバーグレーの色だ。
これはスライバーと呼ばれる、糸になる一歩手前の状態。
日本のもともとの麻が苧麻(ラミー)・大麻(ヘンプ)であったのに対し、ヨーロッパの麻は亜麻=リネンである。ラミーよりソフトでさらっとした風合いで、一度使うとハマる。
ランジェリーの語源とされ、ベッドリネン、リネンサプライに使われるように、ベッドのシーツなどは本来リネンであった。汚れにくい、汚れが落ちやすい、乾きが早いことからテーブルクロスやナプキンにも使われる。
しばしばフランス・リネンといわれるが、リネンの原料となるフラックスという草の産地がフランスということである。そこから糸にしたり、生地にしているのは、ほとんどの場合中国。
リトアニア・リネンという場合はちょっとやっかいで、リトアニアで栽培されているフラックスを使うか、フランス産のフラックスを紡績して布にしているかの両方がある。私どもが生地生産を依頼しているリトアニア・シウラス社も原料はフランスリネンを使用している。
そのリネンの原料、フラックスを求めてフランス・ノルマンディーの中心地を訪れた。フラックスの産地であるフランス・ベルギーの中でも最も栽培が多いところである。
フラックスは1年草で、6月の中旬にかわいい花をつける。花が咲く期間は1周間ほどで、毎年の天候に左右されるので、開花を見ることができないことも多いと聞く。WEBで調べると早朝に咲いて、2時間ほどしか持たないとかあったが、実際は丸一日ぐらいは咲いている。
ということで、6/15~16とノルマンディーを訪れた。4月中旬ぐらいから、この時期になるのではないかという情報をいただいての視察の設定である。受け入れてくれたフラックスのサプライヤー Terre de Linの人も毎年この時期に視察に来られるが、開花しているかどうか気に病むそうである。
天の恵みなのだろう。我々の前には風にそよぐリネンの花があった。
満足の一日であった。